日本国民のための愛国の教科書

著者 :
  • 百万年書房
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本棚登録 : 65
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784991022197

作品紹介・あらすじ

Patriotism: The Textbook for the Japanese Nation
Takashi Shogimen

『ヨーロッパ政治思想の誕生』(名古屋大学出版会、2013年)でサントリー学芸賞受賞の著者が、中学生からお年寄りまですべての日本人に送る、愛国心をめぐる7つのレッスン。

感想・レビュー・書評

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  • 最近、愛知トリエンナーレのニュースを見ていて感じた違和感から読んでみる。
    「愛国」というときの、ナショナリズムとパトリオティズムの違いについての指摘にはなるほどと思った。
    ・ナショナリズム→日本の文化や風土
    ・パトリオティズム→自由を中心とする法・政治制度
    日本で「愛国」というときはナショナリズムを指すことが多いが、これは愛国の中の亜流であるそうだ。
    何も知らなかったが、最近のニュースの嫌な感じの根っこを掴んだ気がした。

  • 東2法経図・6F開架:154A/Sh95n//K

  • 愛国とはなにか、について様々な面からわかりやすく説明した本である。神社、ヤクザから愛国を説明するということは新しい視点である。さらに、やはり、ということばからも説明している。今までの理論をよく日本の言葉にして説明している。

  • ●1890年代になると急に愛国を叫ぶようになる。それは教育勅語が公布されたのと、日清戦争に勝利したこと。
    ●いろいろな藩の連合体でしか無かった日本を、中央の政府が統一的に支配する国に改造するため、ヨーロッパで行われた国民形式のモデルを参考にした。
    ●ですから、日本人なら日本に対して愛国心を持つのは自然で当然だ、と言うのは事実として間違っています。明治以降の教育の結果なのです。
    ●愛国は英語で言うとナショナリズムではなく、パトリオティズム。自然的な祖国と市民的な祖国の2つの意味。キケロが重要だと言うのは市民的な祖国。その一番の敵は暴政となる。
    ●実は明治の日本が欧米から輸入したとパトリオティズムは、純粋なパトリオティズムではなく、ナショナリズムの影響を受けたパトリオティズムだったのです。
    ●共和主義的パトリオティズムを説いた代表的存在は、植木枝盛です。自由民権運動の代表者として有名。一方ナショナリズム的パトリオティズムを主張した代表格は福沢諭吉。
    ●自分が日本に生まれ育ったことに関しては好きも嫌いもない。宿命だから。
    ●日本の歴史上の汚点ついて触れたり、現在の政権に見られる問題点を指摘する事は、「愛のまなざし」によるものです。これは、長所も欠点も正確に理解します。
    ●ハーシュマンの忠誠心。国の状態が悪くなると、人々は「離脱」よりも「発言」を選ぶだろう。多くの人々は国を良くするために政権に抗議するだろうと言うわけです。リーダーの言う事に何でも従うのが忠誠心ではない。
    ●国家が国のために命を捧げる国民を賞賛するのは、国家が正当な暴力を独占(やくざ組織)しているからだけでなく、宗教的な存在(神社)であることに由来していることがわかります。
    ●「やっぱり」を警戒してください。「やっぱり」を連発する人には簡単に同調せず、疑ってみることが大切です。「やっぱり」をつけることで「自分を疑ってはいけない、この意見には賛成しなければいけないよ」と言っているだけなのですから。
    ●「日本人だから日本語愛するのは当然だ」は、道徳的根拠になりませんか。それは他の日本人たちに寄りかかった発想です。それは(ナショナリズム的パトリオティズム)の論理です。

  • 愛国者とは多くの場合、反体制派に属するものだった。
    なぜなら体制側こそが…中略…私欲のために権力を私物化し得る存在だから…。

    人間は自分が信じていることをさらに強く信じたいので、その証拠探しには躍起になるが、自分が信じていることが間違っているかもしれないことを証明する証拠には見向きもしない。

    自国の歴史の美点ばかりを数え上げるなら、ただの自画自賛であり、誇りの感情が、自国の不正に恥じ入り怒る感情とセットになることで、初めて自分の国をより良くしたいという意欲が生まれ、倫理的に優れたものになる。

  • 2019年今年の1冊(毎日新聞版)に掲載されていたのをきっかけに読んだ1冊。
    愛国心について、その歴史的背景もふまえた上で、わかりやすく解説してくれている1冊。
    この本にある愛国心についての理解が広まれば、この国でももっと豊かに愛国心(国を愛すること)について多くの人びとがフラットに議論を深めることができるだろうなと思いつつ…

  • 《自分では選択できない宿命によって苦悩する事態に陥ったとき、初めてその宿命への愛の深さが試されるのです。たかだか生活の便利さや食事ごときで「日本人で良かった」と口にすることは、バカバカしいをはるかに通り越して精神的に弛緩し切った状態と言わざるを得ません》(p.169)

    《ナショナリズムは、生まれや文化に根ざしていますが、パトリオティズムは共通善という政治的理想に根ざしているのです》(p.44)

