エピクロスの処方箋

  • 水鈴社 (2025年9月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784910576053

作品紹介・あらすじ

「医療では、人は救えないんだよ」
現役医師が描く、人の命と幸福について。
2024年本屋大賞第四位&京都本大賞受賞、映画化決定の感動作『スピノザの診察室』続編、ついに刊行!
※シリーズではありますが、本作単体としてお楽しみいただけます。

「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」
思想する医師・雄町哲郎は今日も京都の街をゆく。
大人気、哲学エンタメシリーズ待望の第二弾!

【あらすじ】
大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
患者は82歳の老人。
それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だったーー。
「エピクロスが主張している快楽の本質は、何よりも『精神の安定』のことなんだ。だから自分は快楽主義者だと言う奴に出会ったら十分に注意することだ。心の平静を求めているのか、ひたすら快楽を求めているのか、こいつは全く別物だよ」(本文より)
エピクロス……古代ギリシャの哲学者。快楽主義を提唱した。
【著者からのメッセージ】
「幸福」とは何か。
本書の主題は、前作『スピノザの診察室』と同じく、この問いの中にあります。
幸福に生きるとはどういうことか。幸福は環境が与えるものなのか、それとも自分の力で生み出すものなのか。幸福と快楽とは何が異なるのか。
これらの問いが私の中で年々重みを増しているのは、臨床現場で様々な命の在り方に出会うからかもしれません。無論、容易に答えが出るものではありませんが、思索の旅を少しずつ前へと進めています。
古代ギリシャの哲学者エピクロスは、快楽主義の祖と言われる人物ですが、この問いに、実に簡潔な答えを示しました。
それは、心に悩みがないことと、肉体に苦痛がないこと。
彼が提示したこの素朴な条件に、私はもう一つだけ付け加えます。
すなわち「孤独ではないこと」。
多様性の名のもとに、人と人とのつながりが断ち切られ、互いに歩み寄ることが難しくなりつつある現代だからこそ、この物語が多くの人の足下を照らす、温かな灯火となることを願っています。
――夏川草介

みんなの感想まとめ

人の命と幸福について深く考察する本作は、現役医師が描くヒューマン医療エンタメです。主人公の雄町哲郎は、地域病院での勤務を通じて、患者との関わりを通じた生と死の意味を探求します。哲学的な視点から医療の限...

感想・レビュー・書評

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  •  お医者さまになられる方々は高校時代にとても優秀な学業成績を収めた方々です。
    偏差値70前後やそれ以上の成績で医学部に入学し、信じられないほど膨大な医学の知識を学び、実験をこなし、実技を習得して、国家試験に合格し、さらに医局で研鑽を積んだ「科学の子」たちです。

     しかし、ひとたび臨床の場に立てば、そこにいるのは、同程度の偏差値を収め医学に詳しい人たちではなく、病を患うひとりの患者(人間)です。
     その時、医師に必要なのは、病巣に立ち向かう高度な医学力に加えて、人間に向き合うための人間力なのではないでしょうか。
     患者の境遇は一人ひとり異なり、過ごしてきた人生も、培ってきた人生観(死生観)も異なります。さらに、家族構成も異なれば経済的環境も異なります。

     本書で、我らが主人公 京都は原田病院の雄町 哲郎(おまち てつろう)医師(通称 マチ先生)は、こう言います。
    「医療では、人は救えないんだよ」

     たとえ医学的に正しい処方を行っても患者が幸せになれるかどうかは分かりません。それは、裁判で法律的に解決したとしても当事者が幸せになれるかどうか分からないことに似ています。そこには「できること」と「しても良いこと」の違いがあるからです。そして「しても良いこと」は人によって異なるのです。
     例えば、本書には、自分で食事を摂ることができなくなった人への「胃ろう(管を通して栄養を直接胃に送り込む処方)」の話が出てきます。
     栄養は生命体としての人体を維持するには必須ですが、かといって、患者の人生の幸福を維持するためには必須でしょうか。意思表示能力が無い人にはどうしたら良いのでしょうか。難しい(人としての)問題に医師は日々悩み苦しむのです。

     不慮の事故や災害で医療が必要になる人たちや、予期せぬ病気で人生設計が狂う人たち。医師は、それらの人たちの個々の事情を目の当たりにしつつも治療を行わなければなりません。
     その時、最適解はどこにあるのでしょうか?

     医師によっては答えを純粋に科学に求める人もいるでしょう。宗教に求める人もいるかもしれません。
     そして、マチ先生のように哲学に道を求め(心揺らぎ)ながら、個々の患者を温かい目で見つめて、できうる限り丁寧に患者に寄り添おうとする医師もいることでしょう。心に痛い経験値を積み重ねながら人間力を培っていくしかないのでしょうか?

     我らがマチ先生には、内視鏡内科の超絶に高度な技量があります。洛都大学医学部の医局長だったマチ先生は、3年前、ひとつ年下の妹 奈々さんが闘病の末に亡くなったことから、シングルマザーだった彼女の子ども 龍之介くん(当時小学4年生)を引き取って育てるために医局を退職しました。
     そんなマチ先生の類まれな能力を惜しみ、また必要として、先輩である洛都大学消化器内科の花垣 辰雄(はながき たつお)准教授が、マチ先生を大学に戻そうとします。
     また、マチ先生の天才的な見立てと緊迫した手術の場面は本書でも描かれています。

     医療とは何か?
     わたしたちは医療にどう向き合うのが良いのか?
     人生の終末をどのように迎えたいのか?
    本書中に惜しみなく披歴される箴言を噛みしめながら考えてみてはいかがでしょうか♡

    〔作品紹介・あらすじ〕
    「医療では、人は救えないんだよ」
    現役医師が描く、人の命と幸福について。
    2024年本屋大賞第四位&京都本大賞受賞、映画化決定の感動作『スピノザの診察室』続編、ついに刊行!
    ※シリーズではありますが、本作単体としてお楽しみいただけます。

    「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」
    思想する医師・雄町哲郎は今日も京都の街をゆく。
    大人気、哲学エンタメシリーズ待望の第二弾!

