- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784910954004
作品紹介・あらすじ
これは、ひとりよがりの贅沢ではない。−−ひとの日常、ひとの営みが軽視される日々にあらがう、意地なのだ。
日常において、とても些細なことだけれど、気にかかっていること。タオルやシーツ、ゴミ箱、セーター、靴、本棚……。これでいいやで選んできたもの、でも本当は好きじゃないもの。それらが実は、「私」をないがしろにしてきた。淀んだ水路の小石を拾うように、幸せに生活していくための具体的な行動をとっていく。やがて、澄んだ水が田に満ちていく。――ひとりよがりの贅沢ではない。それは、ひとの日常、ひとの営みが軽視される日々にあらがう、意地なのだ。それが“私”の「生活改善運動」である。
手づくりのZINEとしては異例のシリーズ累計五千部を記録した大人気エッセイ『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』を、5万字の書下ろしとともに再構成。待望の単行本化!
装丁:矢萩多聞(Ambooks)
校正:牟田都子
感想・レビュー・書評
-
リブラリエのアルトス分室の棚がメンテナンスされたというので、ひょっとして、と期待しながらのぞいてみると……やっぱり! 入荷されてました、気になっていた安達茉莉子『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』。
愛らしい装丁と、がっぷり組み合った骨太な中身。
「それは、贅沢ではない。意地なのだ。「人流」を抑える緊急事態宣言、オリンピックの前に、ひとの日常、ひとの営みが軽視される毎日。コロナ以前に、そもそも貧しくなってきている経済、社会。個人としても日常的に恐怖がある毎日のなかで、自分の「生活」をできるだけ心地よく幸せにしていくという試みは、自分たちを貧しく、雑に扱わせてはならない、という意地につながる。」
という言葉が印象的で、何回もくり返し読む。
たとえばAmazonの検索ボックスに、探している物の名前を打ち込むだけで、無数の選択肢が値段とともに提示されるような毎日のなかで、より自分の好きな方を選択するって、ときにすごく勇気がいるけど、それは贅沢なんかじゃないんだよー!って、誰かに向かって叫びたい。誰に?
著者のzineや作品づくりに取り組むエネルギー、妙蓮寺の本屋・生活綴方を中心とするコミュニティの営みが、風になってページの間からびゅんっと吹いてくる。
きっとこの風も、この本の魅力のひとつなんだろうなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
良かった。まずタイトルに惹かれて読み始めた。こういった類の本は、通常は本の中で描かれる素敵な生活に憧れを抱くものの同じことを実現するのはなかなか難しいよね、、という感想で終わることが多い。が、この本は、著者がこれでもかというくらい自分の弱みをさらけ出してくれて、これなら私にも真似できるかなと思わせてくれる程に少しずつ、理想の暮らしに近づいてくれるのだ。著書を出版できるくらい才能に溢れた方なのに読者への歩み寄りの姿勢にお礼をお伝えしたいくらい。。改善のプロセスとそこに至るまでの心の動きがとても丁寧に書かれていて、
心地よく背中を押してもらえる本。 -
すごく良かった。読んで良かった。わざわざ遠くの本屋さんまで足を伸ばして購入しながらも、どこかでおしゃれな人の雑誌のような、薬膳的な健康的な本なのでは、と思っていた。
いたく共感できる内容が満載だった。洋服の件では特に共感し、もっと自分の美学を大切にしよう、美学を考えようと思った。気後れしてしまうセレクトショップへの入店。店員さんから、なんであなたがこの店に入るんだと思われていると確信をもって思う妄想。だけど、私はもっと私を大切にしていい。私の美の追求のために、なんの気後れも必要ない。
自分の中の希望、これでいいんだと思えること。安達茉莉子さんの一歩一歩の生活改善運動の様子は、私に希望を与えてくれた。さぁ、私も私の生活改善運動を始めよう。 -
図書館で長い順番待ちの末、漸く読むことができた。最初、読み始めた時に「フランス人は10着しか服を持たない」が思い浮かんだ(実際に、「魂の一番外側」の章でその本のことにも触れていた)。
とはいえ、内容は決してミニマリストではなく、雑誌やvlogで見るような丁寧な暮らしとも異なっていた。自分の生活が少しでも幸せに感じられるように、身の回りのものを選び、時には作り、愛着をもって大切に使う。その積み重ねが生活改善運動であるとわかる。