    《日本よりも頭の中が広い、ということで、広田先生は三四郎に「日本という狭い世界を乗り越えること」を自覚させようとします。しかし、ここで「日本よりも広い世界よりも頭の中の方が広い」と言えなかったところに、作者・夏目漱石の実感がにじみ出ているのではないでしょうか》(p.132)

    《アメリカにパトリオットという名前のミサイルがありますが、これは一つひとつのミサイルが愛国者(パトリオット)なのです。このミサイルにナショナリストという名前がつかなかったのは、ナショナリストには集団を成しているイメージがあって、一つひとつのミサイルの英雄的な力強さを表現できなかったからだと思います》(p.158)

  • 【書誌情報】
    『日本国民のための愛国の教科書』
    著者:将基面 貴巳(1967-) 政治思想史。
    発行:百万年書房
    版型:四六変型判 200ページ 並製
    サイズ:縦180mm 横120mm 厚さ14mm 重さ 214g
    価格: 1,680円+税
    ISBN:978-4-9910221-9-7
    CコードC0095
    ジャンル:日本文学、評論、随筆、その他
    発売予定日: 2019年7月26日

    『ヨーロッパ政治思想の誕生』(名古屋大学出版会、2013年)でサントリー学芸賞受賞の著者が、中学生からお年寄りまですべての日本人に送る、愛国心をめぐる7つのレッスン。

    「世界に国を成すもの沢山あり、然れども日本人程愛国々々と叫ぶ者は未だ嘗て見たることなし」(リギョール『日本主義と世界主義』文海堂 明治31年)
    http://millionyearsbookstore.com/works/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e5%9b%bd%e6%b0%91%e3%81%ae%e3%81%9f%e3%82%81%e3%81%ae%e6%84%9b%e5%9b%bd%e3%81%ae%e6%95%99%e7%a7%91%e6%9b%b8/

    【目次】
    レッスン1 愛国心を持つことは自然なことか
    (1)烈女・畠山勇子
    (2)武士道の変遷
    (3)明治の日本人と愛国心
    (4)愛国心の教育
    (5)〈国民〉は想像の共同体

    レッスン2 国を愛することは簡単なことか
    (1)「愛国」の起源
    (2)パトリオティズムとは何か
    (3)ナショナリズムとは何か
    (4)ナショナリズムの影響を受けたパトリオティズム
    (5)近代日本の「忠君愛国」
    (6)なぜ国を愛するのか
    (7)「自分の国」という宿命
    (8)「日本バカ」に足りないもの

    レッスン3 国のために尽くすことは正しいことか
    (1)国への忠誠心
    (2)ハーシュマンの理論
    (3)沈黙しない忠誠心
    (4)日本人の「離脱」と「発言」
    (5)ナチスドイツ下の「離脱」と「発言」
    (6)「不満があるなら日本から出て行け」
    (7)国家とはどのような存在なのか

    レッスン4 国をどのように誇りに思うべきか 
    (1)イギリス人の誇りとドイツ人の誇り
    (2)自己欺瞞のワナ
    (3)ナショナリズムVS歴史の真実
    (4)歴史学は有害なのか
    (5)批判の作法
    (6)批判的愛国者のすすめ 

    レッスン5 愛すべき〈祖国〉とは何か 
    (1)〈祖国〉の復習
    (2)「日本」とは何?
    (3)頭の中の「国境線」
    (4)伸縮可能な〈祖国〉

    レッスン6 愛国心の落とし穴とは何か
    (1)「やっぱり」の誘惑
    (2)儀礼の効用
    (3)「自分たち」とそれ以外
    (4)民衆扇動の見分け方
    (5)個人主義的愛国心

    レッスン7 愛国者の覚悟とは何か
    (1)他人はともかく自分は
    (2)再び、畠山勇子について
    (3)「日本人で良かった」?
    (4)日本人に冷たい日本人たち
    (5)ぬくぬくナショナリズム
    (6)日本以外のもうひとつの視点
    (7)愛国を超えて

    読書案内

    あとがきにかえて

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著者プロフィール

1967年(昭和42年)神奈川県横浜市生まれ。駒場東邦高等学校を経て、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。シェフィールド大学大学院歴史学博士課程修了(Ph.D.)。研究領域は政治思想史。ケンブリッジ大学クレア・ホールのリサーチフェロー、ブリティッシュ・アカデミー中世テキスト編集委員会研究員、ヘルシンキ大学歴史学部訪問教授などを歴任。現在、ニュージーランド・ダニーデンに所在するオタゴ大学人文学部歴史学教授。英国王立歴史学会フェロー。『ヨーロッパ政治思想の誕生』(名古屋大学出版会、2013年)で第35回サントリー学芸賞(思想・歴史部門)を受賞。その他の著作にOckham and Political Discourse in the Late Middle Ages (Cambridge University Press, 2007), Visions of Peace: Asia and the West (co-edited with Vicki A. Spencer, Ashgate, 2014), Western Political Thought in Dialogue with Asia (co-edited with Cary J. Nederman, Lexington Books, 2009)、『言論抑圧 矢内原事件の構図』(中公新書、2014年)、『政治診断学への招待』(講談社選書メチエ、2006年)、『反「暴君」の思想史』(平凡社新書、2002年)がある。最新刊は『愛国の構造』(岩波書店)。

「2019年 『日本国民のための愛国の教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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