「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)

  • 静山社
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  • Amazon.co.jp ・本 (1136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784915512636

作品紹介・あらすじ

7月31日、17歳の誕生日に、母親の血の護りが消える。「不死鳥の騎士団」に護衛されてプリベット通りを飛び立ったハリーに、どこまでもついていくロンとハーマイオニー。一方、あれほど信頼していたダンブルドアには、思いがけない過去が。分霊箱探しのあてどない旅に、手掛かりはダンブルドアの遺品だけ。

感想・レビュー・書評

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  •  ついに全部読み終わったぞハリーポッター! 今更ですが、だいぶネタバレを含みますので未読の方はご注意ください。

     第1作『賢者の石』を読んだとき、わたしはまだ高校生だった。すぐにこの物語を好きになった。それから『不死鳥の騎士団』までは発売から間もなく読めたんだけど、『謎のプリンス』からは読めていなかった。いつかいつかと思っているうちに忘れていて、そのうちネタバレが当たり前のようにネット上で垂れ流されて色々と物語の核心部分を知ってしまい、もう読まなくてもいいかな、などとと思っていた。
     でも、2013年に映画がTV放映されるのをきっかけに、手付かずだった『謎のプリンス』とこの『死の秘宝』を読んでみることにした。やっぱり、すごく面白かった。そしてこれまでの物語に驚くほどたくさんの伏線がしかけてあったことに気づき、ネタバレを知る前に続けて読まなかったことをずいぶん後悔した。高価で分厚い上下巻セットを購入してでも、すぐに読んでおくべきだったのだ。『謎のプリンス』の感想にも書いたけれど、それだけハリー・ポッターは面白くて良質なファンタジーで、しかもミステリーでもあったのだから。
     この後から本当にネタバレですよ。






     あーもう知らずに読んでたとしたらどれだけびっくりしてただろうってことがいっぱいある。
     スネイプ先生が実は味方だったっていうのはうすうす感づいてたけど(当初は、本当のハリーの父親はジェームズではなくてスネイプなんじゃないかと的外れな推理をしていたことを思い出す)リーマスとトンクスは死亡フラグがビンビン立ってましたけども、まさかフレッドが死んじゃうとは思ってなかった。これもうっかりウィキでキャラクターの名前を思い出そうと思ってチラ見してたときに知ってしまった。ショックですよ~。母のモリーがベラトリックスを倒したところはぐっときたのだけれども。

     とまあ、誰が死んだとか生き残ったとかについつい目がいってしまうんですが、7巻まで読み終わって一番心に残ったのは、立派な人生を送ったように見える人でも、生涯ずっといい奴であり続けたわけじゃないっていうことだった。ジェームズたちはいじめっ子だったし、スネイプ先生は一度闇に加担してるし(そのうえ味方ではあってもハリーのことは好きになれなかったみたいだし)、あのダンブルドアでさえも一度は権力に魅了されたのだ。
     人は変われるし、成長できる。それが人生の面白いところだな。なかでもネビルがすげえ立派になってて感動した。ずっとネビルはヘタレなイメージだったのに。大人になってホグワーツで薬草学の教授になったんですね。偉い偉いよネビル。
     そうそう十九年後はみんな幸せそうでよかった。ドラコがちょいハゲてたのがウケた。
     「すべてが平和だった。」
     このありふれた一文にたどり着けるまで、ハリーにはなんと時間がかかったことか。

     最後に蛇足ながら、訳者の松岡さんに対する批判を結構見かけるのだけど、彼女が翻訳の専門家ではなかったとしても、たとえ少なからず誤訳珍訳や伏線の見落としがあったとしても、ヴォルデモートがなぜか「俺様」でスネイプ先生がなぜか「我輩」だったとしても(苦笑)、わたしはやっぱりこの人が訳してくれてよかったんだと思う。
     日本人に受け入れられるかわからない状態で、小さな出版社の存続を賭して自分が惚れ込んだ物語の翻訳と出版に携わった松岡さんは立派だと思うし、そういう人がわたしたちの言語で物語を語りなおしてくれるのはありがたいことだ。たとえば大手の出版社が金にモノを言わせて翻訳権を勝ち取って、原文に何の思い入れもないベテランの翻訳家を連れてきて出版するより、たぶんずっとよかったのだと思う。
     あとJ・K・ローリングがOKした人だしね。

     そんなわけで、素敵なシリーズに出会えてよかった、とわたしは思うのでした。ありがとう。

  • ハリーポッター最終巻。
    つらいシーンや苦しい状況が目白押しだけど、ここにたどりつくための七年だと納得のいく決着だった。

    この巻の序盤は、シリーズ中盤からどんどん増していく重さの最高潮だから、きつい。
    現実世界のそうだった過去や、そうなりかねない近い未来と重ねて更に息苦しくなる。
    大人の庇護から離れて3人だけでぐるぐるしちゃうあたりなんかは本当に恐い。

