ミツバチのささやき [DVD]

監督 : ビクトル・エリセ 
出演 : アナ・トレント  イザベル・テレリア  フェルナンド・フェルナン・ゴメス  テレザ・ジンペラ 
制作 : ビクトル・エリセ 
  • 東北新社 (2000年6月30日発売)
4.04
  • (152)
  • (92)
  • (118)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 743
レビュー : 107
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4933364710079

感想・レビュー・書評

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  • 生涯で最高の一本を観てしまった。
    フルートの旋律が静かに響くエンドロールの暗がりから、現実世界に戻りたくなかった。

    これをスクリーンで上映してくださった、福岡映画サークル協議会のみなさまにお礼を申し上げます。

    全編、寸分の無駄もない美しいカット。
    でもそれは決してきらきらと眩いものではなく、
    聖堂の朽ちたフレスコ画のような美しさ。

    そして、主役の少女アナ・トレントの愛くるしいこと。
    黒く大きくつぶらであどけなく、それでいて意志の強い瞳。
    「天使のような」という形容があるが、天使そのもの。
    しかし、天使はほとばしる生命力だけではなく死をも司る。

    映画内に繰り返し挿入される死のイメージ。
    毒キノコの痺れがゆっくりまわっていくように、
    観ている側も甘く絡めとられていく。

    物語の冒頭、村で上映される『フランケンシュタイン』
    あれは暗示だったのか、それともあれに導かれたのか。

    ストーリーを語れるのであれば、この映画は撮られる必要はなかった。
    映画でしか語ることのできない何か。

    「感動」という言葉が、心を動かされる、感情を揺さぶられるという意味ならば、確かに感動した。

    嬉しかった、楽しかった、悲しかった、切なかった。
    腹立たしかった、憤った、寂しかった、癒された。
    面白かった、豊かだった、味わい深かった、幸せだった。

    きっと、どれでもない。
    いや、そのどれをも包括し、どれをも越えた神々しいもの。

    この気持ちを表す言葉は未だ発明されていない。
    だからこそ映画なのだろう。

    • 峨眉書房さん
      御無沙汰しています。メッセージありがとうございました。
      メッセージをもらった後、何気なく知人に「ミツバチのささやきをスクリーンで観たって方が...
      御無沙汰しています。メッセージありがとうございました。
      メッセージをもらった後、何気なく知人に「ミツバチのささやきをスクリーンで観たって方が・・・良いな~」と話したら、その知人が偶然DVDを見つけ、入手してもらえました!

      観てからメッセージを書き込みたいと思い返信遅くなってすみません。

      蜂の巣の中に居るような模様の窓が、とても印象的でした。夜、六角形が並ぶ窓から映る光の色が、幻想的で、美しかった。

      幻想的な世界に死の世界がぴったり寄り添っていて、私にとっては夜中にみる夢のような世界でした

      kwosaさんのメッセージのおかげで、この映画と縁が持てました。ありがとうございました
      2013/05/05
    • kwosaさん
      峨眉書房さん!

      お久しぶりです!

      なんと、DVDを入手されたとは。なんてうらやましい。
      それにしても素敵なご友人ですね。

      本当に、光の...
      峨眉書房さん!

      お久しぶりです!

      なんと、DVDを入手されたとは。なんてうらやましい。
      それにしても素敵なご友人ですね。

      本当に、光の色が美しかったですね。
      琥珀色というか飴色というか、そう、言うなれば蜂蜜色。

      >私にとっては夜中にみる夢のような世界でした

      まさにその通りですね。
      上映が終わって劇場に灯りがともるのが悔しい、夢から覚めたくない。
      僕はそんな気持ちでした。

      縁とは不思議なものですね。
      こちらこそ素敵なメッセージをありがとうございました。
      2013/05/06
  • どの場面をとっても申し分ない。いつでも観られるようにDVD購入。
    名前は何だったか、アナじゃないほうの女の子が死んだふりをして、おまけにフランケンシュタインのふりをしてアナを驚かせたところから、決定的にこの物語は幻想、死へと惹き付けられていく。セリフの少ない映画ながら、アナ演じる子役の目つきだけでそれがはっきりと感じられるのがすごい。

    好きな場面ばかり。
    自転車にのったアナの母親と駅に入って来る機関車が並走しながら近づいていくシーン。
    蜂の巣に似せた柄の窓から差し込む幾筋もの日光。
    地平線で区切られた桃色の朝焼けと広野。
    アナがさまよう森の中、水に映る月、アナの顔。
    たき火のうえを跳び越える少女たち。その傍らでひとり座っているアナ。
    と挙げだしたらきりがない。
    これは機会を見つけてなんとかスクリーンで観たい。

