徹底解明!ここまで違う日本と中国: 中華思想の誤解が日本を亡ぼす

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  • 自由社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784915237560

作品紹介・あらすじ

「相手に悪いと思う日本人」、「相手が悪いと思う中国人」。海がへだてる日・中文化の違いはイスラムとキリスト教文明の差より大きい。

感想・レビュー・書評

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  • 「中華帝国の逆襲」で日本は叩きのめされるのか《赤松正雄の読書録ブログ》

     石平氏と加瀬英明氏の対談で『ここまで違う日本と中国』と聞けば、読まずとも中味は分かる。徹底した中国批判の書に違いない。わざわざ読む必要もない―そう思っていた。しかしながら尊敬する先輩が幾度か話題に取り上げられるので、読んでみた。読後感はやはり良くない。ここまで母国を貶める中国人とここまでけなす日本人が対話してもあまり生産的ではないな、と。ただし、書かれていることは真実に違いなく、中国の実情を知らない人にはお勧め。私はこの手のものに食傷気味なだけだから。

     加瀬氏の父上加瀬俊一氏(著名な外交官)には大学で特別講義を受けた思い出がある。ご自身が臨まれた国際会議の舞台裏を紹介、その臨場感溢れる語り口に感銘を受けたものだ。天安門事件を機に、祖国と決別したという石平氏との対話にも、しばしば父上の話が顔をだす。その影響がいかに大きいかが偲ばれる。

     見逃せぬ視点として注目したのは、イスラム教世界がキリスト教世界に優越感を歴史的に感じており、それは中国と日本の関係と酷似しているとの指摘。日清戦争で劣等感の逆転があった日中関係だが、“15年戦争”を経た後に共産中国が誕生し、今日の経済的大発展を見た中国には、再び日中間の意識に逆転現象が起こっているのかもしれない。「一回、徹底的に日本を叩きのめしたい」との潜在意識が中国人にはあると言われる(石平氏)と、戦後日教組教育に毒された者としてはやはりそうかと身構えがちになるのは否定できない。

     かつて西欧先進国や日本に辱めを受けた「中華帝国の逆襲」が始まったとの指摘がある。加瀬氏は「中国の世界支配は実現しないと思う」と言い、石平氏は「それなら良いんですが…」と半信半疑。ここらあたりがこれからの21世紀の最大のテーマだ。

  • 中国人が読むと不愉快極まりない本なんでしょうね。でも反論はできないでしょう。事実ですから。対談形式で楽しく読めました。

  • 自分たちの隣にある国にどんな人が住んでいるか、あまり気にしたことない方、一読の価値ありです。

    ・・・が、まぁ、自分としては、仕事で上海に行った一週間の経験で十分でした。この本に書いてあることはすでに実感したことが多かった。もちろん、感覚的にではなく、もっと掘り下げて書いてあったので、読んでよかったと思いましたが。

    しかしまぁ、中国の悪い点がこれでもかこれでもかと書いてあって、「石平さん、ちょっとは自分の国(元・自分の国というべきか)の弁護をしてもいいのでは?」と思ってしまうほどでした。

  • 加瀬英明さんは、いわゆる私の国際問題についての恩師と思っている方です。中華思想しついて、中国系日本人の石平さんと語っています。食文化、人肉食のある中国の話から、日本と中国の違いが良く分ります。日本人は、どうも人間はみな同じ(特に中国とか韓国とか)と思いがちですが、国によって、その宗教を背景に性格が全く異なることを理解しなければなりませんね。

  • 最近中国の各地で反日運動が起きているという報道を耳にします、中国内部での貧富の差が激しくなってきて、それをかわすために中国政府が煽っているという噂もありますがどうなのでしょうか。

    それはともかく、隣国であり歴史的にも付き合いがあったと理解している中国とは分かりあえていないような気がします。聖徳太子が以前に独立宣言をして中国を怒らせたことが尾を引いているのでしょうか。

    この本は中国事情に詳しい、石氏と加瀬氏による対談本です。孔子の説いた儒教とは支配者層向けのものだった(p159)のですね、同じ宗教を信仰しているもの同士は信じあうけれど、それ以外は人間でなく動物と見做すというのはキリスト教等とも合い通じるところがあるのでしょうか、この本を読んで感じたことです。

    以下は気になったポイントです。

    ・中国では出されたものを全部食べるのは失礼、残り物を次の下の人達が食べる習慣があった(p31)

    ・日本は世界のなかで独特で、公家や武士の支配階級は粗食で、被支配階級のほうが食の贅沢をする(p32)

    ・BCはBefore Christ、ADはAFter Day(キリストが降臨した後)、という意味(p40)