    ”死は突然であり妥協がない。”という文のとおり、なじみのキャラクターも名もなき人もぱたぱた死んでいく。
    いくつかの死は必然。その死によって物語が動いたり、目的を持って殺されたりする。
    いくつかの生も必然。このテーブルにつくために、この人は生き残らなければならない。
    だけどほとんどの登場人物は、くじびきで決めたのか?ってくらい「たまたま」死ぬ。
    そこにいたから。当たっちゃったから。
    その人が死んでも生きても筋は変わらないのに。


    これは魔法の杖をばんばんふるうファンタジーだけど、「魔法の杖なんかない」って話なんだと思う。
    主人公だってすべきことがわからず途方に暮れるし、庇護者も強敵も情勢を読み違える。
    すべてお見通しの人も常に絶対正しくて失敗しない人も無敵の人もいない。
    リーダーがどれだけ大きくてもその個人がひとりで世界を動かしているわけじゃない。
    それぞれをかついで動く人たちや、見て見ぬふりで動かない人たちが世界を作ってる。

    だから親玉を倒して世界を塗りかえることも、救世主を倒されて塗り変えられることもない。
    ただひたすら地道に何度も何度も正し続けてよい状態を維持していこうとする。
    そんな地味で面倒くさくて大事なことをきちんと描いている話だった。



    訳のヴォルデモートの口調が軽いのが気になってしょうがない。
    「俺様は御所望なのだ」って、ばいきんまんか。

  • 遂にシリーズ完結!最終巻はこれまでの伏線の回収があり、手札が出そろって後は最終決戦という緊迫感が終始物語が包むのなかと思いきや、上巻(と下巻の後半も)で更に世界が広がり、新しいキャラが出てきて、死の秘宝という未知アイテムも登場。「ダンブルドアがいなくなっても、まだ掘り下げるんかい・・・」と風呂敷の広がり方に若干げんなり感を抱いたものの、最後のホグワーツの戦い、スネイプとダンブルドアについての真相、終局はお見事。色々と細かい点は気になったが、ハリーポッターの魔法世界という一大コンテンツを支える世界観を圧倒的なボリュームで書き上げ、全7巻のシリーズをまとめ上げた著者の構成力には敬意を表したい。折を見て映画も見てみようと思う。

  • 2010.04.26読了。
    いざ読み終わってみると、なんだか変な感じがします。
    楽しみがひとつ減ってしまったような。
    とりあえず、このシリーズを読み始めて、そして読み続けられて、最終巻まで読み終えることができて本当に良かった!

  • ハリーポッターのテーマともいえる"愛"の強さを最も描いたのが今作。人生をかけて愛を貫いた人物の話です。途中でやめた人にも読んでほしい…。

    (以下ネタバレ)


    そして本作で読者に愛を強く伝えてくれるのは、ハリーを目の敵にしていたあのスネイプ先生。

    もう何回も読んでるのに、毎回スネイプを嫌いになって最後には涙が止まらないほど愛おしくなります…。

    本作で1番のハイライトは憂いの篩でスネイプ先生の記憶を見るシーン。痛いほどにリリーを愛したスネイプの描写に涙が止まりません。

    彼はスリザリン生として学生生活を過ごした後、死喰い人という典型的な悪の魔法使いとなります。しかし、そんな彼が自分の生き方を曲げてでも守りたかったのは幼馴染でずっと愛していたリリー。
    敵である死喰い人となりながらも、リリーの命の危険を知り、ダンブルドアに彼女の命を守ってほしいと懇願する姿からもリリーへの愛が伝わります。

    その努力虚しくリリーは殺されてしまいますが、今度は彼女が命をかけたハリーを守るのが彼女の為だとダンブルドアに言われます。最初は納得しておらず父ジェームズに重ねて憎んでいるようにすら見えるスネイプ。
    しかしハリーが死ぬ運命にあることを知ったスネイプの動揺する様子や、ハリーを助けるために守護霊を派遣する行動から、ハリーにも愛情を持っていることがわかり泣けてきます。
    そしてその守護霊がリリーと同じ牝鹿であることから、亡くなってから10年経った今でもリリーを愛していることがわかります。それを知ったダンブルドアが涙を流しながら「これほどの年月が経っても?」と問い、「永遠に」と答えるスネイプ。

    最後まで愛するリリーの息子ハリーを守ったスネイプ。
    ダンブルドアも言っていましたが、誰よりもグリフィンドールの素質がある勇敢な人です。

  •  あー、終わった。
     長い旅であった。
     最終巻の感想だけ書いても仕方ないので、全体を通した感想も交えてなんか書いてみようかと思うわけなのですが。

     最終巻、なんだか、一番エンディングを急いでるのは作者だった気がする。というのも、今までの巻に比べて時間の流れはぶっ飛ぶわ、魔法がビュンビュン、火花はバンバン飛んで人はボンボン死んで血がザーザー流れて、フィナーレっぽいっちゃあフィナーレっぽいんですが、でも、最後だから許されるのか。映画になったらめくるめくグランドフィナーレになることでしょう。それだけの素材はある。

     けれども、書き手としてはやっぱり自分をコントロールできてなかったな。というのが正直なところです。でもよくも読者を飽きさせずウン千ページもつきあわせた。これは『失われた時を求めて』には出来ない仕事です。『フィネガンズ・ウェイク』にも出来ないだろう。
     などと。結局7集だけのまとめかよ!