    【あらすじ】
     大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
    ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
    患者は82歳の老人。
    それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だったーー。
    「エピクロスが主張している快楽の本質は、何よりも『精神の安定』のことなんだ。だから自分は快楽主義者だと言う奴に出会ったら十分に注意することだ。心の平静を求めているのか、ひたすら快楽を求めているのか、こいつは全く別物だよ」(本文より)
    エピクロス……古代ギリシャの哲学者。快楽主義を提唱した。

    【著者からのメッセージ】
    「幸福」とは何か。
    本書の主題は、前作『スピノザの診察室』と同じく、この問いの中にあります。
    幸福に生きるとはどういうことか。幸福は環境が与えるものなのか、それとも自分の力で生み出すものなのか。幸福と快楽とは何が異なるのか。
    これらの問いが私の中で年々重みを増しているのは、臨床現場で様々な命の在り方に出会うからかもしれません。無論、容易に答えが出るものではありませんが、思索の旅を少しずつ前へと進めています。
    古代ギリシャの哲学者エピクロスは、快楽主義の祖と言われる人物ですが、この問いに、実に簡潔な答えを示しました。
    それは、心に悩みがないことと、肉体に苦痛がないこと。
    彼が提示したこの素朴な条件に、私はもう一つだけ付け加えます。
    すなわち「孤独ではないこと」。
    多様性の名のもとに、人と人とのつながりが断ち切られ、互いに歩み寄ることが難しくなりつつある現代だからこそ、この物語が多くの人の足下を照らす、温かな灯火となることを願っています。
    ――夏川草介

  • 2026年本屋大賞ノミネート作品。
    何だよぉ〜。最高じゃないか〜!!凄いな〜笑
    自分がヒューマン医療系好きなのも相まって、とてつもなく充実した読書時間と、胸熱をありがとうって感じです。
    後半の流れが楽しすぎて、ずっとニタニタしながら読みまして、もー大満足でございます♪マチ先生大好きよ!
    今年の本屋大賞、例年にも増して難しくないですか?!この作品読んだすぐ後のテンションだと、これが良い!って思ってる自分がいます。ここに。
    まだ、あと2作品あるので、全力で読書します!

  • 『スピノザの診察室』の続編です。

    主人公は京都の原田病院という消化器内科に内視鏡医として勤務する、マチ先生こと雄町哲郎。
    独身ですがシングルマザーで亡くなった妹の子供で甥の中学生の龍之介と暮らしています。

    原田病院は終末医療の病院でほとんどの患者が亡くなっていきます。

    以下マチ先生語録
    「技術さえ身につけば、優れた医師になれるわけではない。大切なのは哲学だよ。医療現場には正解のない問題があふれている」
    「今の私は『死』について、もっと知りたいと思っている」
    「人を救うのは医療ではない。人なんだ。このことだけは確かだと思っている」
    「スピノザは人間の無力は描いても絶望は描かなかった」
    「私はこの町で、もう少し人の生と死について学びたいと思っている」





    私もこの秋、胃の調子が悪く胃カメラを受けるかどうかずっと悩んでいたので、癌治療受けている患者さんの手術や亡くなっていく場面は他人事ではなかったです。
    癌は早期発見すれば手術で治るというのにも考えさせられました。
    胃の調子はここ何日かはよかったので、今年は胃カメラはしなくても大丈夫だろうと思っていたので、心がゆれました。
    他の本で読んだと思うのですが「癌はお別れを言える病気」とありましたが、やはり終末医療は辛そうでした。
    『ピンピンコロリ』の方が私はやっぱりいい気がします。
    どうしようか悩んでいますが、寒くなってきたから来春まで様子を見てみようかと思います。

    前作も大変評判のいい本でしたが、第二弾も人気です。
    図書館から新刊を一昨日五冊借りましたが、一番待っている人の多いこの本から読みました。

    • どんぐりさん
      私も予約中です♪
      早く来るといいな(o^^o)

      胃カメラはまだ受けたことないです
      できれば一生受けなくないけど
      そうはいかないですよね苦笑
      私も予約中です♪
      早く来るといいな(o^^o)

      胃カメラはまだ受けたことないです
      できれば一生受けなくないけど
      そうはいかないですよね苦笑
      2025/11/17
    • まことさん
      どんぐりさん♪
      予約早く回ってくるといいですね!
      どんぐりさんの年代で、胃カメラをやる人はたぶんまだ少ないと思います。
      健康診断とかでも、ま...
      どんぐりさん♪
      予約早く回ってくるといいですね!
      どんぐりさんの年代で、胃カメラをやる人はたぶんまだ少ないと思います。
      健康診断とかでも、まずはバリウムからでしょう。
      でも、胃カメラはそれ程怖くないですが、大腸内視鏡は私も二年前に初めて受けましたが、あれは痛かったです。
      2025/11/17
    • まことさん
      コメントをくださった皆さん♪
      ご心配ありがとうございました。
      今日、朝から胃が痛くて、二件来客があったのですが上の空でした。
      今日来た友だち...
      コメントをくださった皆さん♪
      ご心配ありがとうございました。
      今日、朝から胃が痛くて、二件来客があったのですが上の空でした。
      今日来た友だちが言うには、胃酸の出過ぎとかでも胃が痛くなるそうです。
      カメラだとすぐわかるそうなので、明日の朝、胃カメラ予約する決心をしました。
      ご心配ありがとうございました!
      2025/11/17
  • 阿闍梨餅をいただける機会があり、マチ先生を虜にするのが、よぉ〜く分かりました♡
    もちっとした食感のなかにある歯ごたえとあんこのあまさが品よくあとに残り、大変おいしゅうございました(๑´ڡ`๑)

    ぜひ、機会があれば食べていただきたいなぁ〜。
    この作品のファンならば♡

    作品は
    何度読み返しても、わたしにとっては得るものがある、傑作です
    本屋大賞ノミネートも本当にうれしいヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。

    2025. 10.3
    まず、はじめに2作目を執筆してくださった夏川草介先生に心から感謝申し上げます

    不思議とひとの心を安心させる
    マチ先生、健在でした

    1作目を読み終えたときから、余韻の熱が冷めることはなく、2作目を切望しつづけていた私

    2作目の発売日が決定し、指折り待ちました
    書店よりも徒歩10分にある図書館を利用することが多いのですが、この作品だけは、書店に駆け込みました
    『桜風堂ものがたり』で本を書店で買いたいという気持ちは増していて、なかなか実現できていませんが、コレだけは!!と書店で買いました

    1作品目とともに 

    ※シリーズではありますが、本作単体としてお楽しみいただけます。
    とありますが、『スピノザの診察室』があるからこそ、より登場人物たちに立体感が増してくるので、1作目も読んでほしい!!っていうか、読むべきです!!

    生と死に悩み、考え、真摯に向き合う医師の姿に感動しました

    本当に素晴らしい作品をありがとうございました!!
    夏川草介先生

    • 図書館が好きなのさん
      阿闍梨餅ーーーー!!!!!


      食べたの?いいないいな‼︎(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)

      そして再読‼︎♡

      うんうん♪本屋大賞ノミネート嬉しいね...
      阿闍梨餅ーーーー!!!!!