内容はハウツー本ではなく、あくまで著者が上手く行かないこともありながら、生活を叶えていくエッセイだった。読んでいてかなり癒された。わたしは片付けもそんなに得意じゃないし、気がつくと気に入ってない物が部屋のスペースを占領していたり、その一方で理想の服が欲しくて洋裁をすることもあるので、度々、わかる!という気持ちになった。
図書館で貸りたけど、結局、本も購入した。本棚に置いて、時々読み返したい。 -
他の誰でもない、自分が「快」と思うものを選んでいく。
それが大事なんだろうと思いながらうまくいったりうまくいかなかったり・・・。
あまりにも共感できてしまう。
断捨離もていねいな暮らしも分かるけれど「がわ」だけを真似てもどうにもしっくりこない。
「私」にマッチしていないのだ。
だってそれは「私が考えて選んだ」のではなく誰かの心地よい生活の真似だから。
自分に何が心地よいかを考えて選んでいく。
たとえたどり着いた「快適」が雑誌で見たものと同じだっとしてもださかがスピーディーにくれた答えとそれは幸福度が違う。
そういうことの記録が書かれている。
ZINを書籍化したものらしいけれど、書籍化ありがとう!!と思う。
素敵なZINは多いけれど中々手に取る機会が少ないからね。
こちらは妙蓮寺の本屋さんが登場する。
石堂書店は知っているし買ったこともあるけれど姉妹店が新しくできていたのを知らなかった。
近いうちにお邪魔してみたい。 -
読了
著者の改善したい気持ちは分かるがそれはもう既に私はやっている事が多く参考にならなかった
著者は仕事が忙しく生活が乱れ気力と体力も限界になり精神を病んだ書いてあったがそういう人は自分に甘く全て自己中心に生活していると思うし私はそういう人間が大嫌いなので甘えるなと終始不愉快だった -
読んでいる間、とても満たされる時間だった。
読んでない時にもこの本に戻りたいな、という感覚があって、それはつまり、自分の生活も改善されていくことができるんじゃないかと期待したからだった。
読み終わった今思うのは、当たり前だけど勝手に「改善されていく」ものではなくて、自分で「改善する」ものなのだということ。今は色々、自分でもやってみたくなってウズウズしている(確かに書いてあった通りどこからやったらいいかわからんな!でも手を入れられるところからでいいのだ!)。
ひとつ、とても大切なことに気付かせてもらった。私は、自分の今の部屋も服も気に入っていないわけじゃない。どちらかというと好きなんだけど、でもその「好き」から入って深く降りていったときに、そこに「自分が幸せと感じる」ほどかというとそうでもないなと思ったのだ。私は今、深く感じたり、深く考えることをしていなくて、そしてその「深く」こそが、ここ最近ずっとやりたかったことのような気がした。実は、部屋とか服とかの暮らしのことだけじゃなくて、仕事に対しても。もしかしたら、人間関係に対しても。これって居心地が悪いってことなんだ、逆にいいってことなんだ、と気付けるようになっていける、今その分かれ道にいるのかもしれない。私は、気付けるようになっていきたい、そして、いい方を自分で選んでいけるようになっていきたい。
今日からはじめてみよう! -
「実は好きじゃない」を放置しない生活改善運動。「貧しくなっている経済・社会で、ひとの営みが軽視されるなかで、自分の生活をできるだけ心地よく幸せにしていく試みは自分を雑に扱わせてはならないという意地につながる」というところがとても腑に落ちた。腹が立つことばかりやけど、誰よりも私が私を大事にせんくてどうするねん。水筒を持ち歩くだけでも少し日常は変わる。自分を変えるのではなく環境を変える、というマインドがとても実践的。
ちょうど文庫化を機に読み返した『できることならスティードで』にあった「良いものだけを選びなさい」にもつながった。スティードも大好き〜。 -
評価が高くて借りてみたけど、私には合わない。
歴史的に、戦前において生活改善運動という言葉が用いられた背景を知っていると、気楽に読めない。もちろん彼女自身の意味で使っている言葉だとは思うが、それは特に定義されなくて、書いていること、生活のなかで気づいたり変えていこうとしたことが生活改善運動というのだから、なんというか。もう少し違う言葉を使ってほしかった。
著者プロフィール
安達茉莉子の作品
この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。





