本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること―沖縄・米軍基地観光ガイド

著者 :
制作 : 須田 慎太郎 
  • 書籍情報社
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本棚登録 : 240
レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784915999178

感想・レビュー・書評

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  • 旅行ガイド本っぽいレイアウトやかるい文章とは対照的に、中身はとてもシリアスでロジカルな本。他の本と組み合わせて、本当に納得行く内容でした。ペリーから入ったのが素晴らしかったです。沖縄について、知らないことがまだまだ多かったと反省しました。あと、右翼がなぜアメリカをサポートするのか、そのパラドックスもやっと謎が解けました。左翼が(アメリカが作った)憲法9条を守ろうとするのは未だによくわかりませんが。

  • オスプレイの配備を政府が容認しました。あれがヘリコプターだと言い張られて、はいわかりましたと言ってしまうとは。アメリカはジャイアン、日本は(ドラえもんのいない)のび太のようです。
    オスプレイは最近の事例ですが、蹂躙されつづけてきた沖縄のことが、ずっしりと掲載されている。危険を侵して撮ってきたんだろうと想像できる基地の写真(撮っていいところから撮った、というような注意書きはあるけど)が多く掲載されている。文章も軽妙でいて重いところをズバズバとついている。良い本です。

  • 沖縄米軍基地見学ガイドの体裁をとった、沖縄米軍基地から見た「この国のかたち」論。なんといってもつくりがうまい。そのへんの学者の本より何倍もわかりやすく、おさえるべきポイントをきっちりおさえているのには感心する。もちろん、制作者たちの議論にかならずしもすべて同意する必要はないが、議論の前提として最低限、これだけの事実はおさえておこうよ、という基本の部分はしっかりしていると思う。
    しかし、よくできている本だけに非常にがっかりしたのが、1995年の少女暴行事件についてのコラム。なんで男って、「もし俺の女がやられたら」って発想しかできないの?女と中国に対する司馬遼のトンデモ暴言にもえらく寛大だしね。そこで味噌がつきました。

  •  「国語教科書の思想」(石原千秋)によると、日本で最も使われている小学校用国語の教科書は、核兵器開発反対運動の写真に、実際に原爆を使用したアメリカの様子でも、ここ日本の様子でもなく、パキスタンの写真を使っています。きっと、何かに細やかな「配慮」を示し、こうした運動は遠い国のできごとだという印象を、子供たちに与えたかったのでしょう。以下は、ある年の千葉県高校入試、英語リスニング問題です。

     Jim : Did you have a good time in Okinawa?
     Beth : Yes, of course.
     Jim : How was the weather there?

     これに続く応答として正しいもの(It was sunny and warm.)を選ぶ問題だったのですが、アメリカ人が観光について話す他愛のない会話の舞台が、よりによって、なぜアメリカ軍基地問題に苦しむ沖縄なのでしょう。まるで東京電力の幹部が福島へ行って、喜多方ラーメンを食べながら談笑しているようです。つまりこれも、沖縄=観光地という印象を強化するべく、「選りに選って」作った会話だったのでしょう。
     この本は、体裁は写真の豊富な旅行ガイドそのものなのですが、紹介しているのは観光スポットではなく、米軍基地の様子がうかがえる場所です。基地内にはもちろん入れないし、外からであっても、撮影はすぐ止められてしまいますが、この本が載せているのは、そうした状況の中で、地元の人々が見つけて守ってきた、フェンスの向こうが合法的に確認できるポイントです。写真の解説、背景を述べる文章、関連図書の紹介、すべて充実した素晴らしい本です。

  • なぜ沖縄に米軍基地がいつまでもあるのか。
    それは日本の有事には米軍が守ってくれるから…ではない!タダで使える上に、維持費も日本がだしてくれる。しかも、日本の法律より、日米安保条約の方が優先される。そりゃ、ユートピアだ。
    唯一の手立ては、日本が自主憲法によりNOと言うことだと筆者は説く。
    包み隠されている密約を含め、もっとニュースを深読みしなければ、そして一次ソースに触れなければならないとつくづく感じた。

  • 題名のとおりの本です。

    「しかたない」「しょうがない」と思考停止しないためには、本物をみるのが一番なのですが、一般人にとって、沖縄の本物の施設をみようとすること自体が、やっかいな問題の中に自分を投じることになりかねません。
    写真で、美しい景色の中に、何があるのかをみる事、そこで考えたことを、今の自分の快適さを壊したくないばかりに停止させないで前に進みたいと考えさせられます。

  • 沖縄から戦後国体の深奥に迫っていきます。米国による支配の現状はおぞましくて気持ちが悪くなるほどです。米国と日本の接点にいて法や密約に携わる官僚は米国の威光を自らの力の源泉としています。日本に従米右翼はいても独立派の右翼は潰されます。記載された事実は共有し、リアルな思想、議論を重ねておかないと、ある日突然嫌米になって、無鉄砲な暴発を起こしかねませんね。

  • ほんとに知らないことばかりだった。
    いや、ざっと聞いたら全部陰謀論で片付けられちゃうようなことだけど、何これどうもそうでもないらしい。
    読み進んでて驚いたのは、この本が書かれたのは2011年。民主党政権まっただ中。もっと最近出た本だと思ってた。それくらい内容が今日的というか、今この時点のことが書いてあるように錯覚するほど身に迫るのだ。ということは、私が最近の「変化」と思っていた多くのことは、もうすでにずっと前に始まっていたのだ。第二次安倍政権のずっと前から。

  • 沖縄基地の観光ガイドという奇想天外な視点からまとめられた本。中身は重い。
    外国軍隊が国内法の埒外で駐留しつづける状態が異常なことであることを教えてくれる。
    共産主義に対する恐怖から、政府を飛び越した天皇外交により、沖縄は米軍の植民地となり、米軍が天皇制を守る仕組みが出来上がった。
    日本人は、経済成長の中で、独立国としての挟持を失ってしまった。明治維新の志士なら、焼き討ちするはず?。外国軍隊が駐留し、政治、報道に干渉し続ける状況で、憲法改正などできない。
    「条約にもとづく大規模な外国軍の駐留は、絶対に認めてはならない。それは自国の法体系を破壊する。」
    ブックガイドとしても役に立つ。

  • 教員推薦図書

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プロフィール

(やべ こうじ)1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、「J.M.ロバーツ 世界の歴史・日本版」(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)。

「2017年 『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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