      食べたの?いいないいな‼︎(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)

      そして再読‼︎♡

      うんうん♪本屋大賞ノミネート嬉しいね♪
      私はこの本、大賞獲って欲しい!そんでもっと多くの人に読んで欲しい!
      2026/03/03
    • kumkum96さん
      〈〈図書館が好きなのさん

      阿闍梨餅…おいしかった♡

      本屋大賞…獲れるかなぁ
      ノミネート作品、どれも良い作品…
      でも、でも
      ...
      〈〈図書館が好きなのさん

      阿闍梨餅…おいしかった♡

      本屋大賞…獲れるかなぁ
      ノミネート作品、どれも良い作品…
      でも、でも
      前作もノミネートしたし、獲ってほしい!!
      2026/03/04
  • 夏川草介さん著「エピクロスの処方箋」
    2026年本屋大賞ノミネート作品。
    「スピノザの診察室」に次ぐ雄町哲郎シリーズの第2弾にあたる作品。

    先に感想を書いてしまえば前作よりも面白く感じられた。
    物語内に出てくる様々な哲学。興味深く感じられる。
    読後、著者の本作の紹介文を読んでいたらその中に『幸福とは何か?本書の主題はこの問いの中にある』と書かれてあった。
    確かにこの作品はそのテーマに沿った物語。ならば自分もこの物語を読み終えて自分なりに考えてみようかな?と感じた。


    以下は自分なりに幸福についての感想

    「幸福」とは?「快楽」とは?
    確かに類似しているようでありながら、あるポイントでは正反対な面を持っていると感じる。
    自分自身も今まで深く考えた事がなかったし、多くの人達もそれらの本質を漠然的に捉えているだけで其々を掘り下げて考えてみたこともないだろうと思う。

    少なからず自分には「幸福」という言葉は使い勝手のよろしくない言葉だと感じてきている。
    本当の「幸福」を知っている人が使う言葉だろう。けれども同時に本当の「幸福」を知っている人なんているのかな?とも思う。

    そう考えると「幸福」っていう言葉は曖昧で漠然な物なのだと感じられる。きっとそうなのだと思う。
    だから敢えて声高に「幸福」を謳う人々は反って逆に怪しさを感じてしまう。

    それとは別に日常生活において「幸せ」だとを感じることは結構多くある。満足度がそれらを幸せだと感じさせる。
    純粋に何かを楽しんだり、誰かと笑えたり等が幸せだと感じるのだが…
    だけれどそれらは「楽しさ」という一部の側面からくる満足感であり「幸福」という全体像ではない気がしてきた。

    幸福とはきっと凄く多面的であり、快楽なんかもその一部の側面なのだという気がする。
    その正体は複雑で、感情や気質はもちろん、倫理観や道徳心等も含まれている気がする。それらの複合体が「幸福」なのだろうか?

    結局全くよくわからない…

  • 朝から電車に乗っていつものラーメン屋さんに行くのはもはや毎週(日)のルーチン♪
    もちろん昨日も行って来ましたよ(*´﹃`*)

    今日は(月)、休暇に入り3日目ですが、特に予定もない。
    じゃあ、行っちゃうか(笑)
    2日続けてラーメン食べに行って来ちゃいました♪
    さすが年末、開店前からすでに約30名の並び(^^;
    今日も美味しくいただき、食後はドトールコーヒーで小休憩&読書。

    さて、この後どうしよう?(´・ω・`)?

    というわけで、冬の午後、マチ先生に会いにツタバに行ってきた。
    珍しく窓辺の席を確保し、珈琲片手に読み始めたのは本書「エピクロスの処方箋」。
    (たしか、「スピノザの診察室」もここのツタバで読んだよなぁ…)
    年内の読了はギリギリ間に合ったε-(´∀`;)ホッ

    静かに、しかし確かに、胸の奥に何かが灯ったような気がした。
    それは、医療の物語でありながら、どこか祈りにも似た、哲学の書のようでもあった。

    評価は☆4.6
    四捨五入で☆5つ

    (´ρ`*)コホン
    では、本書の内容を含めた感想を。

    『エピクロスの処方箋』は、夏川草介が描く「哲学×医療」シリーズの第二作。
    前作『スピノザの診察室』が「理性による自由」をテーマにしていたとすれば、本作は「幸福とは何か」という問いに、より静かに、しかし深く切り込んでくる。

    物語の主人公・雄町哲郎は、かつて大学病院で華々しいキャリアを歩んでいた内科医。
    だが、ある出来事をきっかけにその道を離れ、京都の町で地域医療に身を投じる。
    彼の診察室には、病だけでなく、孤独や不安、過去の傷を抱えた人々が訪れる。
    その一人ひとりに、哲郎は「治す」ことだけでなく、「寄り添う」ことを選ぶ。

    エピクロスは言った。
    「幸福とは、肉体の苦痛がなく、魂が騒がしくないこと」だと。
    この言葉が、物語の随所で静かに響く。
    哲郎は、病を治すことができない場面に幾度も直面する。
    だが、彼は諦めない。
    「医療では人は救えない。人が人を救うのだ」——その信念のもと、彼は患者の人生に耳を傾け、時に沈黙の中に答えを見出そうとする。

    本書の魅力は、医療の現場を描くリアリズムと、哲学的な思索が絶妙に溶け合っている点にある。
    たとえば、ある高齢の患者が「生きる意味」を問う場面。
    その問いに、哲郎は即答しない。
    代わりに、エピクロスの思想を引きながら、静かに語る。
    「死は、我々が存在しないときに訪れる。だから、恐れる必要はない」
    この言葉が、どれほどの慰めとなるかは人それぞれだろう。
    だが、少なくとも私は、そこに深い優しさを感じた。

    また、京都という舞台も重要な役割を果たしている。
    古都の静けさ、石畳を踏む足音、冬の陽だまり、寺の鐘の音——
    それらが、哲郎の内面の揺らぎや、患者たちの人生の余白と呼応する。
    まるで、町そのものが「処方箋」となって、登場人物たちを包み込んでいるかのようだ。

    スピノザは「人間は自然の一部であり、理性によって自由になれる」と説いた。
    一方、エピクロスは「快楽とは、心の平穏と痛みのなさ」と語った。
    この二人の哲学者の言葉が、夏川作品の中で静かに息づいている。
    それは、読者である私たちにも問いかけてくる。
    ——あなたにとっての「幸福」とは何か?
    ——あなたは、誰かの「処方箋」になれているか?

