Dear キクチさん、ブルーテント村とチョコレート

  • キョートット出版
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 13
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784990263713

作品紹介・あらすじ

アーティストいちむらみさこが、公園のブルーテント村に住み始めた!

大都会の一角、ホームレスが集うテント村の暮らしには、
思いがけない美しさと豊かさがあった。
いちむらみさこはそこで「女性のためのティーパーティー」を開く。
「瞬間の心に応じて太陽が動いているような」公園の素敵な女性たち。
そしてポップでパンクでファンキーな女性、キクチさんと出会う。

今は公園にいないキクチさんへの書簡集のかたちで、キクチさんのこと、
スキップするようなテント村の日常を描いていく。
やわらかに躍動する言葉と絵によって、女性とホームレス、生活とアート、
暴力やマイノリティ排除の問題も浮かび上がる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いちむらさんのこの本は、まちがえて読んだつもりになっていた。前に、同じキョートット出版の『このようなやり方で300年の人生を生きていく』を読んだのと、いちむらさんの話は『We』でも掲載したせいか。

    公園で暮らし、2年が過ぎて、キクチさんに出会ったいちむらさん。

    私には、キクチさんが世の中で一番、
    キラキラステキに見えた!
    きっと、今のキクチさんもステキなはず。

    公園の生活から旅立ち、
    どこかで暮らすキクチさんへ、手紙を送る。(p.3)

    Dearキクチさん、と書かれた手紙。7月から11月のあいだ、9通の手紙。いちむらさんが書く手紙のなかから、キクチさんの姿が見えてくる。

    私が、カッコイイと思ったキクチさん。

    いつものゴミ箱を開けて収集しているキクチさんに、公園に住むある若者が「そういうことは、やめろ!」と言ったとき、「バカやロー! 仕事のじゃまをするな!」から始まり、怒りを表現し、最後に「ブタヤロー!」を連発して感情を出しきった。その様子を書きながら「私だったら」と綴るいちむらさんの手紙に、私自身もいちむらさんのようなフリをしてしまうんやろうなと思った。

    ▼その時の怒りを逃さない「バカやロー!」は、相手の中を突破して、冷静さをうながすのですね。実際に、彼はその後、ゴミを収集する事に何も口出しをしませんでした。
     きっと私だったら、返答を求めていないのに、「なぜですか?」などと言って民主的に話し合うフリをしてしまいそう。こっちが冷静になることはないのですね。(p.45)

    キクチさんの方法を、いちむらさんは「無駄にケンカをするのではなくタイミングを逃さずケンカをし、後はスッキリする。そうして近所の人達と一定の距離を保ちながら地域生活をするという方法」と書く。

    タイミングを逃さずケンカ!
    私自身はそれがほとんどできず、スッキリせず、あとあとまで尾を引きがちだ…と、我が身を振り返って思う。

    ※いちむらさんインタビュー「がんばれば楽になれる?─ブルーテント村に住んで」は、『We』160号(特集:アートの力)に掲載。

    http://femixwe.cart.fc2.com/ca10/44/p-r3-s/

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

2003年から東京の公園のブルーテント村に住み始め、同じテント村住人と一緒に物々交換カフェ・エノアールを開いている。2007年にホームレスの女性たちのグループ「ノラ」を発足。国内外でフェミニズムや反ジェントリフィケーションについての発表や展示、路上キッチンを行っている。おしゃれ商業主義から距離を置いた表現や場作りをコレクティブで実践。コンフリクトが生じた際、話し合いを持つことの重要性やその難しさなども痛感しつつ、変容しながら継続中。著書に『Dear キクチさん、ブルーテント村とチョコレート』(キョートット出版)がある。

「2022年 『エトセトラ VOL.7』 で使われていた紹介文から引用しています。」

いちむらみさこの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×