黄色いやづ 真柄慎一短編集

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  • フライの雑誌社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784939003844

作品紹介・あらすじ

文壇に異色の新星! 
「そのとんでもない才筆をすこしでも多くの人に知ってほしい。打ちのめされてほしい。」(荻原魚雷)

僕は僕なりの素敵な大人になりたい。
──現代のニック・アダムス物語

〝小遣いはなかなか貯まらず、竿は買えないまま。そして釣れないまま。それでも毎日のように川へ向かった。〟(「開げでみろ」)

さわやかな風を呼ぶ16の物語

解説 荻原魚雷
装画 いましろたかし

「ニック・アダムスはアーネスト・ヘミングウェイの短篇連作の主人公の名前。ニックが子供から青年、そして父親になるまでの話を十年以上にわたって書き継いでいる。…

 真柄さんは感情の記憶がとても豊かだ。だから読んでいると過ぎ去ってしまった少年時代のことや人生の節目節目のあれやこれやをしみじみと思い出す。…

 真柄さんの人生讃歌はまだまだ続く。今のところ、十年に一冊ペース。もっと書いてほしい気持とこのままのんびり書いてほしい気持が半々。ヘミングウェイも「心からやりたいと思わないなら、やめておけ」といってますからね。気長に待ちます、次作も。」
(荻原魚雷「解説」より)

──目次──

開げでみろ
たらし釣り
黄色いやづ
一生懸命
あの頃の電車通い
そんなたいそうな
大人になりたい
頑固者
クルクルかして〜
やったー、やったー
幼なじみ
コート掛け
この夏のオイカワ釣り
親孝行
かっちゃんのお城
だから釣りに行く



 東北親父は余計なことはしゃべらない。本当に悪気はない。
聞けばなんでも教えてくれるし、ウソも言わない。冗談を言わない照れかくしとして、一言、二言だけをゆっくり話すのではないかと僕は思っている。
「どこが釣れそうですかね。」
「左行って、すぐ右行げ。」
「左に向かって次の十字路を右ですか。」
「んだ。」
「そのまま行くと」
「橋があっぺ。」
「橋があるんですね。」
「その上の淵だ。」
「はい。ありがとうございます。そこに行きます。遊漁券ください。」
「今日はいらね。」
「いやっダメですよ。」
「もうそろそろ夕方だ。いらね。」
「いやいや。」
「あんちゃんはフライだべ、釣っても全部逃がすんだべ、券はいらね。」
 おじさんは早く行けっと手振りした。
(「黄色いやづ」より)

著者プロフィール

1977年生まれ。山形県最上町出身。著書に『朝日のあたる川 赤貧にっぽん釣りの旅二万三千キロ』(フライの雑誌社刊)。

「2021年 『黄色いやづ 真柄慎一短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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