小出裕章 原発と憲法9条

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  • 遊絲社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784946550317

作品紹介・あらすじ

理想は掲げなければならない。現実は越えられていくもの…。戦争、貧困、環境破壊、差別、そして原発事故。悲劇を悲劇のままで終わらせないために。

感想・レビュー・書評

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  • 日本が原発を持つ本当の狙いは、核兵器開発のためであることを、物理の分野と歴史の流れから証明している。講演はとてもわかりやすく、本書も同じく整然としている。

  • 著者は原子力の平和利用を進めようと大学や院で学んだが、学ぶうちにその恐ろしさを知った。現在は原発反対・廃絶の論客の先頭にいるものとしてアクションを起こし続けている。

    本書は三部構成で、
    一部は、2011年7月23日に『樫田九条の会』と『アムネスティ日本・大津坂本グループ』が主催した『原爆・原発と憲法9条』の講演の内容がおさめられている。
    東京大空襲を行ったB29、344機の爆撃機よりも原爆の威力の方が高いということ。原爆の原理や、ウランとプルトニウムの爆弾の違い。いかに核が危険か。

    二部・三部は、『FMわぃわぃ』の放送や出版社の取材をまとめたもの。『FMわぃわぃ』は震災後、神戸市の長田区にあるラジオ放送局で在日外国人のたちに情報発信を積極的に行う放送局である。

    小出氏はいかに原子力が危険なものであるかを訴え、かつそれが安全だという偽りの神話を流布してきたメディアの罪を声を大にして発言する。

    漏れた放射能は東京電力の所有物であるとしそれを東京電力に全て責任を持って処理してもらうという話は筋が通り過ぎて目からウロコであった。

    日本のメディアが原子力のイメージアップのためにしていることとして興味深かったことは、日本のことについては「原子力」、イランや北朝鮮については「核」と、英語にすればどちらも「nuclear」を言い換えて使っているとの指摘だ。こうして国民は騙されていたのか。

    最初と最後に著者は、あの残虐なヒットラー・ナチスについて反省を述べたヴァイツゼッカー大統領の

    『歴史に盲目になるものは、未来にも盲目になる』

    という言葉を信念として、3・11の震災、そして最悪な原発事故が起こった時代に生きるものとして、未来の世代のために原発を廃絶すべきだと強く訴える。


    「原子力がないと電力が足りなくなる。」

    東電の広告費という大金で目をくらまされているメディアの宣伝を信じている人はぜひ一読を。価値観変わります。

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著者プロフィール

元京都大学原子炉実験所助教。工学修士。
第2次世界大戦が終わった4年後の1949(昭和24)年8月、東京の下町・台東区上野で生まれる。中学生のとき地質学に興味をもち、高校3年までの6年間、ひたすら山や野原で岩石採集に没頭する。68年、未来のエネルギーを担うと信じた原子力の平和利用を夢見て東北大学工学部原子核工学科に入学。しかし原子力について専門的に学べば学ぶほど、原子力発電に潜む破滅的危険性こそが人間にとっての脅威であることに気づき、70年に考え方を180度転換。それから40年以上にわたり、原発をなくすための研究と運動を続ける。2015年3月に京都大学を定年退職。現在は長野県松本市に暮らす。著書に『隠される原子力・核の真実─原子力の専門家が原発に反対するわけ』(2011年11月/創史社)、『原発のウソ』(2012年12月/扶桑社新書)、『100年後の人々へ』(2014年2月/集英社新書)ほか多数。

「2019年 『フクシマ事故と東京オリンピック【7ヵ国語対応】 The disaster in Fukushima and the 2020 Tokyo Olympics』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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