- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784991126062
作品紹介・あらすじ
文化人類学者が、それぞれのフィールドで体験した
知られざる場所の知られざる人びとの「働き方」。
それは、わたしたちが知っている「働き方」となんて違っているのだろう。
逆に、わたしたちはなんて不自由な「働き方」をしているのだろう。
狩猟採集民、牧畜民、貝の貨幣を使う人びと、
アフリカの貿易商、世界を流浪する民族、そしてロボット........が教えてくれる、
目からウロコな「仕事」論。
わたしたちの偏狭な〈仕事観・経済観・人生観〉を
鮮やかに裏切り、軽やかに解きほぐす、笑いと勇気の対話集。
ゲスト:柴崎友香/深田淳太郎/丸山淳子/佐川徹/小川さやか/中川理 /久保明教
感想・レビュー・書評
-
ポッドキャストを元にした対談集なので、とても読み易いけど、内容は濃くて面白い!
文化人類学の物の見方も概要が分かり、かつ仕事や人間に対する見方を崩してくれる良書。これだけ、枠組みが違う世界があるということを知れて、ホッとするとともに嬉しさが込み上げてくる。文化人類学って、固定観念や規範を打ち破り、豊穣な世界を知り享受して、自分も楽になれる、新たな価値創造にも寄与する知的活動なのかもと思った。言葉が合っているかが分からないけれども、反骨とアナキズムに繋がるフラットな視座と思考に繋がるのかもしれない。そうして揺れながら見る見方の先に地域通貨やら、コミュニティやら、社会保障、セイフティネットのデザインといった社会のあり方、生き方、サステナビリティにつながる話も出て来るから面白い。
本当、ニマニマの止まらぬ読書体験。それは、自分の社会にある規範だけが絶対じゃ無いというところに、自由と笑があるアホになれるゆとりを感じられて安心を感じたからだと思う。
其れにしても、自分はこうした多様性の話が好きだと言うのに、他方で武士道とかそういうものも大好きでこだわっていて、ともすると他人に押し付けがちな自分とは何なのだろうと、大いに自己矛盾を感じたりもした。
続編もポッドキャストで企画されている様なので、聞いてみつつ、続刊が出たら購入したい。
以下、この本を読んで面白いと思った事柄をメモする。
・不確実な社会、環境、人間観に対して、自主自律しつつ繋がる人間関係が気持ち良い。『胃が違う』として、相手が自分の思い通りにならないことを仕方ないと受け入れつつ、関係は切れないという関係性は理想的。
・現代資本主義経済下での専門性の特化に対する『一つのことをする奴ら』という揶揄には、自分にも刺さり面白い。
・ルールを決めて、皆んなで守るのではなく、裏切られることも含めて都度判断していくバイタリティ。
・ルールに縛られることが少なさそうな社会を構成しているブッシュマンの自然資源コモンズの管理は、どの様にサステナブルなのか、調べてみたい。マタギとか、ネイティブ・アメリカンの様な狩における信仰などの形での保全ルールは無いのか?
・価値観や規範を他者と比較して、相対化することが文化人類学の醍醐味の一つと知る。この相対化というのは、南直哉の本で書かれていた、視野狭窄を避ける言う仏道の効用にも繋がると思った。
・確実性を前提とすると、努力が一貫して積み上がる右肩上がりの成長モデルが出来上がり、アカウンタビリティーと一貫性が重要視されて、それが保たれずに脱落すると死んでしまうというのは過酷で、日本社会にはそうした過酷さがあるということ。
・文化人類学の手法 エスノグラフィとデザイン思考が相性が良く、ビジネスや行政でも使えるとのこと。不確実な中で手探りでプロジェクトを進める手法として紹介されており、是非身につけたい。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった〜〜!!!!!
