バートルビー/ベニト・セレノ

  • 圭書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784990481124

感想・レビュー・書評

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  • メルヴィルの一つの側面を代表する「バートルビー」はさておき、「ベニト・セレノ」がサスペンス小説として、とても面白い。やはり船上の出来事を書かせたらメルヴィルに勝る者はないな。そして「バートルビー」は、『しないほうがいいのですが‥』という高桑の名訳と、アガンベンの潜勢力を思い出すのである。

  • 課題図書

  • 初めて読んだメルヴィル。
    表題の2作収録。
    「バートルビー」の名前は聞いたことがあっても、よくその実態についてはわからずにいたので、たまたま図書館で本書を見かけて借りてみた。

    「バートルビー」は、始めのうち、ちょっとコメディタッチの、面白おかしく読者を惹きつけて展開するタイプの話だと思いつつ読んだ。
    ところが終盤、浮浪者として刑務所に収監されたあたりから雰囲気が一変、彼の行動は一向に改まらず、結局はそれにより命をも落としてしまう。全てを拒絶した男の悲劇の物語というわけだ。え、そんな展開になっちゃうなんてと少々驚いた。
    この男の話は、様々な作家たちに影響を与え、「バートルビー症候群」なる名称を生み、この人物について作品についての考察を試みた著作も多数出版されているようだ。
    作品の意図やら何やら難しいことは私にはよくわからないが、嫌いな作品ではなかった。

    2編め「ベニト・セレノ」は、どうやら実際にあった黒人奴隷の反乱事件をヒントに書かれた作品らしい。
    う~ん、話としてつまらなくはないのだけれど、いかんせん、様々な描写がくどくて細かくて冗長、読んでいて飽きてくる。メルヴィルはこういう書き方をする人なのかな?基本、翻訳ものが苦手な私には少々つらかった。
    もっとテンポよく進んでくれるともっと引き込まれたのかなとも思うが…。

    解説でも、訳者の留守晴夫さんが両編あわせてメルヴィル論をぶっているが、なんだかなあ…。識者が分析するといろいろとあるんだろうけど、単なる読書愛好者としては、よくわかんないな~、というのが正直なところ。
    面白かった~とか、読みやすかった~とか。
    そんなんじゃダメかな?

    「白鯨」気になってたけど、この様子じゃ私には無理かも。

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著者プロフィール

1819年-1891年。ニューヨークに生まれる。13歳の時に父親を亡くして学校を辞め、様々な職を経験。22歳の時に捕鯨船に乗り、4年ほど海を放浪。その間、マルケサス諸島でタイピー族に捕らわれるなど、その後の作品に影響を及ぼす体験をする。27歳で処女作『タイピー』を発表。以降、精力的に作品を発表するものの、生存中には評価を受けず、ニューヨークの税関で職を得ていた。享年72歳。生誕100年を期して再評価されるようになり、遺作『ビリー・バッド』を含む『メルヴィル著作集全16巻』が刊行され、アメリカ文学の巨匠として知られる存在となった。

「2012年 『タイピー 南海の愛すべき食人族たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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