絵で見て納得! 時代劇のウソ・ホント (遊子館歴史選書 1)

著者 :
  • 万来舎
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784946525650

作品紹介・あらすじ

江戸時代の既婚女性はお歯黒を染め、眉を剃っていたが、現代の時代劇ではこのような女性は登場しない。時代劇で庶民の味方のように表現されている岡っ引きは、奉行所の役人ではなく、与力や同心が私的に雇った手先で、ほとんどが二足の草鞋を履いたやくざ者であった。このように、映画やテレビなどの時代劇や時代小説では、当時の風俗や習慣、生活を正確に再現していないことが実に多い。本書を読んでいただき、映画やテレビなどの時代劇を見たり、歴史小説を読めば、作者の意図も史実との違いも良くわかり、楽しさが倍増するであろう。

感想・レビュー・書評

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  • テレビドラマにあるある時代劇のうそほんとを絵で分かりやすく解説した本
    若者たちからは、へ~と声が出る話
    ホントに沿った時代劇を見てみたい。話題になって面白そう
    特にあのちょんまげ⁉の沢山のパターン(女性の髪型も)是非実演して欲しい

  • 最近の時代劇は大分時代考証がされているようだが、あくまでも史実に基づいたフィクションだとして観ないと間違った歴史、人物像が頭に残ってしまうので、基本的には時代劇は観ないし読みません。ただ、江戸には興味があるので、歴史物のプログラムはよく観ます。特に昔NHKでやっていたタイムスクープハンターは面白かった。あれは時代考証そのものがテーマのような番組でした。
    制作側に説得されて「おはなし」優先で時代考証する側も妥協しないといけない大人の事情があるのでしょうが、今後もっと頑張って欲しいです。
    既婚の女性は眉剃り、お歯黒で是非!

  • 著者の絵は失礼ながらあまり上手ではない。たぶんこの先生の意を汲んでイラストを書けるような、故事に通じた描き手が見つからないのだろうと思う。「箙の梅の故事は、残りの矢数を覚られぬための武士の嗜み」とか書いてあって内容は面白い。読み進めるうちに絵にも愛着がわく、かも。

  • ホントの江戸時代はこんなのだった!

    時代劇がそのままだなんて思わないけど、どこが違うのかはわからない。色々と面白かったかな。

  • 時代劇の時代考証の甘さについて、語られることはよくありますが、ここまで徹底して映画やテレビで見る時代劇や時代小説での違いについて指摘している本は初めて。
    著者は日本甲冑武具歴史研究会会長という、ものものしい肩書を持っています。

    一つ一つ読んでいくと、時代劇を見て当たり前に思えていたことでも、史実とは違っていることがかなりあると気が付きます。
    たとえば、町奉行所にも武家屋敷にも、道場のような表札はかかっていなかったそうです。
    近所の人はだれの屋敷か知っていたから、必要なかったとのこと。
    商家だけは、屋号を看板やのれんにして揚げたそうです。

    与力と同心の区別がつかずにいましたが、与力は指揮役、直接の捕りものは同心が行うそうです。
    武士の鬢は顔に沿っているが、同心は月代から頬に一直線に剃り下ろした小銀杏髪で、八丁堀風と呼ばれる粋なスタイルだったとのこと。
    時代劇では、みんな同じ髷になっているようですが。

    また、半七や銭形平次などの岡っ引きは正義の味方ではなく、あくまでやくざ者だとのこと。
    協力の見返りとして自分のシマを見逃してもらっていたそうです。

    やくざの旅姿としてよく絵に出てくる、防寒用の引きまわし合羽は、実際のトレードマークではなかったそう。現実は、むしろやござを巻くみすぼらしい姿だったようです。
    よく清水の次郎長や森の石松の格好として描かれる、縞の合羽に三度笠は、やくざではなく庶民の旅姿だったのだそうです。

    牢屋敷での賄賂、ツルについては『ZIN』で見ていたため、その悲惨さがわかりました。
    牢屋の中は、厳しい階級性が敷かれ、想像よりもシスティマティックになっていました。

    同じ十両を盗んだ場合でも、昼に盗むと叩き離し程度なのに、夜だと死罪になったというのが不思議です。
    昼は、盗まれる方にも手落ちがあるとみなされたからだそうです。