    物語の終盤、哲郎がある患者に語る言葉がある。
    「あなたの人生は、あなたが思っているよりも、ずっと誰かを救っている」
    この一言に、思わずツタバで泣きそうになった。
    それは、医師としての言葉であると同時に、人としての祈りでもあった。

    『エピクロスの処方箋』は、ただの医療小説ではない。
    それは、現代を生きる私たち一人ひとりに向けられた、静かな問いかけであり、
    そして、日々の喧騒の中で忘れかけていた「静けさ」への回帰の書でもある。

    本を閉じたあと、ツタバの窓から外に目をやった。
    ブルーライトに照らし出されたみなとみらいのイルミネーションが、静かに差し込んでいた。
    その光は、まるで「大丈夫」と語りかけてくるようだった。
    そう、幸福は遠くにあるのではない。
    それは、今ここに、静かに息づいているのだ。



    <あらすじ>
    『エピクロスの処方箋』は、現役医師である夏川草介が描く、医療と哲学が交差する物語。京都の静かな町を舞台に、「幸福とは何か」を問う深い人間ドラマが展開されます。

    舞台は京都。主人公・雄町哲郎は、大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されていた内科医。しかし、母を亡くし一人になった甥を引き取るため、彼はそのキャリアを捨て、地域病院での勤務を選ぶ。静かな町での診療は、派手さはないが、確かな手応えと人とのつながりを彼にもたらしていた。

    ある日、哲郎の元に大学時代の同僚である准教授・花垣が訪れ、難しい症例の相談を持ちかける。患者は82歳の男性で、なんとそれは、かつて哲郎が大学病院時代に激怒させた絶対的権力者・飛良泉寅彦教授の父親だった。過去の因縁と向き合いながら、哲郎はこの患者と真摯に向き合うことを決意する。

    物語は、医療の限界と人間の尊厳、そして「救うとは何か」という問いを軸に進む。哲郎は、病を抱える患者たちやその家族と接する中で、医療だけでは癒せない「心の痛み」や「孤独」に直面する。そんな彼の思索を導くのが、古代ギリシャの哲学者・エピクロスの思想だ。エピクロスは「快楽主義者」として知られるが、彼の言う快楽とは「精神の安定」と「肉体の苦痛のなさ」、そして「孤独ではないこと」にあるという。

    哲郎は、医師としての技術だけでなく、人としての在り方を模索しながら、患者と向き合い、時に悩み、時に立ち止まりながらも、確かな一歩を踏み出していく。彼の姿は、読者に「本当の幸福とは何か」「人はどう生き、どう死ぬべきか」という根源的な問いを投げかける。

    『スピノザの診察室』に続く本作は、シリーズでありながら単体でも楽しめる構成。医療小説でありながら、哲学的な深みと静かな感動を湛えた一冊である。京都の町並みの静けさと、登場人物たちの誠実な言葉が、読者の心に静かに沁みわたる。

    「医療では人は救えない。人が人を救うのだ」——その言葉の意味を、読者はページをめくるごとに深く噛みしめることになる。


    本の概要
    「医療では、人は救えないんだよ」
    現役医師が描く、人の命と幸福について。
    2024年本屋大賞第四位&京都本大賞受賞、映画化決定の感動作『スピノザの診察室』続編、ついに刊行!
    ※シリーズではありますが、本作単体としてお楽しみいただけます。

    「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」
    思想する医師・雄町哲郎は今日も京都の街をゆく。
    大人気、哲学エンタメシリーズ待望の第二弾!

    【あらすじ】
    大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
    ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
    患者は82歳の老人。
    それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だったーー。
    「エピクロスが主張している快楽の本質は、何よりも『精神の安定』のことなんだ。だから自分は快楽主義者だと言う奴に出会ったら十分に注意することだ。心の平静を求めているのか、ひたすら快楽を求めているのか、こいつは全く別物だよ」(本文より)
    エピクロス……古代ギリシャの哲学者。快楽主義を提唱した。
    【著者からのメッセージ】
    「幸福」とは何か。
    本書の主題は、前作『スピノザの診察室』と同じく、この問いの中にあります。
    幸福に生きるとはどういうことか。幸福は環境が与えるものなのか、それとも自分の力で生み出すものなのか。幸福と快楽とは何が異なるのか。
    これらの問いが私の中で年々重みを増しているのは、臨床現場で様々な命の在り方に出会うからかもしれません。無論、容易に答えが出るものではありませんが、思索の旅を少しずつ前へと進めています。
    古代ギリシャの哲学者エピクロスは、快楽主義の祖と言われる人物ですが、この問いに、実に簡潔な答えを示しました。
    それは、心に悩みがないことと、肉体に苦痛がないこと。
    彼が提示したこの素朴な条件に、私はもう一つだけ付け加えます。
    すなわち「孤独ではないこと」。
    多様性の名のもとに、人と人とのつながりが断ち切られ、互いに歩み寄ることが難しくなりつつある現代だからこそ、この物語が多くの人の足下を照らす、温かな灯火となることを願っています。
    ――夏川草介

    著者について
    夏川草介(なつかわ そうすけ)
    現役医師として地域医療に従事しながら執筆を続ける小説家で、代表作『神様のカルテ』シリーズで広く知られています。

    プロフィール
    - 本名・生年:夏川草介(ペンネーム)、1978年生まれ、大阪府出身
    - 学歴:信州大学医学部卒業
    - 職業:内科医、小説家(長野県で地域医療に従事)
    - デビュー作:2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞し作家デビュー

    主な著作と代表作
    | タイトル | 発行年 | 特徴・内容 |
    |----------|--------|-------------|
    | 神様のカルテ | 2009年 | 地方病院を舞台にした医療小説。シリーズ累計337万部超のベストセラー。映画・ドラマ化も。 |
    | 神様のカルテ2〜新章 | 2010〜2019年 | シリーズ続編。医師としての葛藤や成長を描く。 |
    | 本を守ろうとする猫の話 | 2017年 | 書店と猫をめぐるファンタジー。読書の意味を問い直す物語。 |
    | 臨床の砦 | 2021年 | コロナ禍の医療現場を描いた記録小説。現役医師ならではのリアルな筆致。 |
    | スピノザの診察室 | 2023年 | 哲学と医療を融合させた新境地。2024年京都本大賞受賞。 |
    | エピクロスの処方箋 | 2025年 | 『スピノザの診察室』の続編。生きる意味を問う哲学的医療小説。 |

    作風の特徴
    - 医療現場のリアルな描写:現役医師としての経験が作品に深みを与える。
    - 人間ドラマと哲学的テーマ:命、死、希望、孤独といった普遍的な問いを丁寧に描く。
    - 温かく誠実な語り口:読者の心に静かに寄り添うような文体が魅力。

  • 続編が出てたって興奮して手に取りました。今度の哲学者はエピクロスとかっw
    難しい話はピンとこないのですが、阿闍梨餅とか長五郎餅には癒される。前作読んだ後、すかさず京都に行って表紙絵の橋がどこなのか聖地巡礼しながらイノダコーヒーとか和菓子求めて訪ね歩いてました。
    今回も新たな和菓子の登場に要チェックですw
    緊迫した医療の現場でルーティンワークをこなすマチ先生。
    末期の患者を看取ることもしばしばあったりで無力さを感じるなかでも希望を見出せる展開です。
    下世話な私には南先生との関係も気になるところなんですが志しの高い2人からは人類愛しか感じられない尊さでした。

