生きかた上手

著者 :
  • ユーリーグ
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784946491269

作品紹介・あらすじ

90歳を越えた医師からあなたへの贈りもの。

感想・レビュー・書評

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  • 医師・日野原重明さんが
    「いきいき」という50代向けの
    雑誌に連載されたエッセイを
    まとめたものです。

    連載当時、著者は90歳頃であり、
    戦争体験や医師としての人生から
    つむぎたされる生きかたのコツは、
    50代のみならず、30代のわたしの心にも
    深くしみわたりました。

    著者は
    「生きかたのモデルを探し、モデルに学べ」(58ページ)とおっしゃっています。

    そういえば、わたしのまわりには
    生きかたモデルとなるような40~50代の方がすっぽりといないことに気がつきました。

    両親が40代のころに実家を出たわたしは、
    40~50代の生きかたを身近でみないまま、
    ここまで生きてきました。

    アラフォーとなった今、
    “生きかたモデルがいない”ことの重大さを、
    ひしひしと感じます。

    また、長年医師をされてきた著者の
    「心とからだを切り離した、
    現代医療のまちがい」(162ページ)
    という言葉は、とても重みがあります。

    医療者も患者本人も、検査結果や数値に
    とらわれすぎて、
    病ばかりをみて人をみていない、と著者は
    指摘しています。

    また同時に
    「自分の限界を心得ている医師をさがそう」(151ページ)
    「医師と患者が十分に対話できれば、病気の6割は診断がつく」(142ページ)とも
    述べられており、
    以前読んだ「漢方小説」(中島たい子・著)を
    思い出しました。

    「漢方小説」では、
    心とからだを切り離した現代医療で苦しむ
    主人公のすがたや、
    漢方というよりは対話によって癒されていく
    主人公をみることができます。

    わたしは今、うつ病の回復期にいますが、
    うつ病も検査値は正常だし、身体だけみれば
    「ふつう」なのです。

    でも確かにうつは、そこにあります。

    もちろん、
    うつ症状が強くて苦しい時期には
    内服の力は必要だけれども、
    それだけではうつは治りません。

    心とからだを切り離すのではなく
    丸ごと包みこんでみていくこと。

    病とつきあう上でも、看護においても
    とても大切なことを、
    この本を読み再度、学びなおしました。

  • ベストセラーになってたので、便乗。
    いまなら少しは歳食ったので、理解できるところありそう。

  • 生きることについて知りたくて読書。

    本書発売から11年後の現在も現役医師として勤めている日本が誇るスーパー新老人の1人。

    言葉に含蓄がある。日本の先人たちからもっと謙虚に耳を傾けようとの呼びかけは、著者だからこその重みを感じる。

    医療が発展したら増える病気の矛盾。
    患者に痛みを与えてまで治すことが必要か。
    病気の患部として見るのでなく、人して見る。
    人間は弱い、だから寄り添える。

    著者の生い立ちから医者を志し、留学、よど号ハイジャック事件に遭遇するなどを半生を紹介すると終わりにが印象的。

    小さな円を描いて満足するよりも、大きな円の、その一部である弧になれ(p228)
    宗教詩人ブラウニング・英国

    読書時間:約50分

  • ご長寿ならではの説得力のある人生哲学だと思いました。

    専門の臨床に関することから社会問題まで、一本筋の通った話だと思います。

    老人向けっぽいですが、若者でも何か感ずることがあるでしょう(老人という言葉を使って欲しいと日野原さんが書いてるのでお年よりじゃなくて老人ね)。

    読みやすいので是非。

  • 介護職の母が読んでた本。
    「死に方上手」も出してほしいかも。。人生の結末、死への向かい方、家族の看取り方、など。

  • 小さな円を描いて満足するより、大きな円の、その一部である弧になれ(ブラウニング)編集する 2010年11月28日00:48

    この本には、氏の人生に影響を与えた名言もちりばめられている。

    日野原重明「生きかた上手」

    先日、「日野原先生がオリーブオイルを毎日飲んでいるっていうのを

    聞いたんだけど」と、本を探しにきたお客さんがいた。「日野原人気は

    健在だ」ということで…今度、医療をテーマに人気の本や小説を特集

    するつもり。

    中高年に人気で問い合わせもある、日野原氏のベストセラーを読んで

    みた。いまさらです(^_^;)2001年出版。氏が90歳の時。

    もう出版から10年がたったんだ。現在も御存命。すごい!

