黄色い牙

  • KIBA BOOK (2002年11月25日発売)
3.89
  • (4)
  • (9)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 76
感想 : 15
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (370ページ) / ISBN・EAN: 9784916158741

みんなの感想まとめ

独特な文化を持つマタギの生き様を描いた作品は、読者を引き込む魅力に満ちています。1980年に直木賞を受賞したこの物語は、初めは取っ付きにくいテーマと感じるかもしれませんが、読み進めるうちにその深い世界...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読み応えありました~。
    主人公の佐藤継憲が、軍縮の影響で一年で兵役を終えて故郷の山に戻ってきたところから始まる。
    彼の家は代々続くマタギで、代々のほとんどがシカリ(集団で猟をするときの頭領のようなもの)を務めていた。

    病に侵されている父親は、継憲が隣家の娘・八重と早く結婚してシカリを継いでくれることを望んでいるが、継憲は町の郵便局で働くさとと結婚したいと思っている。
    生まれてからほぼ集落を出ることなく人生を過ごす露留(つゆどめ)の人々は、過去と同じ今日や未来を過ごせるものと思っているけれど、時代の流れがこの山奥の集落にも押し寄せてくる。

    銅山や金山の採掘、山の樹木の伐採、軍の台頭と、ほぼ自給自足で生活してきたマタギの人たちが、そうは生きられなくなっていく。
    その中で継憲がどうやって、マタギとしての矜持を保ち、減っていくマタギたちとどのように量を行っていくかを、非常に詳しく、目に見えるような描写で綴られている。

    それと同時に、町の娘であるさとと両想いで結婚した継憲とは別に、幼いころから継憲にライバル意識を持っていた辰吉と、継憲に思いを寄せていた八重夫婦の愛憎。
    人の気持ちというのは理性では如何ともしがたいので、しょうがないのだが。

    辰吉に関係を強要されて子をなしてしまった八重は、辰吉への多少の情はあったのかもしれないが、最後まで思い続けたのは継憲だ。
    そして辰吉はそんな八重の心を知っているから余計に八重に辛く当たるし、継憲や集落の人たちに対しても迷惑をかけ続ける。

    まあ、要領よくおいしい思いをするときはひとり占め、何か問題が起こった時は仲間を見捨てて知らんぷりというような辰吉は、いくら銃の腕前がいいとしても、最初からシカリには不向きだったと思う。

    時代が変わっても変わらない人の心。
    時代とともに変わっていく人々の思い。親子関係も含めて。
    ちょうだいな大河小説を擁んだような気になるけれど、大正の後期から第二次大戦中までの出来事だった。濃ゆい。

  • 昔志茂田景樹さんがテレビによく出て来た時には一度も作品に触れる機会はなかったのだけど、最近高齢者施設にいるという記事を見て、この人の本読んだことないなと直木賞受賞作を読んだ。
    最初は取っ付き難いテーマだなと思ったけど、だんだんとグイグイ読み進めて週末の良い読書になりました。ハラハラしました。
    志茂田景樹さん、ほんとに小説家でした☺️

  • 直木賞受賞作品でマタギ作品といえば、熊谷達也の『邂逅の森』。また熊との闘いを扱うところまでいけば、河﨑秋子の『ともぐい』がある。ただ。本作品は、それらよりもずっと前に発表された作品だが、時代のうねりに翻弄されながら、マタギとしての生き様を丁寧に描く。直木賞のもつ大衆作品としての娯楽性も高くて持ち、また古さを感じさせない文体。志茂田景樹作品に触れるのは、小学生の頃に読んだ「伊達政宗の大長征」以来。あの時のワクワクした気持ちを思い出させてくれた。

  • 若くしてマタギのリーダー、シカリになった主人公、継憲の人柄に強く魅かれる作品。

    マタギの暮らし、自然の豊かさ・厳しさ・美しさが目に見えるように伝わってくる。
    どんどん読み進めたくなる、ページ数の多さが気にならない本。

  • マタギの世界を深く知ることができて興味深かったです。主人公の継憲のキャラがかっこいいです。きびしく、掟を重んじ、神聖なマタギの世界、かっこいいです。訛りがリアルです。情景がありありと浮かんでくるような文章で未知の世界にトリップできます。

  • 時代の変化を受け止めながらも最後のマタギとして生きる継憲の覚悟がいい!

  • マタギの話です。私が読んだ最初の直木賞受賞作品・・汗
    でも、力強いストーリーで結構引きこまれます。
    ちょっとHなとこもありますが(^^;

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

志茂田景樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×