OCICA ~石巻 牡鹿半島 小さな漁村の物語~

  • つむぎや
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本棚登録 : 21
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784990670108

感想・レビュー・書評

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  • コミュニティナース研修で、つむぎやの友廣裕一さんからいただいた本。

    石巻にある牡鹿半島で、震災復興の一助として始まった、輪切りにした鹿の角に漁網の補修糸を巻き付けた、ドリームキャッチャーを模したアクセサリーOCICA誕生とそこに息づく方々の現在進行形の物語。
    友廣さんが首にかけていたネックレスを見たときに、かわいいなと思った。震災復興のチャリティ、ではなくプロダクトとして普通にカッコイイ。鹿の角はもっと力強く男らしい印象だったので、ユニセックスな仕上がりに驚いたし、漁網の補修糸もポップで愛らしい。以前に、古道具屋で売っている小さな蛍光黄色の紙袋をかわいいなと思って手に取ったら、梨農家の友人が、それは小さい状態の梨を袋掛けするための袋だよ、と教えてくれた。こういう風に、その生業についている人にとっては当たり前の道具も、ヨソモノの視点で目を付けると色々な可能性が広がるのだなと改めて思った。

    プロダクト自体はもちろんだが、OCICAのおもしろいところは、確かに仕事ではあるのだけど、金銭を得るだけでなくて制作を担っている牧浜のお母さんたちに笑顔が溢れていることと、人のおかげさまの精神が連鎖して、反響して広がっていっていることだ。

    OCICAの制作作業は週二回で、ボランティアは募集していないのに毎週のようにいろいろな人が訪ねてくるそうだ。皆、立場や関心、世代や職業は違うが、一緒に制作作業を体験してもらうことで、旅行者としての傍観者の非日常ではない、お母さんたちとつむぎやの紡ぐ豊かな日常を体験し、OCICAのファンを作る。お母さんたちも、やってくる人々から彩りを得てお互いに楽しいし刺激を受ける。価値のある体験をすると、人はそれに対して自分は何ができるだろうと考える。やってあげるではなく、お返しとしてそれをごく自然とそれをする。それが積み上げられてOCICAとその背景にいるお母さんたちの物語が、体験とともに広がっていく。付加価値というものは、こうしてできるのかと思った。

    OCICAは、「震災で職を失った方々の仕事をつくる」「地域のコミュニティを再生する」という当初の目的以上に、「これまで日常としてあった、お母さんたちの笑い声を取り戻し、プロジェクトにかかわったすべての人たちをつないで」いる。
    それができるのは、つむぎやの人たちの「的を得たつなぎ力」によるものが大きい。私自身には大層な能力はないけれど、幸い人と話すことは好きだし、フットワークを軽く動くことができる時間と意欲もある。つなぐことの可能性を再認識した。また、仕事を一方的に与えられるのではなく、お母さんたちがエンパワーされ徐々に自信を持っていって、自立したプレイヤーとして動いていかれる姿が見ていて力強かった。

    つらつら書いたけれど、作業後のお茶っこのときにあるお母さんが言ったという一言が、すべてを表しているように思う。
    「ああ、ここにくると楽しい。いつも大声で笑えるっちゃ!」
    結局のところ、これが一番だよなあ。

    鳥取に来て5年。ヨソモノである自分を客観的に眺める良い機会になった。ふうん、こんなのあるんだな、と傍観者として終わらせないように、自分だったら?と考えながら読み進められてよかった。

  • 読んでて気持ちがとても伝わってきます。

  • 学生の頃、友人からちらりと話を聞いていたOCICAプロジェクト。
    活動の背景にある、東北のお母さん達の、ボランティアの人たちの、そしてサポーターの人たちの物語を知ると、たずさわっている方々の温度がもっと伝わってくるよう。

    たぶん今後、1) この活動を一過性で終わらせずに、彼女たちが自立していく構造を作っていくことと、2) ビジネスとして成り立つこと(規模化、効率化)と、コミュニティ作りのバランスを取ることが タフになるのかな、と勝手に思うけれど、
    当時の東北にあって、こうやってお母さん達がお互いに、自分の役割を持って、笑いあえる場を作っただけでも、とても意味ある活動だと思う。
    つむぎやさん、応援します。ピアス買いに行こっと!笑

    駒場祭で目にした時には小さかった活動が、日本全国へ広がって、いつも行く本屋で目にするまでになったのが、驚き+なんか嬉しい。






    以下、抜粋。
    ――生きることを肯定するためには、「あなたが必要です」という言葉を並べるだけでは限界がある。
    何かモノやサービスを差し出して、それを受けとった人が感謝やよろこび、場合によってはお金で返してくれたとき、初めて、自分の役割が時間できるものだと思う
    しかし、被災地と呼ばれる場所には、そうした機会が著しく損なわれていた。産業が壊滅してしまったのはもちろん、支援物質や炊き出しが次から次へとやってきたいたというのも一因としてある。
    特に、女性の役割が見えづらくなっていたように感じた。それがOCICAが生まれるきっかけだった。 (p.105)

  • 幾度も鳥肌が立つ、
    仕事への姿勢と、
    あくまでもそこに生きる人の立場にたった関わり方。
    僕にはできないなぁと思いつつも、
    直接ではなく、間接的に、
    そんなコミュニティや場が多くなるように、
    出来ることを粛々とやっていきたいと思った次第です。
    「ありがとう」という言葉が、本への感想。
    「ありがとう」と言われる仕事をしてたいな。

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