大杉栄獄中記 (大杉栄ペーパーバック)

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  • 土曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784990558727

作品紹介・あらすじ

1906(明治39)年-、東京外語大を出て8カ月で入獄するや、看守の目をかすめて、エスペラント語にのめりこむ。英・仏・エス語から独・伊・露・西語へ進み、「一犯一語」とうそぶく。生物学と人類学の大体に通じて、一個の大杉社会学を志す。出歯亀君、野口男三郎君ら獄友と交際する好奇心満足主義。牢格子を女郎屋に見立て、看守の袖をひく堺利彦は売文社以前。「おい、秋水!」という大杉に気づかず、歩み去る逆徒・幸徳。21歳の初陣から、大逆事件の26歳まで-、自分の頭の最初からの改造を企てる人間製作の手記。

感想・レビュー・書評

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  • エ、獄中にいて勉強できるんスカ…
    牢獄というと人生を停止し、虚心に自らの「罪」を見つめ「罰」を甘受する場であるかのように考えてきたけれど、大杉のスタンスはどうも違うらしい。さらなる飛翔のための揺籃、いわば蛹と捉えているようだ。まだ読んでいないから詳しくは知らないが、いちど入獄するたびに外国語を一つ修めるって、どんな胆力してんの。しおらしく反省されれば社会は安心して迎え入れるだろうが、活力なき社会復帰はどこか寂しいものである。静的な社会を煮え立たせる個人のヴァイタリティよあれかし。

  •  明治18年(1885年)生まれ堺利彦、幸徳秋水、荒幡寒村等の同志と活動した社会的無政府主義義者・アナーキスト。

    22歳から27歳までの6年間に入退獄を繰り返し都合3年近くを獄中で過ごした大杉栄自身の獄中記録。刑期中には読書と思索を行うが更に”一犯一語”というルールを作り入獄する度に外国語を学習し最初はエスペラント語、次はイタリア語、ドイツ語と習得し多数の翻訳も執筆した。

    本書では妻保子や同志堺利彦に宛てた書簡や獄中での生活を綴ってあり思想・哲学・心理等は獄中で学んだと本人が言う通り獄中生活での人間関係や社会学の研究が大杉栄の血となり肉となった事が伺える洒脱でスマートな文章は主義者的な悲壮感や暗いイメージは感じられない。

    また、本書中に”どんな死に方をしてもいいが、獄死だけはいやだ。あらゆる死に方の中で獄死だけは免れたい”と語った大杉栄の最後は関東大震災直後の混乱期に憲兵に逮捕され内縁の妻伊藤野枝と6歳の息子共々惨殺された。(甘粕事件)

  • 第4回(古典ビブリオバトル)

  • 自らの向上心と意欲でどんな人生も豊かにすることが出来る。

  • 獄中という過酷な環境下で学び続けた男。とてつもない意欲である。一犯一語と言っていたらしいが、どのように、一人で外国語を修得したのだろうか。どのように一人で自分の固定観念を壊し、考えを一新し、深めていったのだろうか。

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