いろいろ、普段聞かない人たちの声で面白かったし、建築技法とか様式とかっていうより、なんとその材料である木そのものに(建築の観点から)深く着目して分析してみたりしている本で、個人的には視点がニューでした。
法隆寺の再建を受け持つ棟梁は世襲制的な感じなのか!と驚いたり。(でももう跡継ぎいないっぽぃけど)
とにかく、それら大きな神社仏閣の修復作業をしたくても、絶望的にそのサイズの木が存在しない(本来使うべき檜は、非常に成長が遅く。運百年の樹齢の木を使うので、次の改修のときにはもうないかも、とか…←でも、とにかく育てるしかないんじゃない??)とか。
昔から、よい木を求めて山を探しまくっていて、調べると、京都の周りからどんどん伐採地が遠ざかっていたり。(現代に至っては、台湾まで到達…。とにかく、大きく高品質な木がない) (運輸力の発達がそこに多大な貢献)
材木の建築上の品質が高い理由を生物学的視点から研究してみたり。(そしてその結果は、宮大工の方々が蓄積してきた知見と合致していたり。)
世界の中で木材その物の利用に愛を注ぐのは北欧と日本ぐらいのものだがそのアプローチは大きく異なるとか。(広葉樹にカラーリング・装飾を施すのが前提か、針葉樹で木肌その物を楽しむか)
硬い素材の刃物で切りすぎると、均一かもしれないが木の筋等の性質を無視したものになってしまうので実は表面が逆に汚くなるんだ、という大工さんの知見とか。(だから、わざわざ昔の鉄を材料にしてみたり)
仏像とか神社仏閣の建築材料が何の樹種だったかを調べる研究は超レアらしいんだったり。
なんとなく東アジアはみんな同じようなものなのかと思いきや、実はこんなに木材豊富なのは日本ぐらい、っていう話とか。
そんな諸々が書かれた本!