- Amazon.co.jp ・本 (90ページ)
- / ISBN・EAN: 9784990330873
作品紹介・あらすじ
アンドレイ・タルコフスキー監督の映画「鏡」「ストーカー」「ノスタルジア」で朗読される父、アルセーニイの詩。「鏡」のシナリオ・タイトルであった「白い日」から「遺言アンドレイ・タルコフスキーに」まで25篇を収録。
感想・レビュー・書評
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水底で世界がわたしたちの幼年時代をあやしている。自然の目で、幾度もまっさらな夢のなかへと目覚めてゆく。いつも生きつづけてきたように、今日もまた生きているように、あのときにも生きていたように。やがてひっそりと滅ぶまでのあいだを。大地が潤沢にはぐくむ草木の呼吸、その喜びを分かつ空の星々が汪洋とした生命の諧調を合わせて。ふるえる瞼を擦過する光は遠い奇跡の暗示。世界の孤児であり囚人であるわたしたちは、ほんのひととき、永遠の空間の一区画に置かれる。たずねるたびに息を吹き返す面影は白く、しろく、春のように透き通って。
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詩はあまり難しい言葉を使わずに書かれているものが好きだけど、この詩集はまさにそういった感覚で書かれていた記憶があるので(読み終わったのが約1ヶ月前)好きなタイプの詩集だった。
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再読。
自然の大きさと、おのれの小ささとの対比。不安と畏れ。
森や水、天体の動き、鏡などの主題は、父から受け継がれたものであったのだ。 -
アルセーニイの詩がもつ夏の空の青さや草の緑が交錯する世界観は、どこまでも不安とかすれた情熱に満ちている。
ライラックの芳りと色の輝きをもってしても消しきれぬ薄暗い陰が、詩の端々に息をひそめているかのように…
それは死の気配すら忍ばせて、それでいて何事もなかったかのように、苔むした庭へと帰ってゆく…
この美しい詩集に織り交ぜられた写真もまた、アルセーニイの世界観をどこか鏡のように映しだす。
素敵な一冊を手に入れた…。