    ・中国は、第一次アヘン戦争でイギリスに破れて、1842年にイギリス艦隊の旗艦の艦上で南京条約を結ぶときに強いられて国名として、王朝名である清を便宜的に使った(p41)

    ・大隈重信は、外務大臣、総理大臣をやって、早稲田大学、そして日本女子大学をつくった(p42)

    ・楔形文字(メソポタミア)、聖刻文字(古代エジプト)、漢字(中国)のような難解な表意文字を持った文明は支配階級だけば読み書きできて文字を独り占めした(p43)

    ・日本では前漢、後漢というが、中国では、西漢(長安)及び東漢(洛陽)という(p44)

    ・ルビといわれる振り仮名は、世界のなかで日本にしかない知恵、この振り仮名のおかげで日本で使う漢字は表音文字に近くなった(p49)

    ・ローマ法王のレオ13世は、1878年に法王庁合唱隊から宦官を追放した(p53)

    ・人民が共産革命(解放)前の有害な文書を読めないようにするために、簡体字をつくった(p62)

    ・コロンブスがアメリカへ遠征した船は排水量が200トン程度であったが、鄭和の船は7000~8000トンあった(p63)

    ・もともと中国、韓国の十二支には豚年があるが、日本には豚がいないので、猪になった(p78)・中国の竜の爪は5本、韓国は4本、日本は3本(p80)

    ・中国の皇帝に必ず姓があるということは、皇帝がある特定の一族の代表であることを明示している、なので、皇帝と国王と国民とはつねに緊張関係にある、万世一系の天皇と、中国の皇帝である統治者は根本的に異なる(p87)

    ・孔子は論語において、親が過ちを犯した場合には、子はこれを隠さなければならないと説いている、同様に天子の過ちは隠すべき(p101)

    ・日本以外のアジア諸国は、公よりも一族を大切にした、19世紀以降に西洋の帝国主義の脅威を跳ね返して近代化を成し遂げられた日本の成長の秘密は、公を一族の上に置いたこと(p103)

    ・大化の改新によって、それまで日本を豪族が支配していたのを、天皇が全国を直接統治するという、明治の廃藩置県とおなじことをやった(p105)

    ・中国では中産階級が確かに育っているが、いまの政権がなくなったらそのような生活は続けられない(p113)

    ・日本は聖徳太子が出した「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無きや」という国書により、隋王朝中心の国際秩序を完全にひっくり返した歴史的快挙である(p123)

    ・国際連合は、沖縄戦時に、アメリカが音頭をとってサンフランシスコで生まれた、その資格は「平和愛好国=日本に対して宣戦布告していること」であった、1945年10月まで日本はそれを「連合国」と正しく訳していたが、外務省が戦前の国際連盟をもじって「国際連合」と訳した(p155)

    ・天皇陛下は、絶対的な命令を下すことはなく、天皇が国民に一所懸命に奉仕する、休日も財産もない(p194)

    ・中国での最初の国際博覧会は、1910年6月から南京で開催された、日本、アメリカ、欧州等、14カ国が参加した、1911年に辛亥革命が起きて清朝崩壊(p225)

    ・上海万博と同時に、不動産が下がり、物価が大幅に上がっている(p227

    ・アメリカは2050年でも65歳以上国民は25%以下、中国は41%にもなる、日本でも31%程度(p232)

    2010/10/24作成

  • 中国という国家と中国人のメンタリティーを知りたい人はこの本を読むことをお薦めします。

  • 中国について新しい情報を知りたくて読書。

    中国では絶対に販売できない本。非常に興味深く読ませてもらった。加瀬英明氏の知識量に脱帽。中国のことより朝鮮半島の国家について勉強になることが多い。

    確かに中国で西洋美術館って聞いたことない。

    老荘思想を体現したのが天皇の存在であり、武士道である指摘は興味深い。老荘思想により関心を持つ。

    石平氏のように日本へ帰化する人はいるけど、逆はない(実質中国では帰化はないのであるが)。この点が面白い。

    読書時間:約1時間20分

    本書はお借りしたものです。有り難うございます。

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著者プロフィール

評論家。1962年、中国四川省成都市生まれ。1980年、北京大学哲学部に入学後、中国民主化運動に傾倒。1984年、同大学を卒業後、四川大学講師を経て、1988年に来日。1995年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程を修了し、民間研究機関に勤務。2002年より執筆活動に入り、2007年に日本国籍を取得。2014年『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP新書)で第23回山本七平賞を受賞。近著に『漫画でわかった! 習近平と中国』(かや書房)、『世界史に記録される2020年の真実 内患外憂、四面楚歌の習近平独裁』(ビジネス社)、『中国五千年の虚言史』(徳間書店)、『日本共産党 暗黒の百年史』(飛鳥新社)などがある。

「2021年 『中国 vs. 世界 最終戦争論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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