    • かなさん
      やっとこの作品図書館に入ったので予約しましたが
      読めるのはまだ先になりそうですが
      読むのを楽しみにしてるんですよ♪
      この作品の表紙の場...
      やっとこの作品図書館に入ったので予約しましたが
      読めるのはまだ先になりそうですが
      読むのを楽しみにしてるんですよ♪
      この作品の表紙の場所、見つけられるといいですね\(^o^)/
      2025/10/19
    • つくねさん
      かなさん、こんにちはw
      早速読んでしまいました。
      京都訪れるのが楽しみになりましたw
      AIに聴いてみまあしたが解りませんでしたw
      かなさん、こんにちはw
      早速読んでしまいました。
      京都訪れるのが楽しみになりましたw
      AIに聴いてみまあしたが解りませんでしたw
      2025/10/20
  • ウルトラマンさんに唆されて買っちゃいました(笑)
    文庫まで待とうと思ってましたが、待てなくなりました(-。-;
    ウルトラマンさんの所為です(-。-;


    待たなくて良かったです!
    お金出して買いましたけど、買った分以上の満足感を頂きました(*´꒳`*)

    夏川先生の本はエエですね(∩ˊᵕˋ∩)・*
    キャラクターが本当、素敵です!
    神様のカルテの登場人物も大好きでしたが、マチ先生はじめ、龍之介くんもとても味があります。

    押し付けがましくないマチ先生の哲学が、心にじぃーんと沁みます*( ᵕ̤ᴗᵕ̤ )*
    マチ先生のような先生が同じ町に居てくれたら心強いだろうなぁ。。。

    2作目に入って少し物語が動いてきましたが、このも物語はまだまだ続きそうですね♪
    楽しみです(*ˊᗜˋ*)♡


    今回のお菓子は、阿闍梨餅、長五郎餅、矢来餅に御鎌餅*( ᵕ̤ᴗᵕ̤ )*
    美味そうですね♪
    阿闍梨餅以外は食べたことがないので、是非とも試してみたいです♪

    今回出てきたお寺は、東寺、八坂神社、知恩院等。頭に京都の街並みを思い浮かべながら、京都を歩いている気持ちで読み進めました(*´꒳`*)京都、いいなぁ(*ˊᗜˋ*)♡


    本屋大賞ノミネート作、まだ読んでない作品ありますが、この辺にしておきます^^;
    暫くはブックオフで我慢しよーっと。


    ----

    17年ほど使用した冷蔵庫の製氷器が壊れ、私は氷あまり使いませんが、毎日氷を使ってお酒を飲む旦那が不便なようで、新調することにしました。ついでにリビングの壊れかけのエアコンも買い替え、ボロボロの炊飯器も買い替えました♪

    一昔前と比べると、全部1.5〜2倍くらいの値段!?
    めっちゃ高くなりましたねー(^◇^;)
    何買っても高すぎくんです(-。-;

    帰りにマックのテリタマ買って帰りましたが、ポテトを小さいのにして、ホットコーヒーつけて720円だったかな?めっちゃ高い(-。-;
    マックも高くなりましたね(-。-;

    ホットコーヒーの味は良かったです(∩ˊᵕˋ∩)・*

    • bmakiさん
      ぴこさん

      一冊目で、もう絶対に良い本って分かっていたので、安心して購入できました(∩ˊᵕˋ∩)・*
      キャラクター、皆様いいですよね♪...
      ぴこさん

      一冊目で、もう絶対に良い本って分かっていたので、安心して購入できました(∩ˊᵕˋ∩)・*
      キャラクター、皆様いいですよね♪
      みんな素敵(*´∇`*)

      洗濯機もピンキリですよね!
      うちは最底辺のあたりの洗濯機使ってます(笑)

      我が家は安物買いなのですが、それでも高かったです。以前はnationalがPanasonicになってから買ったnational製品で、超お買い得でしたし、エアコンも8万くらいだったのに、今はみんな10万以上でした。当たり前か(^◇^;)
      2026/03/28
    • ぴこさん
      まきちゃん♡
      エアコン安いものなくなる問題

      2027年4月から施行される新たな省エネ基準により、5〜6万円台の格安・低機能エアコン(スタン...
      まきちゃん♡
      エアコン安いものなくなる問題

      2027年4月から施行される新たな省エネ基準により、5〜6万円台の格安・低機能エアコン(スタンダードモデル)が製造・販売できなくなります。基準クリアのための技術コスト増により、製品単価は全体的に3割以上上昇し、10万円以下の新品購入が難しくなる見通しです。
      だそうな。何でもかんでも高くて困る!
      2026/03/28
    • bmakiさん
      ぴこさん

      エアコン安いもの無くなる問題。
      ちょうど昨日友達と話していたところでした。
      10万円以下が無くなっちゃうと、エアコン買い...
      ぴこさん

      エアコン安いもの無くなる問題。
      ちょうど昨日友達と話していたところでした。
      10万円以下が無くなっちゃうと、エアコン買い換えも悩んでしまいそうヽ(;▽;)ノ

      そんな高いと、なかなか買えなくて熱中症で亡くなっちゃう人が出てこないかなぁ??
      2026/03/29
  • 図書館待ちに耐えきれず…
    買ってもうた…(^◇^;)

    お〜!
    いきなり東寺が出て来る!壬生通り。
    ちょっと前は、東寺の辺りで仕事してた事もあったけど、その時は東寺は一度も行った事ない(^◇^;)
    (京都みなみ会館という映画館はある!残念ながら潰れたけど)
    まぁ、ライトアップとかない限り、閉門してるけど。
    今回は、東寺が良く出て来る!
    終わりも初弘法やし。
    行ったばっかりやから、良く分かるので、更に共感力アップ。
    でも、Googleマップ片手にやったけど^^;

    前作で、ああいう強行で内視鏡手術に参加したけど、いまだに、大学は出禁_| ̄|○
    本人さんは、そう気にはしてないのかもしれん。
    大学病院とは、違う道を歩み始めてるマチ先生。
    ぞれぞれ想うゴールは違ってるけど、ええんとちゃうかな。大学を拒絶する訳やなく、良い意味で混じり合って、自分の目指すとこ行けば。ゴールが変われば、大学に戻るのも良いし。
    まぁ、これからも、なんとなく、大学と交わりそうやけど。

    教授怒らせて大学去ったマチ先生。それで、出禁になったんやけど、教授のお父さんを…
    とりあえず、出禁は、なくなってそうやと思ったけど、それ以上やん!

