盛大な人生 天風シリーズ第2弾

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  • 日本経営合理化協会出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784930838582

感想・レビュー・書評

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  •  本当の喜びは他人を喜ばせて初めて得られる。自分と他人は同じ。他人に構わず自分のほしいままに欲望を満たして、果たして本当に嬉しいだろうか?
     ハッとする教え。これまでの自分の生き方を反省した。
     今まで最も私が重点を置いてきたのは「自分を鍛えること」であった。他人と自分の能力や人格を比較すると、どうしても自分に自信が持てなかった。向上心は刺激されたが、凄まじい自己嫌悪がベースとなった毎日。物凄く辛かった。何べん自分を罵倒し無価値だと見なしたことか。
     では、自分の能力や人格が向上すれば幸せになるのだろうか?人生楽しくなるのだろうか?
     改めて考えてみると極めて怪しい。いつまでたっても他人との比較だからである。確かに、自分が成長したと感じて楽しさが増した瞬間はいくつかある。でもその時の楽しみは、自分の成長に対する喜びというよりも、他人を打ち負かした感覚、つまり「優越感」の方が大きい気がする。なぜなら出発点が劣等感だから。そしてその楽しさは長続きしていない。すぐに新たな人々との比較が再開して、元の木阿弥である。そもそも、「優越感」って本当に楽しいものなのだろうか。心のどこかで、虚無感を抱いていないだろうか。他人をないがしろにして良心が咎めるというか、そんな感覚。
     そうではなく、他人との調和、他人との一体化を根底に置いて、他人を喜ばせることを最も大切な価値観としてはどうか。経験上、無償で他人に何かを与えようとするときの楽しみは確かに不純物が混じっていない気がする。その際にかかる労力も労力とすら感じられない。与える側なのに、満たされる。
     「いかに自分を鍛えるか」から、「いかに他人を喜ばせるか」にシフトすべき時なのかもしれない、と思わされた一冊。

  • 昨今の本は、「わかりやすく」がこころがけられており、「わかりやすく」とは、具体的には目次に頭をひねるとか、重要な部分を太くする等の方法がある。

    ただ、本書は、元々講演内容を文字化したということもあり、あまり現代的なわかりやすくする手法が用いられていないにも関わらず、とてもわかりやすい内容となっている。もちろん、現在でも講演内容を本にした本はあるが、ここまでわかりやすい内容のものはない。

    説かれていること自体は、恐らく宗教家、哲学家等が過去に言ってきたことと変わらない側面ももちろんあるだろうが、中村氏の語り口と、彼の波乱の人生が話に大きな説得力を与えている。この本に1万円払うのは高くないといっている人が多数いるが、確かに書き込みなどして何度も読みたい本である。

    特に、「病は気の持ちよう」という言葉に表される様に、日々どのような心持ちで過ごすべきかという点に就いては、本当に意識しなければならないと思った。そしていずれは意識しなくてもそのような状態になれるようになりたいと思った。

    最後に、「わかりやすい」=「理解しやすい」ではないので、内容に就いては引き続き思いを巡らせて行きたい。

  • 3部作、講演集。
    内容のすごさはとても語れない・・
    でも全体から繰り返すことや習慣の重要さを感じた
    「絶え間なく」理想を描く重要性を言っているし
    同じ内容でも「前にも言ったけど大事だよ、」と何度も、体験談を入れたり言い方を変えたりして何度も、常に力強い言葉で語られている。
    相当わかりやすい理論なのに、さらに噛み砕いて何度でも語られることで自分にも出来るのではという強い気持ちが少しずつ積もってくるのを感じる。
    やっぱり人は一回ああそうかと思っただけで変われるわけはなく、心を変えていくには繰り返し繰り返し思わないといけないんだなと思った
    自分の弱さをよくわかったうえで、シンプルな真実を何度も繰り返し思い出さないといけないと
    この時代、今ほど録音や書籍もそうすぐ手に入らなくて話を聞くことが勉強のメインだっただろうし、昔の人って意外と、人の弱さにも尊さにも寛容で優しいのかもしれないなあと思ったりもした
    斎藤ひとりさんの「100篇きくとわかるよ」っていう言葉にも似た気の長い温かさを感じた

  • 人は何のために生まれてきたのか?
    「幸福」とはどういうことか?
    「幸福」に生きるためには、日々、何を思考し、具体的にどう行動したらいいのか?

