打ったらハマるパチンコの罠 (PART2)

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  • 社会批評社
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784916117786

作品紹介・あらすじ

「PART1」が好評なので続編として刊行。今回は、著者は二回にわたって韓国のパチンコ事情を取材しリポート。
何と驚くことに、韓国ではパチンコが全面的に禁止されていた。だが、この事実を日本のメディアは一言も報道しない。著者は、丹念な取材でこの韓国のパチンコ禁止を調べ上げた。そして、日本で放置されている「パチンコ依存症」の実態も徹底追及する。

感想・レビュー・書評

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  • 本書はパチンコ依存症の問題を指摘し、それを放置する日本社会を批判した書籍である。パチンコを禁止した韓国の事情を取材し、日本でもパチンコ禁止を訴える。
    著者のパチンコ批判は徹底している。「ほんの一握りのパチンコ業界関係者や警察官僚の莫大な利益のために、100万人以上の人が依存症で苦しみ、その依存症の人たちを放置している国は国家としての体をなしていない」とまで断言する(22ページ)。
    著者によるとパチンコが放置されることによる弊害は実に多方面に渡っている。「犯罪の多発にしても、自殺者の増加にしても、韓国のようにパチンコを禁止すれば済むことが少なくない」と主張する(「はじめに」)。
    また、パチンコによる浪費が消費低迷の要因になっているとする。これは特に自動車のような高額商品に影響が大きい。「若者の多くは、スロットやパチンコで負け続けて、車を買うお金がなくなっている」とする(19ページ)。
    そしてパチンコ屋の存在は街の景観や行きかう人の心理にも影響を及ぼしうる。「ケバケバしいパチンコ屋の看板や、パチンコ屋のネオンがないだけでも、街の景観は大いに救われる面が大きい」と語る(33ページ)。
    さらに自民党遊戯業振興議員連盟にみられるように業界擁護の政治家の姿勢と北朝鮮問題を絡め、「拉致問題に熱心だと言われる議員が、北朝鮮に多額の送金をしているパチンコ業界を応援しているのはどういうことなのか」と問題提起する(「はじめに」)。
    これらにはパチンコを批判するあまりバランスを失している見解もなくはない。たとえば新車の販売低迷は排気ガスや交通事故の問題を考えれば必ずしも悪いことではない。新車に乗ることをカッコいいとする発想もマスメディアが作り出した価値観に踊らされた結果であり、健全な消費とは言い難い。また、パチンコ店の経営者に在日コリアンが多いという指摘も、日本企業に存在する就職差別を無視して論じるならば民族的偏見を煽る危険がある。
    とはいえパチンコの問題が様々な分野に影響を及ぼしていることには純粋に驚かされる。そして一つの問題から徹底的に掘り下げる著者の粘り強さに敬服する。
    私が初めて書いた書籍は自身が経験した不動産トラブルの裁判についてであった(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。以来、幾つかの記事を書いているが、不動産問題と直接関係しないテーマであっても、上記裁判の経験を引き寄せることで考察を深められることがある。
    その不動産問題に関して、本書では住宅ローンで購入した分譲住宅をマイホームではなく、「バンカーホーム(銀行の家)」と称している。「借金までして「バンカーホーム」の支払いに追われ、時には人生を破滅させる人までおられるのは理解に苦しむ」と主張する(76ページ)。
    実際、欠陥住宅や耐震強度偽装物件の購入被害者が一過性の悲劇で終わらないのは、物件が無価値であっても、形式的には住宅ローンの返済義務は残るためである。これは売買契約を取り消した記者のトラブルでも問題になるが、東京高裁における訴訟上の和解において既払いの金利・保証料を上乗せした形で売買代金が返還されたため、踏み込んだ法的判断はなされなかった。
    パチンコの問題を論じた本書で私の問題意識と重なる文章に出会うとは思ってもみなかった。まさに「すべての道はローマに通ず」である。本書から一つのテーマを掘り下げることの重要性を改めて認識した。

  • パチンコ依存症の人たちと周りの環境を追ったルポの第二弾です。韓国でパチンコが全面禁止になったことが伝えられております。日本がなぜそうならないのかは、本書を読んで確認してみてください。

    続編で最初に書かれているのはなんと、韓国では深刻なパチンコ依存症が社会問題にまで発展したため、かの国では現在パチンコは全面禁止なのだそうです。これをはじめて読んだときには非常にびっくりしましたね。なぜそれが日本で報道されないのかというと、パチンコ業界全体と政治家や警察がズブズブの関係になっているからだそうです。

    これは個人的な感想ですが、最近、テレビを見ていて、パチンコのCMが非常に多くなったなぁと感じます。その裏側にあるものをつい考え込んでしまうのは僕だけでしょうか? そして、前回以上にギャンブル依存症に苦しんでいる方が登場します。その様子は、悲惨の一語に尽きます。こういう記事を読んでいると、素人はこういう鉄火場に近づいてはいけないとつくづく思います。

    3万、5万の負けがやがて1千万、2千万の借金に膨らむまでにはそうたいして時間はかからないので、個人的な意見としてはギャンブルをするのは勝手ですが、依存症になったらもう底なし沼ですよ。ということはよく言っておきます。これは、この本を読んだ上での感想です。

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著者プロフィール

1940年、秋田県生まれ。
 トヨタ自動車のデーラーに19年勤務。メカニック、営業マン、営業所長を経験。営業マン13年で新車を1200台販売。独立後、自動車販売会社を経営するも3年で撤退。その後、損保の代理店を経営。選手として出場したスポーツは、スキー、ボクシングなど。ラリーにも出場。
 著書に『タクシードライバーほど素敵な商売はない』(エール出版)、『タクシードライバー千夜一夜物語』(K&Kプレス)、『失敗から学ぶ』『TAXI・ニューヨーク』(以上、花伝社)、『打ったらハマる パチンコの罠[PART1]』『打ったらハマる パチンコの罠(PART2)』(以上、社会批評社)、1998年夕刊フジに連載を執筆。
 http://www.wakamiyaken.jp

「2010年 『増補 打ったらハマる パチンコの罠(PART1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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