- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784990085872
作品紹介・あらすじ
「いい会社」とは、単に経営上の数字が良いというだけでなく、会社をとりまく総ての人々が、日常会話の中で「いい会社だね」と言ってくださるような会社のことです。「いい会社」は自分たちを含め、総ての人々をハッピーにします。そこに、「いい会社」をつくる真の意味があるのです。
感想・レビュー・書評
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CSとESを向上させることが良い会社つくりとなる、という話はよく聞きますが、塚越さんほど徹底できている方はいないのかもしれません。
企業の目的は永続であり、利益も拡大もその手段の一つでしかない、という概念は新鮮でした。
持続可能であることを目的とするとき、時には急成長も戒める…これほど自制の利いた経営もあるのだな、と。
並大抵の信念を持って経営に取り組んでいなければできることではありません。
信念と我が道を確立しているからこそ、情熱があるからこそなせる業。
経営者はかくありたいものです。
短期的な利益に惑わされず、長期的な価値を追求するという経営手法は、欧米の大企業ではなかなかできていない点であり、見習うべき点。
とはいえ、社員数十万人のグローバル企業で同じ原則が成り立つかというと、また別の考慮が必要ではないでしょうか。
また、社会人個人としても参考になる内容も含んでいます。
5Sの基本(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)、学び続けること、問題意識、物事を多面的に眺めて次を予測する、など。会社は教育機関、と表現されていますが、とても共感を得ました。
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寒天メーカー、伊那食品工業の社長さんが経営哲学について書いた本。
「会社は社会に貢献するためにある」という理念の下、従業員、従業員の家族、地域社会、環境に配慮した発展を続けている。
直ぐに収穫できる利益より、遠くの利益。
若い人はやりがいや社会の役に立っているという心の充実感を求めている。
株主の利益を優先して社員の首を切るような株主制度は不完全。
など、メモがいっぱい。
また、会社経営にかかわらず、一人の人間としてどう自分を修めて行くかの参考にもなると思う。 -
「リストラなしの年輪経営」と本書「いい会社をつくりましょう」を人の勧めで続けて読んだ。どちらも読み終わった後、本当に胸のすく思いだった。
会社を経営するには、経済環境、社会的状況とも厳しい時代ではある。
しかし、なぜ厳しいのかを考えたときに、その原因は、あまりにも功利的、短絡的な発想に取りつかれている我々にありはしないかという考えがよぎった。
会社の中も外も、実は繋がっている。社員も仕事が終われば一消費者である。社員の給料が減れば、消費に充てられるお金が減る。程度の差はあれ、基本は同じである。
その経済の元締めである会社が、人件費をコストと考え、切り詰めたり、リストラしたりすれば、世の中おかしくなってしまう、というのが塚越さんの考え方だ。
至極まっとうなことだと思う。そして、彼の強調する、人を大切に、社会のためにといった精神は、日本の伝統的な価値観なのだ。
現在は、経済効率第一主義で、人間の尊厳もなにもあったものではない。
おそらく、現在の価値観が、人間の方にシフトしていかないと、世の中がもたないのではないかと思う。
そんな、次なる価値観であり、実は昔からの日本的な価値観で、経営を成功させているのが、かんてんぱぱの伊那食品工業なのだと思った。 -
経営のバイブルとして、中小企業はもちろんのこと、
大企業の経営者、リーダーがぜひとも読んでおくべき一冊。
企業の成長、売上げ・利益のみに目がいく経営。
長く続きません。年輪経営の極意を、何度も読み
インストールしていくべきではないでしょうか。 -
■概要
いい会社をつくりましょう。
〜たくましく そして やさしく〜
いい会社とは…
経営上の数字が良いだけでなく、会社をとりまくすべての人々が「いい会社だね」と言ってくださる会社です。
「いい会社」は自分たちを含め、すべての人々をハッピーにします。そこに「いい会社」をつくる真の意味があるのです。
上記のような内容で始まる社是を持つ会社、伊那食品工業(株)で半世紀近く経営に携わってきた方がこの本の筆者です。
なんと、この会社、創業以来48年間増収増益!