  • 天風に関する新しい情報があった。大佛次郎の鞍馬天狗は、天風がモデルとなっていたこと。大佛次郎が、幕末期に天風が存在したならば、と想像した小説とのこと。
    天風哲学の本論では、十牛訓という禅の教えについて、興味を覚えた。心身統一法のベースになっており、悟りの境地を表している。

    「十牛訓」
    1.尋牛(じんぎゅう)
    2。見跡(けんせき)
    3。見牛(けんぎゅう)
    4。得牛(とくぎゅう)
    5。牧牛(ぼくぎゅう)
    6。騎牛帰家(きぎゅうきか)
    7。忘牛存人(ぼうぎゅうそんにん)
    8。人牛倶忘(にんぎゅうぐぼう)
    9。返本還源(へんぽんげんげん)
    10。入店垂手(にゅうてんすいしゅ)

  • 中村天風の講演会の内容を書籍化したもの。大山倍達の漫画をみてる気分。夢は実現する的な内容です。日本電産の社長のオススメで読んでみましたが、評価は分かれるところでしょうね。
    The monk who sold his ferrariに内容てきには近いかな。

  • 楽しい欲望=霊性の満足=他人を喜ばせること=満足感が持続する
    苦しい欲望=本能、感覚、感情、理性の満足=終わりがない

    具合が悪い時に具合はどう?と聞かれたら、よいと答える。悪いと答えると聞いた相手もいい気持ちがしないから他人が喜ばない。よいと答えて自己暗示にかける

    信念を映像化して、同じ事を絶え間なく、心に映像で思考させる=心のスクリーンに描く=自己暗示を反復連続させる
    不合理で無謀な要求はしない

    困難な事態も、辛い、悲しい、恐ろしい場面も、どんな場合でも感謝にふりかえる=自分は凡人の理解とは違う人間であると思い込む

    想像作用の善用=自分が気高くて純真な善人だと考える=悪いことを想像できない(苦しい欲望を満たす想像はできない)=他人の幸福を妨げるような想像をしない

  • 天風先生の人生哲学、と言うより波乱万丈の人生劇場と言った感じで大変面白いです

  • 第5章での十牛図の解説。禅の思想、素晴らしい。20年前に初めて読んで感動。最近も読んで感動。

  • ★100個つけたいです。

    別格!

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著者プロフィール

明治9年(1876年)生まれ。日露戦争の時に軍事スパイとして従事。終戦後結核を発病し心身ともに弱くなったことから人生を深く考えるようになり、人生の真理を求めて欧米を遍歴。 一流の哲学者、宗教家を訪ねるが望む答えを得られず、失意のなか帰国を決意。その帰路ヨーガの聖者と出会いヒマラヤの麓で指導を受け、「自分は大宇宙の力と結びついている強い存在だ」という真理を悟ることで、病を克服し運命を切り拓く。帰国後は実業界で活躍するが、大正8年(1919年)、病や煩悩や貧困などに悩まされている人々を救おうと、自らの体験から“人間のいのち”の本来の在り方を研究、「心身統一法」を創見し講演活動を開始。その波乱の半生から得た「人生成功の哲学」は、触れる者をたちまち魅了し、皇族、政財界の重鎮をはじめ各界の頂点を極めた幾多の人々が「生涯の師」として心服した。昭和43年(1968年)没後も、天風門人となる者が後を絶たない。

「2022年 『真理のひびき 天風哲人 新箴言註釈』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中村天風の作品

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