橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

著者 :
制作 : 山下 武 
  • 中央書院
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784924420991

感想・レビュー・書評

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  • 淫獣トリステサ、凄すぎる、クセになりそう

  •  決してそっち方面ばかりでないんだけど何となく異端な印象の強い人でありますが、このアンソロジーを読むとやっぱ珍妙な語り口と全体を貫くヤコペッティ的なモンド感が特異でありますなぁ。。
     さて、タイトルどおりに人と獣との混合が描かれた作品が5編収録されています。
     といっても決して直接的にエロい場面なんかが描かれているわけではなく、あくまでも婉曲的に表現されています。
     しかしながら、直接的に表現された文章を読むよりも、遙かに猥雑でおぞましい印象を受けるのです。
     かつて澁澤龍彦は、「人獣交合の描写のエロティシズムとグロテスクぶりにかけては、この橘外男の『陰獣トリステサ』以上のものは、まだ世界のどこの文学にも現われていないようだ」と言ったそうである。
     物語の主題は「人と獣の・・・」にあるのでしょうが、どの短編でも主軸となるのは主人公の非常に鬱屈した精神にあり、むしろ人獣譚はその生理的な嫌悪感を引き立てる道具に過ぎないようにすら思えます。
     えっ、これで終わりなの?、て呆気ないラストが多いことも、読後の後味の悪さを助長してくれます。
     けれどその胸が悪くなる醜悪さに惹かれてしまうんだなぁ。

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著者プロフィール

橘外男
一八九四年、石川県に生まれる。厳格な軍人の家庭に育ったが中学を退学、札幌の叔父に預けられる。その後、医療器機店、書籍配給会社などの職を転々。一九二二年、有島武郎の推挽を受けた『太陽の沈みゆく時』でデビューし、ベストセラーとなる。三六年「酒場ルーレット紛擾記」で『文藝春秋』の実話募集に入選し再デビュー。三八年「ナリン殿下への回想」で第七回直木賞を受賞。五九年死去。作品に『陰獣トリステサ』『青白き裸女群像』『私は前科者である』等がある。

「2023年 『橘外男海外伝奇集 人を呼ぶ湖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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