なるべく働きたくない人のためのお金の話

著者 :
  • 百万年書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784991022128

作品紹介・あらすじ

『年収90万円で東京ハッピーライフ』(4刷3万部)著者の、2年ぶり最新刊!!

「多動力」なんてないし「私たちはどう生きるべきか」と考えるうちに気がつくと昼寝になってしまっているような、そんな弱い私たちの「生存戦略」。
著者が隠居生活の中で、お金と人生についてゼロから考えた記録。将来に不安や心配を感じる人へ向けた、もっと楽に生きるための考え方がこの1冊に詰まっています。
巻末対談:鶴見済×大原扁理「豊かさって何だろう?」

感想・レビュー・書評

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  • 前著「年収90万円で東京ハッピーライフ」と語っていることは、ほとんど変わらない。お金の話に特化して語ってはいるのだけれども(よって、前著のように生い立ちは語っていないけれども)、決して1年間の決算書が出てくるわけではない。1週間1ヶ月の食費明細が出てくるわけではない。主にお金についての彼の「考え方」を延々と述べているだけである。この本を読んで特別大きな発見があったわけではない。でも、何故かすこぶる面白かった。

    私が思い出したのが、テレビドラマ『俺の話は長い』である。昨年10月12日から12月14日まで日本テレビ系「土曜ドラマ」で放送された。主演は生田斗真。失業してニートになった男性の現実逃避に惑わされながらも、家族がともに絆を深めていく姿を描いていくお話で、1つの話が「30分2本立て」で放送された。生田斗真には同居家族がある。よってお金には困っていないし、小遣いには頓着するがお金には頓着していない、能力はあるけど良い会社に入りたいわけじゃない、やりたいことは決まっていないけど自分探しをしているわけじゃない、美人で金持ちの経営者の恋人になったりもするけど安定を求めていないので別れてしまう。ただ自分のスタイルを貫きたいだけ。スタイルなんて、やってみなくちゃわからない。生田斗真はイケメンだから絵になったが、大原扁理さんは多分イケメンじゃないだろうから、こっちの方が共感する(^_^;)。でも、とにかく生田斗真ばりに話が長いので、読者は選ぶかもしれない。

    話が長くなってごめんなさい。

    以下、「年収90万円、週2日労働で、いかにハッピーライフを送るか、やってみて気がついたこと」の中から、「ちょっと忘れたくないな」と思ったフレーズをメモ。

    ・上京してきた目的がなかったので、直ぐに世田谷の7万から国分寺2.8万の家賃の家に「逃げ出せた」のです。
    ←ずっと何故上京したのか不思議だったけど、「単に行きたかった」だけのようだ。目的を持たない、この世の常識をひっくり返す発見。良いんじゃないの。

    ・私は満足の最低基準を「好きなことをしているか」ではなく「イヤなことをしないでいられるか」で判断しています。イヤなこと、それは「本当に必要でない、よくわからないことのために働くこと」です。

    ・自分のスタイルとは何か。簡単にチェックする方法。「もしも明日、世間の価値観がガラリと変わったら?誰も「いいね」しなくなり、誰も見向きしなくなったら?それでも続けたいと思うか?問いかけてみてください」迷わず「続ける」と答えたら、それは「自分の実感により作り上げた生活」です。
    ←私も、SNS発信は、どんなことになろうとも15年間続けてきたから、マイスタイルのひとつはこれなんだと思う。

    ・衣装ケース内の服やキッチンの食材、本棚の本などは、頭の中でそらで数えられるぶんだけ、と制限かけました。
    ←これは多分できない。

    ・毎年水が気持ちいい夏に、バスルームでコートやマフラーなどの大物を洗います。石鹸溶かした後につけ置きして、押し洗い、一度水を張り替えて、もう一度押し洗い。水を抜いたら、足で踏んで脱水、形を整えてバスタオルに包み、平たい場所に陰干し。
    ←やってみたい。

    ・ちょっとしたお礼に宝くじを配っている。

    ・お金は、みんなの便利のために生まれた。最初は喜ばれて生まれた。最後は笑って見送りたい。
    ←「サバンナ」(白土三平)を思い出す。なるほど、古代まで辿らなくても、お金の誕生は、考え方を変えるだけで直ぐに見ることができるんだ!

    ・お金のトンネルを通らない生き方。ドイツのハイデマリー・シュヴァルマーさんの0円での生き方。「ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由」(小林せかい)。

    ・繋がりたい人と繋がるのはOK。鶴見さんは92年ごろパソコン通信(←懐かしい!)でそうした。今は却って気の合う人はネットではなかなか繋がらない。

    ・お金を使わない社会は、昔の村社会。ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が豊かだった。

    ◯著者は何故か今は台湾に住んで自分のスタイルを実践しているらしい。台湾は食費と交通費は安いから、確かになんとかなるかもしれない。因みに、私が韓国で22日間旅をした時は、往復旅費とお土産代を引けば、生活費(交通・食費・宿泊)は10万円ぐらいだった。それで韓国内を一周できた。泊まるのはホテルではなくて、飛び込みの旅館(ヤガン)と旅人宿(ヤスク)のみ。これなら、韓国で生活出来るかもしれないと一瞬思ったけど、ビザとかいろいろ考えて諦めた。大原さんの若さに乾杯!