  • 映像が美しかった

    ミツバチの巣の模様の窓から見える灯り
    地平線の向こうに広がる夕日

    橙色はいつも切ない気持ちにさせます

    無垢な少女が死の世界にどんどん惹きこまれていく様子は幻想的な
    映像と相まって夢の中の世界みたいでした

    • kwosaさん
      峨眉書房さん

      リフォロー&コメントありがとうございます。
      ブクログに登録してもうすぐ一年。最近はミステリにはまって、ブクログ本棚はちょっと...
      峨眉書房さん

      リフォロー&コメントありがとうございます。
      ブクログに登録してもうすぐ一年。最近はミステリにはまって、ブクログ本棚はちょっと偏った趣味になっています。なので談話室でお薦めしたものとは違って、あまりお気に召すものがないかもしれませんがよろしくお願いします。
      お互い素敵な本や映画、音楽にたくさん出会えるといいですね。
      ビクトル・エリセ作品はなかなか入手が難しいです。でも、それとは別に素敵な映画に出会いましたので談話室に挙げておきます。
      2012/11/16
    • kwosaさん
      峨眉書房さん

      お元気ですか。ご無沙汰しています。

      このたび縁あって、ようやく『ミツバチのささやき』を観ることができました。
      噂に違わぬ傑...
      峨眉書房さん

      お元気ですか。ご無沙汰しています。

      このたび縁あって、ようやく『ミツバチのささやき』を観ることができました。
      噂に違わぬ傑作でした。

      そして、ふと「峨眉書房さん、どうしていらっしゃるかな?」と思ってコメントした次第です。

      突然、失礼しました。
      峨眉書房さんにも御縁がありますように。
      2013/03/03
    • kwosaさん
      峨眉書房さん

      お久しぶりです。
      本棚にメッセージをありがとうございます。
      そちらにも返事を差し上げています。

      それにしても縁とは不思議な...
      峨眉書房さん

      お久しぶりです。
      本棚にメッセージをありがとうございます。
      そちらにも返事を差し上げています。

      それにしても縁とは不思議なものですね。
      そしてDVDでこれからも繰り返しこの映画が観られる峨眉書房さんがうらやましいです。

      「夜中に見る夢のような世界」と、この映画をたとえていらっしゃいましたが、まさにその通り。
      現実世界に目覚めなければとわかっていながらも、ずっと微睡んで浸っていたい夜中の夢でした。
      2013/05/06
  • 5/27再鑑賞。

    ピュアですね。いやー、ピュアです。
    この脚本を毛の生えた大人が書いたというのが奇跡ですよ。
    子どもの頃に感じた、えも言われぬ恐怖心や手を伸ばしたくなる好奇心、オトナへの憧れを、スペイン内戦後の国内に漂う閉塞感とそれに伴う家族間のすれ違いを絡めながら描いている。
    ポエティックな映像の断片にイエロー・ブラック・ネイビー・グレーといったカラーが鮮明に映し出される。それはまるで我々が幼少期の記憶を振り返った時と同じように刹那的でアヤウイモノ。
    子どもの頃のまっすぐで純粋な気持ちを思い出す。そんなノスタルジーがなんだか心地良い。

    主人公のアナがとにかくかわいい。
    いつでもおねえちゃんのイサベルの側にいて、わからないことはすぐにおねえちゃんに相談。疑うことを知らない、そのまっすぐで大きな瞳はいつもまばゆい光を放っている。
    そんな妹の無垢な姿に対しておねえちゃんのイサベルはオマセな年頃。
    健気な妹をからかいつつ、自身は女の自分を意識し始めている。ネコの首を絞めるシーンから、そのネコに引っ掻かれて出た指の血を唇に塗り付けるシーンは大人顔負けのセクシーショット。と思えば、自分の"嘘"が次第に現実味を帯びてきたことに怖くなってふとんを頭からかぶったりと。
    こんな娘が欲しい。本当に2人ともかわいい。

    蜂蜜色の灯り、窓格子の蜂の巣模様、そしてその格子を隔てた"内"と"外"の世界。
    フランケンシュタインと精霊。精霊と足跡。足跡と負傷兵。殺された負傷兵と殺されたフランケンシュタイン。殺されたフランケンシュタインと生きた精霊。
    映画の少女とアナ。死んだ少女と生きたアナ。
    数々のメタファーと象徴が行き交いながら物語は紡ぎ出される。
    最後、母親のテレサがアナの失踪を機に家庭に気持ちのよりを戻すシーンはとても良かった。あのシーンは作品上、それ以上に大きな意味を持っているように感じる。