    でも、こういう交流はアリかもしれんな。
    最先端医療だけやなく、地域に根付いた医療も勉強して、腕だけやなく、心も磨いていく…
    医療技術に過信せず、患者に寄り添って、最適な治療を目指す。患部を治すのも一つの手段と捉えていくような。
    治せる病気なんて、数少ないのを自覚して、患者さんに向かえる事。
    私としては、最後に「ありがとう」と言って貰えるお医者さんがええなぁ〜!

    多少の色恋もありで…
    上手くいくかは、分からんけどね。
    医療技術と違い幼稚園レベルやし(・・;)

    良かった〜!!!

    今回は、このお菓子
     大黒屋の御鎌餅
    食べた事ないかも?
    (貰いモンは、名前見てないから、食べてるかも?^^;)


    (本文より↓)
    「人が、自分の権利ばかり口にするのは、自分ひとりで生きていけると思っているからです。
    でも人生はそんなに甘いものじゃない。生きていくことの哀しみを知っている人間は、理由などなくても、誰かの力になりたいと思うものですよ」

    「僕は思うんですよ。確かに世の中には、治せない病気が山のようにある。けれども癒やせない哀しみはない」

    「勝ち負けなんて、短い人生に何の意味がありますか」

    • ultraman719さん
      ユッキーさん

      ハイ!買いました!(^◇^;)
      映画は、明日からやで〜!!!
      ユッキーさん

      ハイ!買いました!(^◇^;)
      映画は、明日からやで〜!!!
      2026/03/19
    • どんぐりさん
      ウルさんめちゃくちゃ本持ってて
      売ったことないんですね(´⊙ω⊙`)

      積み本だけでも凄そうなのに
      本当に床が落ちそう、、、(°_°;)ハラ...
      ウルさんめちゃくちゃ本持ってて
      売ったことないんですね(´⊙ω⊙`)

      積み本だけでも凄そうなのに
      本当に床が落ちそう、、、(°_°;)ハラハラ(; °_°)
      2026/03/20
    • ultraman719さん
      どんぐりさん

      なかなか、愛着あるのか売れなくて…
      古い本だと、売っても二束三文ですしね。
      レビュー数+積読本は、あります。積読本が、300...
      どんぐりさん

      なかなか、愛着あるのか売れなくて…
      古い本だと、売っても二束三文ですしね。
      レビュー数+積読本は、あります。積読本が、300程度かな?(^◇^;)
      2026/03/20
  • お久しぶりのマチ先生です(*^^*)




    本屋大賞ノミネート作品ですね(^^)
    ノミネート発表のタイミングで届いて嬉しいです!




    読む前にスピノザのレビューで復習してから読みました(^^)
    自分のマチ先生の大好きさに笑いました笑



    でもやっぱりいいんよなぁ
    今回もよかったなぁ〜(*^^*)




    マチ先生の言葉選びが好き
    全体を纏っている空気が好き
    ずっとそこに浸っていたいです



    南先生の言葉を借りると


    『耳を傾けていると、突然見える世界が変わる時がある。新しい知識を教わるのとは違う。それまで当たり前だと思っていた物事が、当たり前でなくなる瞬間がある。』



    まさにその通りで
    読んでいて、同じ瞬間を感じられます。



    特にマチ先生の病との向き合い方には
    今まで普通に考えていたことを
    ガラッと変えられます




    治療することが常に患者の幸せではなくて
    じゃあ何が幸せなのか
    問い続けているマチ先生を
    これからもずっと見ていたいです



    哲学書だと全然読めないけど
    マチ先生の話ならずっと聞けるんだよな(´∀`)



    そして
    読んでいるとおまんじゅう食べたくなる笑


    京都のお菓子全然知らないので
    調べながら読んでたら
    お腹空いてきちゃいました、、、笑



    そして他の方々も相変わらず素敵だった♡








    本書で1番心に残った場面を忘れたくないのでここに記します。

    ちょっとネタバレになるかもなので読みたくない方はスルーでお願いします









    今までレストランをやりながら妻を看病していた元之助が、妻の容態が悪化して店を休んで妻に付き添おうとした時にマチ先生が声をかける場面です。


    「残りの時間が少ないことは確かです。しかし店を閉めてずっと光恵さんに張り付いていることがいいかどうかは、別の問題です」


    「最期だからといって急に四六時中張り付いたりしたら、まるで光恵さんが亡くなるのを待っているかのようになる」

    ということをマチ先生がいいます


    「亡くなる瞬間に手を握って別れの声をかけてやるというのは、テレビドラマでよく見かけるシーンですが、本当に大切なことはそういうことではないと思います。亡くなるまでの時間を、つまり生きている間の時間を、どうやって寄り添いながら積み上げていくか、それが一番大事なんだと私は思っているんです」




    ここからは自分の話になってしまうのですが





    数年前に父を亡くしました。


    急な脳出血で、病院に運ばれてそのまま意識は戻りませんでした。
    病院では2日ほど意識のないまま過ごし息を引きとりました



    最初の1日は急なことで家族みんな動揺していました
    落ち着いてくると、父に寄り添いながらもそばを離れるのが怖くなってきます。

    トイレに行っている間に消えてしまったらどうしようと。
    一旦帰った間に消えてしまったらどうしようと。


    実際にいつ最後の時がやってくるかなんて誰にもわからなくて
    だんだんと変になってくるのか
    ちょっと亡くなるのを待っているような感覚を感じてしまったんです。
    もちろん亡くなってほしくはないし
    少しでも長くここにいてほしいと思うのだけど、、、



    それを的確にマチ先生が言葉にしてくれて
    読んでいてハッとしました。


    父の場合は闘病していたわけではなく
    生きている時間を寄り添い積み上げられていたかはわかりませんが、、、


    うまく言葉にできませんが、
    この感覚を文章にしてくれた、それを読めただけでも読んでよかったなとおもいました




    今後自分自身も病気になるときが来ると思いますが
    私もマチ先生に診てもらいたいな




    • どんぐりさん
      みひろさん

      みひろさんは早くにお母様を亡くされてたんですね
      辛い経験なのに、コメント下さりありがとうございます

      お父様のお気持ち、想像し...
      みひろさん

      みひろさんは早くにお母様を亡くされてたんですね
      辛い経験なのに、コメント下さりありがとうございます

      お父様のお気持ち、想像しきれませんが
      辛い日々だったでしょうね

      マチ先生の言葉や考えに触れると、いろんなことを思い出して、少し視野が広がる気がします
      それでちょっと慰められるというか。

      みひろさんも是非読まれてください(*´꒳`*)
      2026/02/16
    • ultraman719さん
      まずは、「スピノザの診察室」から読みまーす!
      図書館予約中!
      舞台が京都なんで、分かるかな?
      まずは、「スピノザの診察室」から読みまーす!
      図書館予約中!
      舞台が京都なんで、分かるかな?
      2026/02/17
    • どんぐりさん
      ウルさん