    ヒットしているときから「これは中高年以降の人に興味のある、健康や

    病気について書かれた本で、まだ20代の私には実感できることは少

    ないだろうな」と思っていた。

    ほかの著作には自身の健康法が主のものもあるようだけど、本書は「

    人間の欲」「医療と人間」「生と死、子供への伝え方」など、むしろ若い

    ころに読んだほうがいいトピックもあった。文章もわかりやすく、言いよ

    どみがなく、時に厳しい。長く生きているというだけでなく、経験や頭の

    よさなんだろうな。

    何点か、心に残った点を書き留めておく。

    ★現代医療の限界を「謙虚」に受け止め、また患者である私たちにも

    学習する必要を訴える。


    「医師に診てもらえば病気は治る、と思うのは、医療への信頼というよ

    り、むしろ過度の期待です」

    確かに!現在では、患者が積極的に医療に関心をもつことも多いと

    思うが、氏はずいぶん以前からこのことを提唱してきた。



    ★医者にかかった「その後」を伝える、配慮

    医者にかかって、その後の病状(治ったとか)を伝えたことはなかった。

    治っても、長引いても、そのまま。次に会うときは、また悪くなったとき。

    医師と患者である前に、人間同士であること、そして、医療の場だけ

    でなく、その心遣いは社会人として学ぶべき点。「診てもらったその後

    」は…正直盲点だった。アレルギー持ちの私のかかりつけ医とは、か

    なりドライな関係。こんなことしたら、「どうしたの?!悪い病気か?」っ

    て笑われそう。

    ★検査や数値ばかりを重視する医療に警鐘


    医者は、病む「臓器」ではなく、病んでいる「人」を診る

    氏は尊敬するウィリアム・オスラー氏の言葉をモットーにし、後進にも

    伝えている。

    ★「プロ」精神を持つボランティアの育成

    「ボランティアは提供する技術においてプロでなければならない」

    聖路加国際病院では300人以上のボランティアがいる。不慣れ院内

    をガイドするボランティア、血圧測定ボランティアがいる。

    ボランティアを一時しのぎの労働力としてみなすのではなく、研修など

    のバックアップをし、また技術に関しては厳しく見るという。血圧測定ボ

    ランティアの技術は、医学生の講義もできるほどだという。

    技術もあり、それに伴う責任も自覚し、プライドを持っているんだろうな

    、と感じた。

    「熱い思いやほのぼのとした善意だけでは、残念ながらボランティア

    はつとまりません」

  • 初めて読んだ日野原先生の本。
    退職近い頃に、この本に巡り会えて本当に良かった。
    退職後にも、働きたいと思わせてくれた。死ぬまで自分の使命を全うしようと思わせてくれた。
    健康で長生きしたいと思わせてくれた。
    私の第ニの人生観を良い方向へと変えてくれた。
    この後何冊も先生の本を読み、人に薦めた。

  • 読んだ父は「当たり前のことしか書いてない」といっていたが
    私は時々泣いてしまったり、自省させられた。
    患者としての心構えは特に印象に残った。患者の心構えを医師側から提案されているのはこの本がはじめてかも。確かに受動的すぎてはいけないと反省。
     こどもにいのちの教育をする大切さは同じように痛感する。私たちは死から遠ざかりすぎている。いつか襲い掛かる死を恐れるのではなく、一日今日も生かされたことに感謝、という前向きなスタンスで私も生きて生きたい。
    またライフプランニングセンターではボランティアを育成し、まだまだ活躍できる老人の活用を目指しているとのこと。ボランティアを育成しそのプロになってもらうことがやりがいと貢献感を高めるのだと、ボランティアに大学講義までやらせていることに驚き。
    自分が老人になったらここを活用して社会に役立つ老後を過ごしたいと思わされた。

    「小さな円を描いて満足するより、大きな円の、その一部分である弧になれ」 ブラウニング

  • 先月、聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生が亡くなりました。105歳でした。
    先生が90歳の時に出版された本「生きかた上手」は、雑誌「いきいき」への連載をまとめたものです。
    目次を見ると、「きりのない願望が、あなたを幸せから遠ざけます。」に始まり、興味を引くタイトルが続きます。ちょっと肩の力をぬいて、自分に目を向けてみます。人生は習慣です。良い習慣を覚えて、生かされる最後の瞬間まで先生のようにいきいきと生きたいものです。

  • 百歳超えの現役医師、日野原先生のメッセージ集。
    好々爺の中高年励まし雑文なのかと思ったら、生きること老いることについて、グサッとくることが多く書いてあって耳の痛い本だった。

    やってみようと思う事:
    できるだけ歳が近くて目標にできる人から良い所を盗む(追いつき追い越せれば尚良し)。
    部活やってた人なら当たり前じゃんみたいな所あるのかもしれない。だけど改めて言われると働きだしてからは素敵な先輩、見習いたい大人ってぱっと思い出せなくなってるし、すごい人を紹介されても「ふーん」としか思わなくなってて、自分が大分錆びてることを指摘された気分。
    ので、ピンとくる人がいないかアンテナ張って、見つけ次第何か1つくらい真似できることあるだろうと考えること。誰も気づかないくらい小さいことでいいから、それが息をするように身に着くまで取り入れて実践してみる事。
    とりあえず当面の小さくて大きな目標コレ。

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著者プロフィール

1911年山口県生まれ。1937年京都帝国大学医学部卒業。1941年聖路加国際病院内科医となる。学校法人聖路加国際大学名誉理事長、聖路加国際病院名誉院長、一般財団法人ライフ・プランニング・センター理事長などを歴任。予防医学の重要性を指摘し、医学・看護教育の充実、ターミナル・ケア(終末期医療)の普及に尽力。2000年には「新老人の会」を結成。1999年文化功労者。2005年文化勲章受章。2010年には国際コルチャック協会名誉功労賞受賞。2017年7月18日逝去。

「2022年 『2023年版『生きかた上手手帳』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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