- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784938280338
作品紹介・あらすじ
2009年に亡くなった栗本薫の未発表原稿が発見された。今までの栗本薫作品とは全く異なる童話的世界。異才北沢夕芸の描き下しペン画28点収録。
感想・レビュー・書評
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(No.13-48) 栗本さんの遺作。
1988年5月から6月にかけて執筆したもの。
出版するつもりも無く、まだ小さな息子に語りかけるためにだけ書いたのだそうです。
全部で4話。
最初の「せかいいち 大きなおべんとう」を読んだ時は〈童話ってこういうものでしょう?〉と普通のお母さんが書きました、という感じがしました。
作家としてではなく私的に書いたものだし、そんなものなのかなあと思ったのですが・・・・。
2話目は孤独がテーマ。
3話目の「おたまじゃくしが死んじゃった」で愕然。
4話目も死を扱ったもの。
これをまだ小さな子どものために書いたのか。「せかいいち~」ではいわゆる童話を書こうと無理してたのかもしれない。
筆が進めばやっぱり栗本さんは栗本さんのお話になってしまうのだわ。
もし、亡くなる少し前に病室で書きましたといわれれば、私は納得してしまうでしょう。
栗本さんはこんなに前から死が頭から離れなかったのかな。
まだ小さな子を育てながらも、こういうものを抱えて人生を送っていった栗本さんの心を思うと切なくてたまらなくなります。
でもきっと今岡さんが、息子さんと栗本さんを両方しっかり見守って暮らしたのでしょうね。
濃密な人生を駆け抜けていった栗本さんは、幸せだったのだろうと思いたい。
読めてよかったと思うので、出版してくれてありがとうと言いたいです。 -
「せかいいいち 大きなおべんとう」、「いつか かえるに なる日まで」、「おたまじゃくしが死んじゃった」、「てんごくへ いった ざりがに」の4編。全体に童話だが、「おたまじゃくしが死んじゃった」の内容は難しめの内容か。私としてはぐっときてしまった。もっとも、内容としては値段が少し高いか。普段値段は気にしないようにしているのですが。
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これは出版するつもりもなく、栗本薫が自分の息子のために書いた童話なんだそうです。
子供向け童話なので、ひらがなばっかり。すぐに読めてしまいますが、内容は濃いです。子供向け、とありますが手加減ありません。素晴らしい。つくづくこの才能が無くなって(亡くなって)しまったのは残念に思います。。。
イラストも良い感じです。 -
この本は、息子さんが産まれた時に彼の為だけに書かれたもの。出版する気はなかった物を、何故旦那さんが出版したのかはわからないのですが…。
最初の「せかいいち おおきなおべんとう」は、通学途中のくまくんが大きなおべんとうの落とし物を見つけ…という、ともだちいいな!なほっこりするお話。
あと3作「いつか かえるに なる日まで」「おたまじゃくしが死んじゃった」「てんごくへ いった ざりがに」は、なんていうか、遺していかなければいけない息子さんへの手紙っていうか、遺書みたいな感じでちょっと読んでるの辛いです。
って言っても、書かれたのは1988年で最初の癌である乳がんになる2年前の事なので、なんか予感めいたものがあったのか、それとも本当に我が子に生命について語りたかっただけなのか…。
今となっては確かめようもないんだけど。
「だれにでも みんな それぞれの ときというものがあるの
そうして それは ひとつでは ないのよ
その ときが こないうちは
だれも むりをしては いけないの
いそぐことも あせることもないの
ゆっくり ゆっくり のぼっていきなさい
あなた ひとりの あなただけの
とき を たいせつに」
「いつかかえるになる日まで」より。
なんだか心に染みました…。 -
幼児向けかな。
栗本 薫が、自分の子どものためにだけ綴った物語。
多分、子どもが経験したり、これから経験するであろうと母親である栗本 薫が、感じていたいろんなことが入っています。
でも、ときどき、ドキッとする言葉あって、この母が子どもになにを願っていたのかが伝わってきます。
そのままのキミでいて。
現状の全肯定は、子どもにとってはとても大切な宝物なのだと思います。 -
栗本薫が我が子へ贈った物語。
親の思いがたくさん詰まっている。 -
栗本薫が自分の子どものために書いたお話。
冒頭の「せかいいち大きなおべんとう」は、ほのぼのとかわいいお話だったが、後半のおたまじゃくしや、ざりがにのはなしは、哀しい。
こんなお話をプレゼントされた子どもはつらい。
栗本薫って、本当に生きていくのがつらい人だったんだろうなあ。だから、自分の子どもも心配で心配で…。