- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784925064903
感想・レビュー・書評
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タイトルのとおり、1950~2010年代までの「音楽マンガ」を網羅したガイドブックである。版元のDU BOOKSはディスクユニオンの出版部門だ。
当然、音楽家やロックバンドなどを描いたマンガの紹介が中心である。
それ以外に、音楽に強くインスパイアされたマンガ、音楽がストーリーの中で重要な役割を果たすマンガ、さらには『ドラえもん』や『ブラックジャック』などの有名マンガに登場する音楽ネタまでが紹介されている。
また、細野晴臣(『三丁目の夕日』の西岸良平とは高校の同級生で、自身もマンガ家を目指していた)や坂本慎太郎(元ゆらゆら帝国)など、ミュージシャンにマンガの話を聞くインタビューが合間に登場する。
いまどき珍しい小さな字で、すごい量の情報がぎっしり詰め込まれている。
アマゾンのカスタマーレビューで、本書を「それにしても高すぎる。800円ぐらいの本の内容」と腐している人がいるが、そんなことはない。この情報量で2000円を切る価格は、むしろ安すぎるくらいだ。
未単行本化の短編まで拾い集めているなど、作品のセレクトはかなり網羅的で、たいへんな労作だと思う。
この手の本を読むと、マニアックな読み手ほど、「あの作品が抜けている」「あの名作を取り上げないとはどういう了見だ!」と、「抜け」ばかりが目につくものだ。しかし、本書に関して私はほとんどそれを感じなかった。むしろ、知らない作品もけっこう多かった。
私が感じた「抜け」は、「宮谷一彦のジャズ劇画を取り上げるなら、『75セントのブルース』や『魂の歌』、『不死鳥ジョー』(元ボクサーの主人公が「ドック・オブ・ベイ」のカバーで歌手デビューする短編)も取り上げて欲しかったな」とか、「柳沢きみおの『真夜中のジャズマン』を取り上げているが、彼の音楽マンガといったら断然『流行唄(はやりうた)』だろうに」……というくらい。
まあ、あまりにも総花的で、その分個々の作品の掘り下げが浅いうらみはある。
あと、ヴィジュアルが単行本の表紙一辺倒というのは、ちょっと芸がないし、寂しい。
だが、それは「隴を得て蜀を望む」たぐいであって、音楽マンガのガイドブックとしては上出来だと思う。
資料的価値も高い。
『FMレコパル』の「ライブコミック」(マンガ家たちにミュージシャン・作曲家の短編伝記マンガを描かせた名物シリーズ)全作品リストとか、オマケ的ページもなかなか凝っているし……。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
請求番号: M0.117/M429
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