     じゃあ、全体の話に入るけれども、結局「なんだったのか」ということに関しては、魔法使いは魔法使いだし、マグル(ただの人間を指す)はマグルなんだ。お互いに相容れないし、相容れないゆえに避けられないの悲劇もある。しかしその矩を越えられるのは「愛」だけだ……そうかな。テーマは愛。そうだろうか?

     結局「穢れた血」を受容しなくても、ルシウス夫妻は戦場でドラコを探しまわったし、魔法そのものを否定したバーノンさん一家はそのままどこかにいなくなってしまった(殺されたのかもしれない)。もう一度云うが、版元が推すように、本当にこれは「愛」の物語なのか? いやむしろ、「情」が種々のロジックを破壊するという皮肉、もしくは風刺ではないか。上を下への大騒ぎとは別に暗躍するリータ・スキーターや、ハリーに情けをかけられたがゆえに殺されるワームテールなんかの脇役を見ていると、むしろ「情はすべてを狂わせる」という逆説的な部分への示唆のほうが強くないだろうか。

     作者ローリングは、「正義や悪、帰属のロジック」と「情」の関係、その一点において、冷酷なまでに中立であったように思う。
     がゆえに、やっぱり最後はドンパチにしすぎたよな。はやくこの重荷を下ろしたい、楽になりたい、という筆の焦りが見えてしまった。この辺がプロじゃないんだなぁと、アタシは考えるのであった。

  • 発売から早4年、予約して買ったにもかかわらず読む勇気がなくて読んでませんでした。
    初巻から毎年発売を楽しみにしていたハリーポッターが終わってしまうなんて寂しすぎると思ってずるずる読み始めずにいたらずいぶんとたってしまいました。

    そして、今となって。やっと読み始めたら、やっぱり止まることができずに、一気に読んでしまいました。
    下巻でのいくつかの死は耐えられず涙を流してしまいました。悔しかったです。
    それほどに物語りに没頭して、ハリーの気持ちになってしまっていたのだと思います。

    すべての秘密が明らかになって。
    今、また初巻から読み直そうと思います。
    本当にすてきな本。ありがとうの一言です。



  • 調子が悪い、というのとは別の理由で少しずつ少しずつ読んだ。
    ひとつに読み終えたくなかったから。あまりにもこの世界が、人々が、敵でさえ、大好きだったから。
    死、あまりに辛く、最期の言葉に切なくなった。あの眼差しが、届いたかな。
    読み終えたくなかったなあ。だから何度でもページを開こう。
    間違いなく楽しい時間だった。また何度でも。

  • ハリーとヴォルデモートの関係、ダンブルドア、スネイプの秘密
    上巻の戦い
    下巻で明かされる真実
    またに最終章にふさわしい一冊だった

  • 図書館で借りて読了。
    ついに最終巻……しかしここでも本当に……本当に辛かった…。ハリーは確かに過酷な運命を背負っていますが、それなのにここまで同情する気にさえなれない主人公って…。
    どうして共に旅をしてくれる友に八つ当たりするのか…どうして亡くなった師の言葉を信じず悪態ばかりなのか…。
    終盤は、完全な悪では無かろうというスネイプ先生の真の考えを知る事が一番の目的になっていた節がありましたが驚くほどの事でも無かったというか…。
    結局スネイプ先生の中に純潔以外を蔑む感情が無かったわけではないし、それはつまりハリーはともかくハーマイオニーへの許しがたい言動はただの本音だったわけで。
    それにハリーの父親であるジェームスが性格が悪かった事もただの事実かな…?という…。
    途中次々仲間の命が失われていく辛さを越えた先の結末にも大きな感動は無く……とにかく読み終えたという達成感だけでした…。
    お国柄なのか作者の性格なのか、この我の強い主人公で良かったんでしょうか…と言いたくなりますが、これだけの人気作になったということは良かったんでしょうね…。私には合わなかっただけで…。

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著者プロフィール

J.K.ローリングは、記録的ベストセラーであり多数の賞を獲得した「ハリー・ポッター」シリーズの著者。世界中で愛読された本シリーズは、これまで累計5億部以上を売り上げ、80カ国語に翻訳された。8部作の映画は大ヒットを記録。著者は『幻の動物とその生息地』に着想を得て、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の脚本を執筆。この作品を皮切りとして、5部作の映画シリーズの公開が始まった。J.K.ローリングはまた、『ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部』の舞台も手掛けている。この作品は、2016年夏にロンドンのウェストエンドで初演され、2018年春にはブロードウェーでも上演された。2012年、J.K.ローリングはウェブサイト〈ポッターモア〉を開設。このサイトでは様々なコンテンツや記事、J.K.ローリングによる書下ろし作品を楽しむことができる。他、一般書『カジュアル・ベイカンシー 突然の空席』を執筆したほか、ロバート・ガルブレイスのペンネームで犯罪小説を発表している。これまで、大英帝国勲章、レジオンドヌール勲章、ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞など、いくつもの賞を受賞してきた。

「2020年 『イッカボッグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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