水のゆくえ: 舟越桂作品集

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  • 青幻舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784916094605

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  • 須賀敦子作品の装丁や大江健三郎の小説の挿絵でも知られる舟越桂の彫刻作品集。前からだけでなくあらゆる角度から撮った写真が豊富なのかよい。
    制作過程がわかる創作メモまで収録されているのが嬉しい。須賀敦子の美しいエッセイも掲載。

    面白いのは何といっても眼。初期作品の人物の眼はわりと純真なのに対して、しだいに眼の表情が深みと憂いを帯びていく。

  • 舟越桂の彫刻は、孤独でありながらも暖かい。それは何か大切なものを想う面持ちをもっている。

    一文を寄せている須賀敦子氏。知人の言葉に、「彫刻は詩に一番よく似ている」「彫刻が叙情詩に似ているのは、どちらもが、人や物のある一瞬の動きや感情をとらえて、これを永遠の表現にとじこめようとするから」とあったが、とても秀麗な指摘であった。

    この言葉によって、舟越桂の作品を見て、瞬間から永遠に向かう、そして、永遠から瞬間を凝視する、双方が感じられた。どれが好きとは言えない。全て好きと言える作品。一体一体に違う命が宿っている。作者が走り書きしたメモに、「以前からの混沌を鮮明に」とあった。これも良い言葉である。想いが言葉にもこもっている。

    水沢勉氏の言葉「彫刻の周囲の空気まで彫刻していくこと」は、ジャコメッティを評して、千住博が指摘していたことに通じる。この一点を見ても、舟越桂が彫刻史に足跡を残しつつあることを感じる。

    本書は作品集としても、ツボを押さえている。彫刻は立体なだけに、写真に収めるのに限界がある。しかし、それを微妙な撮影法によって、100%ではないもの97%ぐらいは、成功していると思う。つまり、大成功と言うことだ。

    蛇足だが、自分の作品にタバコを吸わせている舟越氏の写真は、とってもキュートだ。愛情のほどが伝わってくる。

  • この頃、必死で苦しかった、
    図書館の隅で1人はらはらページを繰っていた。

  • 舟越桂さんのファンです。

  • 哲学性がまだ前面に押し出されていない頃の清冽な作品群。ひたすらに美しい。

  • 澄んだ湖の底を見ているような透明感があります。大好き。

  • この彫刻達に会いたい。
    …というより、なりたい。

  • 舟越さんの展覧会は人が多くても不思議な静けさがあって、水の中にいるような気持ちになります。

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