      わかると思います!
      頷くところいっぱいありそう٩( ᐛ )و
      ウルさん

      わかると思います!
      頷くところいっぱいありそう٩( ᐛ )و
      2026/02/18
  • スピノザの診察室の続編。
    あ〜この空気感が好きすぎる。

    医療系のお話って 少なからず悲しみを伴って 気持ちが落ちてしまうのだけど、こんなに「死」とも向き合ったお話なのに むしろ温かい気持ちになれるなんて。

    治せる病もあれば 治せない病も山のようにある。
    だけどマチ先生は "けれども癒せない哀しみはない"という。
    この言葉がめっちゃ沁みてしまった〜
    大学病院で受ける最先端の医療も 緩和ケアの様な終末期の医療も どちらも大切な医療なんだと改めて考えさせられた。
    マチ先生の様な先生に出会えたら幸せだな〜。
    穏やかだけど、とても深いお話でした。

    医師不足で大変な世の中、日々身を削って従事されてる医療関係の方々への有難みも凄く感じた。

    そして龍之介くんの事、南さんの事、これからも見ていきたいな〜!
    続編まだありそうかな?続くといいな









  • 「スピノザの診察室」の続編。

    続編だけど、こちらから読んでも大丈夫そう◎。
    今作も終始優しく穏やかな空気が漂っていて、最高に癒される読書時間を過ごせました( ᵕᴗᵕ )

    今作ではマチ先生をはじめとする、原田病院に関する登場人物たちの背景が描かれていて、彼らに近づけたような気がするし、意外な事実を知れて嬉しかった。

    前作に引き続き、マチ先生の患者さんやご家族への接し方、マチ先生の哲学が素敵すぎた。
    患者の孤独、患者家族の孤独って、医療者の態度ひとつで、こんなに変わるものなんですね。
    私自身が持病持ちで、今の先生に出逢えるまでは、なかなか誰にも症状を理解してもらえず…確かに、孤独感はあったかも。
    自分の現状に改めて感謝したくなったし、今作のマチ先生の数々の言葉がすごく心に染みた。
    特に引用した箇所を心に留めて生きていきたいし、今後も繰り返し読み返したい。

    そして相変わらず花垣先生かっこよすぎ…!
    花垣先生とマチ先生のお互いへの信頼感、それによって生み出される連帯感が最高すぎる。
    寅重老人の治療の場面がとにかく胸熱で、涙が溢れたし、マチ先生のある言葉が蘇り、本当にその通りだな、としみじみ。

    そして、「白魔の檻」と続けて読んだからか、より医師の働き方についての描写が心に残った。
    なかなか難しい問題ですね…。

    ラストの展開も最高!
    これは、きっと続編ありますよね…?
    今後も楽しみな作品になりました♪

    そしてもちろん、今作にも京都の銘菓が登場!
    前作と同様、装画にもバッチリ描かれていました!
    また食べに行かなくちゃ( ー̀֊ー́ )✧

    • mariさん
      ultraさん

      えー!知らなかったです!
      いい情報をありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)
      それを踏まえていつ観に行くか決めますね✧*。

      ...
      ultraさん

      えー!知らなかったです!
      いい情報をありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)
      それを踏まえていつ観に行くか決めますね✧*。

      上下巻だから読み応えありますもんね!
      レビューも映画記録も楽しみにしていますね(っ ॑꒳ ॑c)
      2026/03/20
    • ultraman719さん
      小説も映画も楽しみましょ〜♪
      小説も映画も楽しみましょ〜♪
      2026/03/20
    • mariさん
      ultraさん

      楽しみましょう♪
      \( °-°)/≡(\ °-)/≡\( °)/≡\( )/≡\(° )/≡\(-° /)≡\(°-° )...
      ultraさん

      楽しみましょう♪
      \( °-°)/≡(\ °-)/≡\( °)/≡\( )/≡\(° )/≡\(-° /)≡\(°-° )/
      2026/03/20
  • 『スピノザの診察室』の続編。
    前作を読了したばかりで余韻が残る中、またマチ先生たちに会えるのが嬉しい。

    母を亡くし一人になった甥の龍之介と一緒に暮らすため、大学の医局を退局して原田病院に勤める内科医の雄町哲郎(マチ先生)。大学の先輩で准教授を務める花垣から信頼され、たびたび処置の難しい患者を依頼される。そんな中、花垣から持ち込まれた難しい症例の患者は82歳の老人。それは、かつて哲郎が退局するときに激怒させた、大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だった…

    前作の世界観はそのままに、医師として、人として、患者やその家族に寄り添うマチ先生の温かさに涙する。

    一方で、前作ではただ嫌な奴だと思っていた飛良泉教授や西島先生について、それぞれ信念を持って働いていることが描かれていて、だいぶ見方が変わった。

    本作でも相変わらず読後は付箋だらけ。読書メモが大変なことに…笑

    ネタバレしない程度で心に残ったフレーズ。
    “「お前が私のもとに来てくれて、丸三年だ。本当に大変なことばかりだっただろうが、私はお前が来てくれたことに、心から感謝している。私だけじゃない。花垣さんも、歌子さんも、それから中将先生や秋鹿先生たちも、みんなそう思ってる」”

    龍之介に対するマチ先生の想いが込められた温かい言葉に涙。

    • shintak5555さん
      あと24人!
      蔵書数が21冊だからそんなに待たないはず!信じてる!

      でも、年は明けるだろうなぁ・・・。
      あと24人!
      蔵書数が21冊だからそんなに待たないはず!信じてる!

      でも、年は明けるだろうなぁ・・・。
      2025/12/13
    • べーさん
      shintak5555さん

      蔵書数21冊ですか!
      うちの地元図書館は12冊でしたが、早めに順番が来てラッキーでした(≧∀≦)

      年内に回っ...
      shintak5555さん

      蔵書数21冊ですか!
      うちの地元図書館は12冊でしたが、早めに順番が来てラッキーでした(≧∀≦)

      年内に回ってくるといいですね!
      2025/12/14
    • shintak5555さん
      念じます!
      念じます!
      2025/12/14
  • 「幸も不幸も、突然空から降ってくるようなものじゃない。雑多な物事とともに我々の足下に埋もれていて、私たちがそこから何かを見つけるかということなんじゃないかな」
    「降り続く雨を止めることはできないが、傘をさすことはできる。」
    「スピノザは人間の無力は描いても絶望は描かなかった。」
    『エピクロスの処方箋』の中でも、マチ先生はマチ先生であり、スピノザの哲学が息づいていた。
    目の前にいる人が今を笑顔で過ごせるように、患者さんと向かい合う。それがマチ先生だ。
    南先生の存在感も大きくなり、話の展開はますます面白くなってきた。
    でも、医療現場は教育現場と同じように人手不足が深刻なのだろう。