元がポッドキャストということもあって、比較的平易な言葉で様々な民族の文化を垣間見ることができました。人類学という分野に本格的に興味が湧いてきて、巻末の選書リストなど端から登録してしまった。中には既に持っている本や既読の本もあって、自分の興味はもともとこういった分野だったのかという気づきもありました。
人類学者の皆さまが繰り返し述べていましたが、我々とは全く違う環境に住まう人々の文化は、私たちが当たり前のものと認識し、故にその枠組みの中で窮屈な苦しい思いをすることも多々ある"常識"や"価値観"が根本から揺らいで、そもそもなぜこれは当たり前なのか?なぜそれが正しいとされているのか?というラディカルな疑問を抱かせてくれます。
「普通に考えて」「普通の感覚だったら」とか、よく職場で聞きますが、そういう「普通」に対して疑念を抱くことなく隷属し、「普通」からずれた考えや行動を自身と切り離して蔑視する態度には慣れたくないですね。そして、それを強要するよう集団からは距離を取りたいですね。 -
文化人類学者が、それぞれのフィールドで体験した
知られざる場所の知られざる人びとの「働き方」。
それは、わたしたちが知っている「働き方」となんて違っているのだろう。
逆に、わたしたちはなんて不自由な「働き方」をしているのだろう。 -
仕事は機能じゃない。
仕事を再定義することで「AIに奪われないもの」になる。 -
・仕事→プライベート、共同体や家庭→パブリック という考え方
(パプアニューギニア トーライの貝殻貨幣"タブ")
・ルールが決まっていない、狩猟採集もするし賃金労働もする、その場その場での揺れ動く民主主義(相手が子供であってもやりたい、やりたくないの意思が尊重される)
(アフリカ カラハリ砂漠のブッシュマン)
・「市場は小さな者たちの自由を保障してくれる制度である」→平等性
・共助のネットワークへの信頼感→リスクを取ることができる自由
(モン族)
・「仕事」→仕事だかよくわからないものも含む(棋士の例)→AIには単純には代替できない
・仕事も遊びのように→遊びも仕事のようになってくる、余暇が納得感のあるもの・他人に評価されるものになってくる
(小アジのムニエル)
・研究対象の客観的記述は不可能、『自分が異質な存在として入ることで起きる出来事を介して、相手の行動の背後にあるものを理解しようとする』
・ビジネス文脈における「文化人類学」→『市場の見方や先入観そのものをリフレーム』
・ルールを守ることをやめる→ルールを守らない人を許す社会をつくる
・働く→社会関係を広げるため
・「一貫性」が重要な社会→「『過去の自分がこれまで努力してきたんだからいまさらやめられない」』⇄ブッシュマンの不確実性
(トークセッション) -
なかなかに刺激的な「読み物」でした(内容はポッドキャストの文字起こしですが)。主に働くこと、生活すること、生きることに、新たな視点が得られるかと。なるほど、そういう見方もあるね、というレベルではなく、私らの西洋的価値観(しかも日本は中途半端なそれ)ってはて?と根本的に考えるきっかけになりそう。
ただ巻頭の対談はあまりに唐突な内容で、巻末につけた方がよくないか?と思った次第。 -
岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00614562
“ひとつのことをするやつら“
わたしたちの常識とはまったく異なる異世界の「働きかた」を紹介し、瞬く間にカルト的人気を集めた、抱腹絶倒のポッドキャスト〈働くことの人類学〉。
このたび、ポッドキャストで配信した全6話+タウンホールミーティングの内容に加えて、番組ホストである文化人類学者の松村圭一郎さんと小説家の柴崎友香さんの特別対談やブックガイドなど新コンテンツも充実した書籍『働くことの人類学【活字版】 仕事と自由をめぐる8つの対話』を2021年6月末に刊行いたしました。
7人の文化人類学者がそれぞれのフィールドで体験した知られざる場所の知られざる人々の「働き方」。
狩猟採集民、牧畜民、貝殻の貨幣を使う人びと、アフリカの貿易商、世界を流浪する民族、そしてロボット……が教えてくれる、目からウロコな「仕事」論。
わたしたちの偏狭な〈仕事観・経済観・人生観〉を鮮やかに裏切り、軽やかに解きほぐしてくれる対話集は、仕事に悩めるすべてのワーカー必読の内容です!
ますます不確実になっていく世界。これまでの当たり前の外から「働くこと」を見つめてみましょう。
(出版社HPより) -
366.04||Ma
-
読書会に向けてKindleで読了
ひとつのことをする奴らとか公と私が逆転とか
働くことの価値観がとても揺らぐ経験ができる本
他にもガスが浸透してレシピができたとか
自動販売機がロボットと呼ばれていたとか
へーと思うことがたくさん
久しぶりにKindleで活字を読んだが
Kindleだと気になるところに
付箋?をマークしていける
気になるところがたくさんで
Kindle向きの本
ときどき読み返して価値観を揺らがせたい
この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。





