うろん紀行

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感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784991074332

作品紹介・あらすじ

人はなぜ小説を書くのだろう。
なぜ小説を読むのだろう。
決して同じ場所にたどり着くことはできないのに。

〝平和島のブローティガン”
わかしょ文庫による《小説を読む物語》

笙野頼子『タイムスリップ・コンビナート』を読みながら海芝浦へ向かい、後藤明生『挾み撃ち』の足跡をたどり、巨大スーパーCOSTCOの喧騒の中で大江健三郎『万延元年のフットボール』を読もうとする。著者は一見ふざけているようだ。しかし、実際彼女は不安に襲われながら読み訪ね、そして書く。本書はとても切実で危なっかしい《小説を読む物語》だ。うろんな物語を読み終えたとき、読者もまたこの社会での生き方を模索しはじめているだろう。日常の生きづらさが綴られた自主制作エッセイ『ランバダ』の著者がその硬質で端正な文体を余すことなく発揮した好評WEB連載に書き下ろしを加えて書籍化した商業出版第1作。

[本書で取り上げた作品と場所]
◎笙野頼子『タイムスリップ・コンビナート』〔海芝浦〕◎永井荷風『濹東綺譚』〔東向島〕 ◎古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』〔犬吠〕◎後藤明生『挾み撃ち』〔蕨、上野、亀戸、御茶ノ水〕◎太宰治『富嶽百景』〔河口湖〕◎高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』〔金沢文庫〕◎宮沢賢治『銀河鉄道の夜』〔馬喰町〕◎尾崎翠『第七官界彷徨』〔池上〕◎大江健三郎『万延元年のフットボール』〔産業道路〕◎牧野信一『ゼーロン』〔高輪ゲートウェイ〕◎ポール・オースター『ムーン・パレス』、ベン・ラーナー『10:04』、スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャッツビー』〔ニューヨーク〕◎猫田道子『うわさのベーコン』、ボルヘス『バベルの図書館』、夏目漱石『夢十夜』〔???〕◎小森健太朗『大相撲殺人事件』〔両国〕◎藤子不二雄Ⓐ『まんが道』〔落合南長崎〕◎トム・ジョーンズ『ロケットファイア・レッド』〔大井町〕他

■目次
第一章 海芝浦
第二章 東向島
第三章 犬吠
第四章 蕨、上野、亀戸、御茶ノ水
第五章 河口湖
第六章 金沢文庫
第七章 馬喰町
第八章 池上
第九章 産業道路
第十章 高輪ゲートウェイ
第十一章 ニューヨーク
第十二章 ???
第十三章 両国
第十四章 落合南長崎
第十五章 大井町
あとがき

感想・レビュー・書評

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  • 発売した途端、様々な個性派書店の通販サイトで激賞されており、一体何者?と思いつつもそれらの激賞コメントに感化され、博打感覚でポチってみた。
    本の舞台となった地を、訪ねてみる。または実際に、体験してみる。ブックガイドのようなエッセイのような、つかみどころのない15章から成る本書はまさに「うろん」な「紀行」でした。
    まず、第1章の「海芝浦」(笙野頼子:タイムスリップコンビナート)に心を掴まれる。ユーモアと物寂しさがまぜこぜになった文章。生真面目なのか後ろ向きなのか、迷える感じが妙にツボにハマった。海芝浦の駅の描写も、鉄道好きとしてはそそられた。
    他、「東向島」(濹東綺譚)、「河口湖」(富嶽百景)、「落合南長崎」(まんが道)などなど、作品の面白さを伝えつつ小旅行エッセイとしても面白く、何より著者のトホホな体験に笑わされたり時にしんみりしたり。すっかりわかしょ文庫の文章の虜となり、読了する前に彼女のZINEを取り寄せたほど。
    気軽に遠出の出来ない今こそ、こういう本が傍らにあるといいのかなと思う。

  • 本を読んで、本を読むために、本を読みながらあちこちへ出かけて行く。
    絶妙にうろんな文章。
    ずっと読んでいたくなる。

  • 版元の紹介文によると、

    「わかしょ文庫さん(著者名である)が小説を読み、どこかの駅へ出かけ、何かを思う」エッセイ集。

    文章では著者がいくつか分からなかったのだが(力道山を知ってたし)1991年生まれとのこと。

    玉ノ井(『濹東綺譚』の舞台、かつての私娼窟)へ出掛けていく話と、コストコで本を読む(!)試みが印象に残る。

    僕も旅先でその地について書かれた小説やエッセイを読むのが好きで、ベトナムで林芙美子『浮雲』を読んだりした。「なんで俺は旅行に来てこんなドロドロの不倫小説を読んでるんだ」と気が滅入ったが、思い出す景色や体験と小説が結びついて忘れ難い思い出となった。

    後書きで書かれていた、芥川龍之介が生涯で読める本の冊数を計算して絶望したというエピソードを読んで、一緒じゃん、と思ったけどレベルが違うよな。

    それと、一番行きたい、読みたいと思った場所と本は、河口湖と『富嶽百景』でした。

  • ・こういうのってガチで無限に読める。

    ・一番読んでみたいなと思った本は大江健三郎『万延元年のフットボール』だった。買おう。あと私の人生で『銀河鉄道の夜』の登場回数って多いな…

    ・元気なかったけど、読み終わったあと少し元気になった。

  • すごいよかった
    最初からずっと面白いんだけど、小説にまつわる場所をちょっとずらして追体験するプチ旅行記かな、あはは、おもろ、みたいにただただ楽しく読んでいたら、途中でふっとモードが変わった、と思ったら、そこからひたすらなんかぐさぐさ、ときた。
    ぐさぐさ、は強すぎるか。もうちょっともやもやとしたなにか、、、あ、うろんってこれか。

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著者プロフィール

作家。一九九一年北海道生まれ。好きなものはうに。

「2021年 『うろん紀行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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