    女は男に従うという男尊女卑の儒教思想が強い時代でしたが、将軍のお成りの時、庶民は土下座で迎えなくてはならないものの、女性は座敷に座って最敬礼すればよかったとのこと。
    衣装が汚れることへの配慮からで、そういった面では女性に優しい社会だったのかもしれないと思います。
    武士や庶民の妻が夫の背後を歩くのは、男性をたてるという意味だけでなく、妻が襲撃されるのを防ぐ意味もあったそうです。
    妻の後ろには護衛の侍が従い、一人歩きは絶対になかったとのこと。

    また、殿様が人と対面する時に脇息を使ったり、もたれたりするシーンは、時々ドラマに出てきますが、それは相手に対して非礼であるため、決してしなかったそうです。

    鬨の上げ方は、指揮取り武士が「えい、えい(準備はよいか、心構えはよいか)」と叫んだら、兵士たちが全員で「おう!(万端!)」と応えるのが正しく、今のように、一人で全部「えい、えい、おう!」と言うのは間違いだそうです。

    日本と西洋では、馬の乗り方も違い、日本の古式乗馬法は左から乗るところを、西洋式乗馬法では右から乗るそうです。
    日本の場合は、武士が刀が馬の首に当たらないようにとの理由からだとのこと。

    当時の武士は、敵に対して常に左側が臨戦態勢を取るため、左側を優先していたそうです。
    服や足袋や草鞋、袴は、まず左袖から通したとのこと。
    ただし弓手袋は、利き手をまず整えるために右から通したそうです。

    幟旗(のぼりばた)も旗竿が左側に位置するのが表面であり、それに対して神社や商店の幟旗は右に竿が来ると、向きが違うそうです。
    今では双方一緒になっており、武者行列などで竿が右になっている旗が多く、これは間違いだと指摘していました。

    浪人と浪士も、よく区別がつきませんが、浪人は無職の者で、浪士は赤穂浪士など、無職でも武士の体面を保ち、二刀を帯びている者と、実際には大違いだと知りました。
    刀は武士の命であり、二刀を捨てれば、武士の身分を放棄したと見做され、庶民としての扱いを受けたそうです。

    水戸黄門に登場する、鳥追女お銀ですが、実際の黄門様の時代には登場していない職業だとのこと。
    鳥追女は女芸人であり、街道筋を勝手に流して歩けず、関所も越えられないため、そもそもTVシリーズのような派手な恰好ではなかったそうです。

    家主(いえぬし)と家主(やぬし)は違うという説明もありました。
    家主(いえぬし):地主の下に属する者で、家主(やぬし)とは、家主(いえぬし)が雇った大家だそうです。
    もうここまでくると、ややこしくてわからなくなりました。

    専門的なため、文章だけだと頭に入りづらかったと思いますが、イラスト共に紹介されているため、とてもわかりやすく頭に入りました。
    それにしてもこの著者は、実際にこの時代を見てきたように何でも知っているなあと驚いてばかりでした。

    これからは、時代劇を見るたびに、あちらこちらに鋭いチェックを入れてしまいそうですが、漠然と話を追っているだけよりも、今後は細部に至っての作品構築世界を楽しめそうです。

  • タイトル通りの本。
    単純に、読めば目からウロコ、で「へ~」と楽しめます。

    けれども、この本で知識を仕入れる事により
    ドラマ映像や時代小説での考証の甘さ、適当さが判ってくるので
    それらをストレートに楽しめなくなる可能性も大です。

    知らずに適当な作り方をするのは恥ずかしい事、と感じるものの
    本当の事だからといって、100%忠実にドラマ制作をする事は
    出来ないだろうな、とも思いますね。
    (お歯黒の団体はビジュアル的に怖いし…苦笑)
    理想を言うなら、きっちり史実を踏まえた上で、上手に
    嘘を仕立てて欲しい…というトコロでしょうか。

    本自体はいい本ですよ♪
    学校で専門に学ばなくても、美味しい所だけ教えてもらえる感じです。

  • 既に知っている知識ばっかりだったきがする。

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著者プロフィール

笹間良彦(ささま・よしひこ)
大正5 年(1916)東京に生まれる。文学博士。
日本甲冑武具歴史研究会会長を務め、『図解日本甲冑事典』『甲冑鑑定必携』『江戸幕府役職集成』『下級武士 足軽の生活』『歓喜天(聖天)信仰と俗信』『弁才天信仰と俗信』『好色艶語辞典』『鎌倉合戦物語』『日本軍装図鑑(上下)』(以上、雄山閣刊)など数多くの編著書がある。
2005 年11 月逝去、享年89 歳。

「2022年 『弁才天信仰と俗信 第三版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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