    邦題は原題とはニュアンスが少し異なるが、なかなか良いネーミングだと思う。心に深く沁み入る映画。アナの大きな黒い瞳に何か救われる感じがした。

  • 何故か無性に怖かった。
    どのシーンの映像もアナの瞳も吸い込まれそうな程美しいのに、拒絶されているようにも感じた。
    真っ直ぐな瞳の強さと不安定な心の揺れがひどく脆く思えた。
    傷つくのが恐ろしいのに目が離せない。本当に美しい映画だった。

    • takanatsuさん
      オススメありがとうございます!調べてみたいと思います。
      オススメありがとうございます!調べてみたいと思います。
      2012/04/10
    • kwosaさん
      takanatsuさん、はじめまして。

      ブクログ仲間さんを経由して、時々takanatsuさんのレビューを拝読しています。
      とても魅力的な...
      takanatsuさん、はじめまして。

      ブクログ仲間さんを経由して、時々takanatsuさんのレビューを拝読しています。
      とても魅力的な本棚ですね。

      『ミツバチのささやき』
      本日やっと観ることができました。
      takanatsuさんの端的なレビューに共感しています。
      これをきっかけにフォローさせてください。
      2013/03/03
    • takanatsuさん
      kwosaさん、コメントありがとうございます。
      takanatsuと申します。
      『ミツバチのささやき』を見たのはもう1年以上前なのに、アナの...
      kwosaさん、コメントありがとうございます。
      takanatsuと申します。
      『ミツバチのささやき』を見たのはもう1年以上前なのに、アナの姿はまだ鮮明に思い出せます。
      夏のクーラーをつけていない部屋でガタガタふるえながら見たことも体が覚えています。
      なんであんなに怖かったのか、kwosaさんのレビュを読んで少し分かったような気がしました。

      私もkwosaさんの本棚とレビュを参考にさせて頂きたいと思いましたのでフォローさせて頂きました。
      よろしくお願い致します。
      2013/03/04
  • 映画で生と死というものを初めて意識し、兵士の死でそれを間近で体感し、きのこ採りで善悪の曖昧さに触れる。そして、その意味を考え始める少女の物語。主人公アナの眼差しがひたすらにつぶらで切なくなる。絵画的にも感じられるほどの美しい映像が、それを増幅する。あの名作「禁じられた遊び」を思い出してしまう雰囲気を持った映画。でもこの映画では、少女はそこからの成長を予感させるのだった。
    幼少期の鋭敏な感覚を思い出させてくれるような素敵な映画でした。

  • 子供が持ってる独特の世界観を表現した映画…かな?

    子供が子供らしくてよかった。
    ぎゃーっと叫びながら家に帰ってくるところとか、
    しゃべりながら咳き込むところとか、
    びっくりしてるのに怖いのに声を出さないところとか、
    いかに他の映画の子供が
    「大人の頭の中の(理想の)子供」の記号的な表現かわかった。
    (とくに日本映画・ドラマの子供はひどい)

    知りたいけど、怖い。
    自分の世界より外の世界はまだ自分のイメージでできていて、
    それが現実とミックスされて独特の世界があったような気がする。

    恐る恐る「自分のイメージの外の世界」に接触した覚え…
    私もあったような気がする。

    あと、シーンのレイアウトとか表現の仕方が
    いちいちアーテステック。
    全部ぴしっと美しく画面が構成されていて、芸術品。

    ただスペイン映画の特徴なのか?
    いちいち緊張感のあるシーンで、
    先もどういう展開になるかわからないストーリーだったので、
    観てる間ずっとどきどきして緊張しっぱなしの映画だった。

    シーンシーンの「美しすぎ」な画面も
    緊張感を高めたのかも。

    見終わったあと、どーっと疲れた。

    子供の緊張感に同化してたのかな?

  • 美しい映画。少女の自我が目覚める瞬間をとらえた映画なんだろうか。声高な主張の無い繊細な映画だが、潜められたメッセージは多く、どれも深い。

  • なんて純粋で静謐で美しい作品なんだろう。
    こういう素晴らしい作品に出会うと、言葉を失くしてしまう。
    言葉って、やっぱり限界があるから。

    ただ言えるのは、この作品の中で私もフランケンシュタインに確かに出会った。

    (1973年 スペイン)

  • 大学のスペイン語の時間に初見。全部見れなかったのでに気になって劇場で見直した。削ぎ落とされた映像表現に衝撃を受け、スペインに短期留学までしてしまった。

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