- Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
- / ISBN・EAN: 9784931367296
感想・レビュー・書評
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競馬評論家で「競馬の神様」と呼ばれた大川慶次郎の自伝。自身の生い立ちから20世紀末までの人生と日本競馬について語る。
大川慶次郎は、渋沢栄一の曾孫にあたる。実家は、牧場を持つ割と裕福な家庭で、子供の頃から馬とともに育った。父親が無類の競馬好きで、一緒に競馬を見に行ったことから、自然とその道を志すようになる。 一度会社員になったが競馬の道を諦められず、馬の生産牧場の場長をやっていたらしい。 記者を経て競馬ジャーナリズム、予想家の道へ進む。 競馬新聞やラジオ短波の解説を経て、競馬評論家の第一人者となる。 競馬の予想で全レース的中(現在の馬単)の快挙で一躍有名になり、その後も何度か達成し、レース展開予想という新たな予想方法を開拓して「競馬の神様」と呼ばれるようになるが、本人は「競馬評論家」と言われたかったらしい。 21世紀の競馬を見ることなく亡くなってしまい、この本が絶筆となってしまった。
大変面白い本で、昭和から平成前期の競馬をダービーを軸に紹介しており、日本の競馬史の勉強になった。
今では考えられないようなエピソードも満載で、例えば、
・昔の競馬新聞の予想は、騎手や調教師が行なっていた。
・ダービーは24頭以上で行われ、大概は全く勝ち目なし。
・ゲートの有利不利はもっと大きかった。
・調教師が若い場合、ベテラン騎手は指示を受ける事なく思いのままに乗れた。
・連闘は当たり前に行われ、距離もでたらめに使われたりした。
・騎手や調教師、馬主は昔気質で、感情が支配する競馬だった。 等々。
本当に強い馬は、馬場や距離を問わないオールラウンダーであるというのが持論。
大川慶次郎は、その後活躍したテイエムオペラオーやディープインパクトを見ること無く亡くなってしまったけれど、彼がこの馬達をどう評価したか知りたかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学生の頃買っていた競馬新聞はケイシュウNEWSだった。当時は「大川慶次郎の」と銘打っていた。当時から15年程氏の予想に触れてきたが、理路整然と展開を読むスタイルには少なからず影響を受けたと思う。ナリタタイシン、ナリタブライアンの大久保正陽師を批判するくだりからは氏が如何に競馬を愛しているかが伝わってくる。その氏も今や鬼籍に入られた。【競馬の神様】に合掌。
(May 12, 2000)