    シビアな現実の中にも哲学があり、希望がある夏川草介さんの本。読後感に救いがある。

  • マチ先生、おかえりなさい!
    本屋大賞に入賞した「スピノザの診察室」の続編です。
    あの世界感の話がまた読めるなんて⋯ワクワクして読みました。
    花垣先生とマチ先生。
    南先生とマチ先生。
    西島先生とマチ先生。
    どんな人とも、誠実に向き合うマチ先生に惹かれます。
    訪問診療、終末医療と「人の死」が否応なく描かれている作品なのに、読後感が悪くないのも、不思議な魅力のひとつですね。
    これも、マチ先生の人柄のおかげかもしれません。
    早くも続編が読みたい!南先生どうなるんだろう。

  • スピノザに続いてエピクロスと哲学が続く。夏川さんの作品はどんどん哲学化に拍車がかかるよう。死亡する患者が多く、治療よりも死へ向かう患者が多いので哲学的にならざるを得ないのかも知れない。
    内容は「神様のカルテ」シリーズや前作同様に色々な病気の人が出てくるし、難しい内視鏡治療の患者もあり、興味深く読ませてくれる。最後は恋愛らしきものもあり、次作を期待させてくれる。
    医療現場の大変さも出てきて、現在は内科、外科の医者がいないということに驚く。直美(チョクビ)と言われ、若手はお金が稼げる美容外科に直接行くとか。働いて、働いて、、、は若手医者には遠い言葉のようだ。

  • 『スピノザの診察室』の続編。
    期待を裏切らない満足感に暫し酔いしれる。

    大学病院を去り、地域病院で外来、病棟、訪問診療所と多岐にわたる業務をこなす雄町哲郎ことマチ先生だが、甥っ子の龍之介を引き取って3年経った。

    医療が人を救うのではなく、人が人を救うという姿勢は変わらない。

    今回は、マチ先生の力量を惚れ込む花垣から難しい症例が持ち込まれるも彼らしいと思う挑み方に感心した。

    生と向き合う医療でもなく、死と向き合う医療でもなく、第三の道を目指すというマチ先生らしさにこれも哲学なのかと思う。

    研修医の南先生から見えるマチ先生というのは、特別貫禄があるというわけではない。熱意や使命感に溢れているようにも見えない。ともすれば怠惰にさえ見える瞬間があるというのに、話しをしていると気付かぬ間に見える世界が広がっていくような感覚がある。という表現をしていたが、確かに掴みどころのないマチ先生に妙に惹かれていくのは不思議だけれど、こうなりたいという憧れがあるからかもしれない。

    知識は大事だが、自分の頭で考えることも大事である。看取りは医学書には載っていない、経験して考えての積み重ねなんだろう。





    • shintak5555さん
      湖永さんも読まれて大満足だと言うことですね!
      早く読みたいけど、なかなか図書館の順番が回ってこない・・・。
      でも長く待つほど楽しみがマシ...
      湖永さんも読まれて大満足だと言うことですね!
      早く読みたいけど、なかなか図書館の順番が回ってこない・・・。
      でも長く待つほど楽しみがマシマシになりますね!
      2025/12/02
    • 湖永さん
      医療小説はいろいろあるけれど、誰も嫌な気持ちにならずにまたマチ先生に会いたいと思ってしまう。
      こんな先生が主治医なら最高なのにと今作も思いま...
      医療小説はいろいろあるけれど、誰も嫌な気持ちにならずにまたマチ先生に会いたいと思ってしまう。
      こんな先生が主治医なら最高なのにと今作も思いました。
      2025/12/02
    • shintak5555さん
      シリーズが続いてくれると良いですね!
      まずはコイツを読んでからですけどね。笑
      シリーズが続いてくれると良いですね!
      まずはコイツを読んでからですけどね。笑
      2025/12/03
  • 手元に置いて、迷った時、しんどい時に手に取りたい、そんな本です。
    シリーズ2を読み終わって、もう次が待ち遠しい!!

  • この本を手に取ってよかったと思える本だった
    やはり、こんなお医者さんに診てもらいたい

    今回も患者さんとの向き合い方に温かみを感じるお話だった。目の前の患者さんの命と向き合う時、何が最適解なのかというテーマは、前作と変わっていないと思うけど、少し答に近づいていると感じた。

    早くまた、この世界感に戻ってきたい。

  • 楽しみにしていた続編は、色づく秋の京都をマチ先生の自転車が訪問診療先に向かう場面から始まりました。

    マチ先生の患者との向き合い方は変わらず優しく、消化器内科医としての技術もさすがでした。小説は、患者自身の思いや患者家族の思いもえがかれ、病気がもたらすものの大きさを感じることもできました。

    また、マチ先生の言葉は人の心に染み込むものが多く、今回も多くの言葉が読者の私にも染み込んで来ました。哲学者エピクロスが追求した幸福についてもマチ先生なりの解釈が加わって、なるほどと思いました。

    そしてマチ先生と暮らす龍之介くんと、後期研修医の南先生には、大きな成長を感じました。中将先生の考え方もよかったです。

    今回は教授の家族の治療がひとつの焦点でした。医療は誰のためにあるのかを考える物語でもありました。その中で、これから治療する患者にも看取る患者にも同じように大丈夫と言える医師になりたいというマチ先生、最高でした。「人を救うのは、医療ではない、人なんだ」と言いきった言葉も、読者の私の心にとても響きました。

    スピノザ、エピクロスと続いて次はどんな哲学者をモチーフに小説が紡がれるのか、楽しみです。更に続編があることを期待して待ちたいです。



    • フリージアさん
      やっぱりマチ先生、いいですよね。
      こんな医師と出会いたいです!
      やっぱりマチ先生、いいですよね。
      こんな医師と出会いたいです!
      2025/12/08
    • きたごやたろうさん
      「いいね」ありがとうございます。

      夏川さん、いいですよね!
      医療ものだし大好きです。
      「いいね」ありがとうございます。

      夏川さん、いいですよね!
      医療ものだし大好きです。
      2025/12/09
    • フリージアさん
      きたごやたろうさんへ

      やっと読めました。
      この作品、とてもよかったですね!
      きたごやたろうさんへ

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      2025/12/09
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著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。長野県にて地域医療に従事。2009年『神様のカルテ』で第10回「小学館文庫小説賞」を受賞しデビュー。同作は10年に「本屋大賞」第2位となり、11年には映画化もされた。著書に『神様のカルテ2』『神様のカルテ3』『神様のカルテ0』『新章 神様のカルテ』『本を守ろうとする猫の話』『始まりの木』『臨床の砦』『レッドゾーン』『スピノザの診察室』等がある。

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