  • 先日読んだ『年収90万円でハッピーライフ』が面白かったので、著者がその次に出した本(2018年刊)を読んでみた。

    基本的には前作同様、年収100万円以下、週休5日の若年隠居生活について綴られている。

    ただし、著者は東京都下での6年間の隠居生活を経て、台湾に移住したらしい。したがって本書は、その6年間を台湾で振り返って綴ったものということになる。

    台湾移住の顛末や、現在の生活についての記述は皆無。それについては、後日また別の本にする腹づもりなのかもしれない。

    前作には著者の自伝のような趣もあり、生い立ちや両親との関係などについても、かなりの紙数が割かれていた。本書にはそのへんの記述がない分、若年隠居生活がいっそう深く掘り下げられている。

    一つには、お金を使わない生活の実用書としての掘り下げである。著者の暮らし方はおいそれとは真似できないが、それでも節約の参考になるノウハウも多い。

    また、著者がどのような思想を持って隠居生活に入り、続けてきたかが、前作よりも深く掘り下げられている。
    つまり、これは〝お金に縛られない生き方〟についての思想書でもあるのだ。

    本書にはミニマリスト/ミニマリズムという言葉は一度も使われていないが、人真似ではない真のミニマリズムの書だと思った。

    味わい深い一節も多い。いくつか引いてみよう。

    《最低限生きていくだけなら週二日の労働でも大丈夫じゃん、と自ら実験してわかった今、あの頃の私が通った学校に戻れるなら、「進学・就職しないと生きていけないなんてウソですよ~」と全校放送したい気分です。》44ページ

    《私は満足の最低基準を「好きなことをしているか」ではなく、「イヤなことをしないでいられるか」で判断しています。(中略)
     一番やりたくないことは何か。それをやらずにいられる状態を、最低限の満足ラインとします。ちなみに私がいちばんイヤなのは、「本当に必要でない、よくわからないもののために働くこと」です。》51ページ

    《いつも社会や他人の承認を求めていると、どんな問題があるでしょうか。
     おそらく、だんだん自分で決める力を奪われ、世間の価値基準なしでは、自分がどんなふうに生きていきたいのかさえ判断できなくなっていくと思います。》58ページ

    《私にとって「隠居」あるいは「年収九十万円」「週休五日」というのは、ただの結果であって、それらは人生の目的にはなり得ません。

     私は、「世間の当たり前」や「自分を固定しようとするもの」から解放されて、いつも自由でハッピーでいたい、この根源的欲求のために生きています。》90~91ページ

    《余裕のあるときに「最低生活費(最低限どれだけのお金があれば生きていけるのか)」を確認しておくといいと思います。
     これを一度でも確認しておくと、毎月の平均支出とは別に、生きていくのに必要なお金の分量が数字でハッキリとわかるため、いたずらに不安になるのをさらに抑えることができます。》99ページ

    1章から3章は、このような〝ハッピー清貧ライフ〟の哲学が明晰な文章で綴られ、読み応えがある。

    ただ、5章「お金と話す、お金と遊ぶ」になると、著者は〝お金を人格化してつきあう〟という奇天烈なことを言い出し、読んでいて首をかしげてしまった。

    いわく――。
    お金に「感謝や愛着がわくと、だんだん、お金を大切に扱うようになっていきます」、「自分や社会の幸せはもとより、お金の幸せまで考えるようになる」。

    うーん……。
    スピってる自己啓発書に出てくるような話であって、この章だけ別人が書いたかのような違和感を覚えた。

    3章までならとてもよい本だと思う。

  • 「お金の人格化」という考え方は、目から鱗。筆者がいかにお金を大切に、楽しく使っているかがよく分かる。ただ安いからという理由でお金を使っているのではない。長期で見た時に自分に与える影響を考えて良い食材を買ったり、応援したい人やお店にお金を使ったりしている。
    私も野菜や調味料にもう少しこだわってみようと思う。

  • 生き方に「新しい」選択肢を増やしてくれる良書。
    学校を出て就職し、フルタイム(以上)に働くのが社会人としての最低ラインという常識は思い込みに過ぎず、絶対的な収入が少なくとも満ち足りた人生を歩むことが可能であることを教えてくれる。
    「こうすることが正しい」という姿勢ではなく、筆者の実生活を基に「私(筆者)はこうしたらうまくいった」という提案型の意見提示にも好感が持てる。
    後半部のお金の使い方に関しては納得できる部分もあるが、実行するのをためらう部分もある。お金が向かってほしいと思える人やお店を利用するという原則は頭では理解できるが、お金が離れていく恐怖心をまだ克服できない自分はなかなかそれを実行できないだろう。自分に最低限いくらのお金が必要なのかを把握することで、余分なお金を無駄にため込まずに済むという方法も本書では提示されているが、それでもなお想定外に備えていないと不安と言う小心さが警告を発する。これは個人差と思い、受け入れたい。

