対話する宗教 戦争から平和へ

著者 :
  • 大正大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784924297418

作品紹介・あらすじ

現代世界の動向は、まさしく<宗教間対話>の重要性を指し示している。宗教と戦争のかかわり、宗教間協力の具体例、「公共性」など、さまざまな視点を織り込んだ<宗教間対話>に関する最良の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 2016.1.27
    レポートの参考資料として読んだ。我々日本人は無宗教が多く、宗教に対しては無関心というより忌避感情の方が強い気がするが、故に宗教という世界の背景、深さ、有用さ、そして現在における試みなどは全く無知であることも多い。この本は、宗教間対話という、異なる宗教同士が対話を通して相互理解を深め、また宗教がこの世界に対して何ができるのかということを考えていく活動の、推奨と紹介の本である。宗教はとても不寛容で、自分の信じる教義がすべてという世界観の中で生きている人々の集まり、というイメージがあったので、このような試みが行われていること自体が新鮮で驚きだった。また著者は諸手をあげて宗教間対話を奨励しているのではなく、宗教の過去と現在における過ち、宗教の不寛容さという構造的問題、即ち宗教の負の側面も視野に入れながら、その上で宗教は今後どうしていくべきなのかを考える。全体として、宗教間対話という試みは素晴らしいと思ったが、いまいちその活動の質自体はまだ発展途上という印象を受ける。人間が生み出した文化的発明の中でも長い歴史と悪の歴史を持つ宗教を、これからの時代にいかに生きることに役立つ有用なものにしていくかを考えさせられる一冊。

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著者プロフィール

大正大学文学部教授。
1956年、愛媛県生まれ。1984年、筑波大学大学院博士課程哲学・思想研究科単位取得退学。博士(文学)。専門は宗教学・宗教哲学。1990年「日本宗教学会賞」受賞。
主な著書に、『悟りの現象学』法藏館 1992、『言語ゲームとしての宗教』勁草書房1997、『対話する宗教――戦争から平和へ』大正大学出版会2006、『宗教と〈他〉なるもの――言語とリアリティをめぐる考察』春秋社 2011、『宗教哲学論考――ウィトゲンシュタイン・脳科学・シュッツ』明石書店2017、『増補 宗教者ウィトゲンシュタイン』法蔵館文庫 2020など。訳書に、A・キートリー『ウィトゲンシュタイン・文法・神』(同文庫、近刊)など。その他、共編著書など多数。

「2021年 『シュッツと宗教現象学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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