社員・地域・消費者・パートナー企業全ての幸せを求めつつ、緩やかに成長を続けている日本型経営の企業です。
・敢えて急成長しない・トレンドに乗らない
・敢えて年功序列
などなど、ベンチャー企業、コンサルティング業界に身をおく私としては大変新鮮な内容でした。
きっと、この会社に勤めている方たちは、幸せなんだろうなぁと思ってしまう内容でした。
とりわけ印象的だったのが、人件費は「コスト」なのか?というテーマの箇所。
「人件費は、幸せを求めて働く社員たちへの労働への対価であり、この支払いは企業活動の目的そのものです。」という1文にはしびれました。
■仕事に役立つ点
理想的な会社のかたちの一例を知ることができたような気がします。
<あし> -
”・二一世紀のあるべき経営者の心得 より(p.16-29)
三 永続することこそ企業の価値である。急成長をいましめ、研究開発に基づく種まきを常に行うこと。
五 社員の士気を高めるため、社員の「幸」を常に考え、末広がりの人生を構築できるように、会社もまた常に末広がりの成長をするように努めること。
八 専門的知識は部下より劣ることはあっても、仕事に対する情熱は誰にも負けぬこと。
・「会社は、経営者のために存在するのではなく、一緒に苦労をしてくれた仲間たち全員のものだ。会社は社員の労苦に報いるために、発展し、利益をうまなければならない。会社の発展を通して、社員がみな、幸せになり、社員の幸せを通して社会に貢献するべきだ」(p.22)
・「社是カード」に書かれた言葉(p.40-41)
○社是
いい会社をつくりましょう。
?たくましく そして やさしく?
○「いい会社」とは
単に経営上の数字が良いというだけでなく、会社をとりまくすべての人々が、日常会話の中で「いい会社だね」と言ってくださるような会社のことです。
「いい会社」は自分たちを含め、すべての人々をハッピーにします。そこに、「いい会社」をつくる真の意味があるのです。
・経費の節約を考えるとき、意外と論じられないのが、社員との信頼関係です。信頼に基づく経営では、管理部門は小さくても足りるはずです。経営者は性善説の立場を採り、信頼できる社員を育てていきたいものです。その大前提として、経営者が社員や社会から信頼されていることが必要だと考えます。(p.53)
・加齢するにしたがって、何となく充実し、幸せになれるような人生こそ、末広がりの、いいかたちの人生をだと思うのです。(p.65)
・私は木の年輪から、確実な低成長をつづけることの正しさを学びました。年輪ができない年はありません。(中略)木は成長を止めません。年輪を確実に一輪、増やします。これこそ、企業の自然体であり、あるべき姿です。(p.107)
・SERENDIPITY=掘り出し上手
・モラルとモラールは連動する(p.149) #あ、違うんだ!
モラル(moral)…道徳、倫理
モラール(morale)…士気、やる気
・年功序列は排除してはならない人事制度だと考えます。(p.164)
・経営者が、社員みんなの幸せを考えて経営しているのならば、「労使」ではなく、会社にあるべきは「同志」の間柄ではないでしょうか。(p.170)
・伊那谷に生きる会社として、「地域のために何ができるのか」ということを、私はいつも考えています。(p.191)
・まちづくりについて、当社が終始一貫して提案し、実行してきたことが、この広告には表されています。これを通じて、当社が何を言おうとしているのか、何をやろうとしているのかということが、世間に知れわたっていきます。時間はかかりますが、当社の思いを確実にお伝えすることにつながっているのです。これを二十年もつづけていけば、人々に理解してもらえるでしょう。そのときの理解は本物です。(p.199)” -
伊那食品工業株式会社代表取締役社長・塚越寛氏の経営理念をまとめた本。「良い会社」とは何か考えさせられます
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著者はかんてんぱぱブランドで有名な伊那食品工業(株)の会長。
タイトルにもなっている「いい会社」とは、単に経営上の数字が良いというだけでなく、会社をとりまく全ての人が、日常会話の中で「いい会社だね」と言われるような会社のことだそうです。
一般的に経営者は急成長を志向するものですが、塚越氏は永続的に安定成長することが重要で、むしろ急激な成長は抑えるべきだとしています。当社は創業以来48年間連続で増収増益を達成し、景気に左右されない末広がりの経営を貫いています。この手法を毎年年輪を作り成長する木に例え「年輪経営」とも呼ぶそうです。
またいい会社は自分たちを含め、すべての人々をハッピーするものであり、企業は本来、会社を構成する人々の幸せの増大のためにあるべきとしています。例えば当社では、社員がもっと快適に働けるための設備投資や、2年に一度の海外社員旅行等を行っております。会社の目的はあくまで「社員の幸福と、それを通じての社会貢献」であり、利益は結果でしかないとのこと。
こんな会社で働きたいなと思える一冊です。 -
日本型(式)経営の三種の神器は、終身雇用、年功序列、企業内組合を指すと言われる。
著者の経営する伊那食品工業は、労働組合が無いという事であるが、終身雇用と年功序列を守りながら、樹木が年輪を重ねるように、成長を続けている。
他社がマネできたとしても、追い越す事も、並ぶ事すら、出来ないのだろう。それだけ、従業員全員が、芯が強く、血が通い、心一つに、働いているのだと感じる。
著者は、現在のアベノミクスを、どう感じ、これから、どう行動していくのだろうか。勤務先労働組合の三役に就任した現在、ぜひ一度聞いてみたい。