  • お金に対する漠然とした不安は、最低限の生活費を知る、そのためにどれくらい働けばいいのか確認することで多少和らぐ。もし病気になって働けなくなった時にどれくらいの貯金があればいいのかも考えておけばいいかなー。障害年金とかもあるし、必要以上に不安にならなくていいのかも。
    それよりハッピーにお金を使えるように、お金を使った後にもどう社会に還元していくかや、周りの人たちに喜んでもらえるようにお金を使いたいなと思った。
    価値あるものにお金を払うとお金を使っても罪悪感や後悔もないけど、変に例えば高いのに美味しくないものに払ったらすごく後悔すると思うから、よく考えてから使おう。無駄遣いが減りそう〜後、損得勘定だけで考えないようにしよう

  • お金の話だけでなく、著者の生き方、考え方を示してくれる本。
    お金は幸せに生きていくツールでしかない。

    自分にとって何が大切か。何が幸せなのか。
    人それぞれ答えは違うだろうけれど、幸せな生き方のヒントがある。

    私も、週5日で働くことにひそかに疑問を感じていて(もっと自由な時間がほしいなと)、
    気の合う友達ができたみたいに、この話にものすごく共感した。

    お金だけにとらわれず生きていきたいな。

  • タイトルだけをみると、ものすごく、節約して、内側に掘り進めていく本なのかな?と考えて読んでみた。実際内側に向いている部分もあるのだけれど、むしろ、ものすごく能動的な考え方、生き方をしていることを書いてある本だと感じた。
    家族がいて、家のローンがある身では全て同じように、やってみよう!とは、簡単にいかないが、参考にできる部分はたくさんあった。

  • 最初の方に書いてある「やりたくないことをしない生活」という部分だけでした。あとは私には無意味。途中で読むのをやめました。今まで家族や生活のせいにして、いろんな理由をつけて、収入を得るためにやりたくないことを続けて来ましたが、今後は出来るだけそんな事はやめようと決心しました。それにしても、当時はまだ20代と思われる著者に既に相当重い老化現象が出ているとの事で、隠居生活は一気に老け込むかと思われますのでやらない方が良いと思います。

  • ▼以下メモ------------------------------------------------------------

    ・進学・就職しないと生きていけないなんてウソ、「そうしないと世の中でやっていけないぞ」と脅すばかりで、「失敗しても生きてはいけるから大丈夫だよ」と言ってくれるような大人は周りに一人もいなかった。

    ★・満足の基準を「好きなことをしているか」ではなく、「イヤなことをしないでいられるか」で判断しています。やり方はどうしてもイヤなことをリストアップ。その中で一番やりたくないことは何か。それをやらずにいられる状態を、最低限の満足ラインとします。この方法のいいところは、迷わないことです。やりたいことてすごく迷うのに、やりたくないことってどんどん出てきて不思議と迷わないんですよね。

    ★・いつも社会や他人の承認を求めていると、どんな問題があるのでしょうか。おそらく、だんだん自分で決める力を奪われ、世間の価値基準なしでは、自分がどんなふうに生きていきたいのかさえ判断できなくなっていくと思います。そうしたことにならないためにはまず社会や他人の承認が飛び交う場所から離れることが役に立ちます。SNSなど完全に離れる事は難しいかもしれませんが、やっているかは本質的な問題ではないように思う。ライフスタイルの根幹が、何よりもまず自分の「いいね!」によって支えられていることのほうが重要です。

    ・隠居生活をしていると、買いたいものがなんでも買えたり、行きたいところにどこでも行けるわけじゃない。むしろ経済的にはできないことの方が多く、とても不自由に見えます。なのに、実際はなぜか毎日ハッピー。これは隠居生活の中で、楽しみごとをお金に依存しない方法が身についたからだと思っています。
    ・要するにもうひとつの自由って、「幸せをお金に依存している状態から自由になること」。お金があってもなくても、どこで何をしていてても、ハッピーを感じられるような心の在り方といいますか。

  • 著者の考え方や生き方やそれに伴う行動はとてもすきなのだが、それができるのは男性だからかもな…と考える内容の箇所がいくつかあり★4つにしておきます。
    わたしも自分の生活にひつような最低額のお金を計算してみたりする。

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著者プロフィール

1985年愛知県生まれ。25歳から東京で週休5日・年収90万円の隠居生活を始める。31歳で台湾に移住し、3年半隠居生活を実践するが、現在はコロナの影響で帰国。著書に『隠居生活10年目 不安は9割捨てました』(大和書房)『いま、台湾で隠居しています』(K&Bパブリッシャーズ)、『なるべく働きたくない人のためのお金の話』(百万年書房)などがある。

「2022年 『フツーに方丈記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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