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- / ISBN・EAN: 4988003938246
感想・レビュー・書評
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白線流しのコンビの淡い恋が意地らしい。
中山美穂さんも素敵だけど、酒井美紀さんが白線流しのまんまで懐かしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「そこが山田さんちィやったら手紙は届かへんねん!」で有名な岩井俊二の『Love Letter』。たぶん当時以来で鑑賞。岩井俊二はそんなに好きではないから追いかけてないけど、この作品はわりと好きな方。
新藤兼人監督の『一枚のハガキ』の頃、映画祭で生トヨエツを見たことがある。私世代は松っちゃんの「そこが山田さんちィやったら……」をリアルタイムで見ているので思い出していると、トヨエツ本人がそのことについて語ったので面白かった。
今回見返して気づいた。この映画は1995年なので『耳をすませば』と同年公開、どちらも図書館ネタ、図書カードが重要なアイテムとなっている。逆に考えれば、この頃はやっばり読書する人が減ってきたからではないかと……ちょっと特別なファンタジー的な扱い。
同時に、『おもひでぽろぽろ』『海がきこえる』なども連想。つまりこの作品はジブリ作品と似たような方向性で、少女マンガ的なんだと思う。手紙が間違えて届くことや、図書カードなどは少女マンガのギミック。
ついでに『打ち上げ花火…』は相米慎二監督の『お引越し』に似ていると思う。『打ち上げ花火…』はあまり好きではない。
奥菜恵はまったく好きではないけど、この映画の酒井美紀はとてもかわいい。喪服の黒タイツで雪(氷?)の上をスーッと滑るシーン……私が観たのは96年頃だと思うけど、「かっ、かわいい……!」と思わされました。
関西弁のトヨエツ、ネイティヴなのに胡散臭くて面白い。ストーリーの細かいとこは忘れてたのにトヨエツのセリフはかなり覚えてるので、やはり印象が強かった。見返しても笑えてしまう。最近観た『やわらかい生活』の福岡弁も胡散臭くて面白かった。
他の出演者。
この映画のセリフの第一声は鈴木慶一!范文雀さんは少し前の『新座頭市』ゲストで観たばかり。ほか、おじいちゃんがクマさん。お父さんが田口トモロヲさんなの気づかなかった。
若い頃の光石研さんが変な面白キャラ。鈴木蘭々……『改造人間カスタムひかる』。長田江身子さん……うわ、こんな人いたなぁ。
ミポリン……かわいいけど、見てたらなぜか「わっくわっくさせてよ〜」と頭に流れてくる。あれ京平先生&松本隆だったのか。『毎度おさわがせします』世代だけど、ミポリンはあまり好きになれない。
中山美穂が二役で容姿が瓜二つ、酒井美紀と柏原崇が同姓同名。こんな偶然起こるわけない!が、最初の同姓同名はあり得るし、瓜二つなこともストーリー上の必然がある。偶然の連続に見えることを、必然で編んでいる。ここはすごく良い点。
彼氏を失った中山美穂と、父親を失った中山美穂。自分の知らない彼氏の記憶と、忘れていた父親の記憶。決別して再生する話と、父親や家族との繋がりを感じる話。
「好きだった相手が死んで、若い頃のまま恋愛の記憶を永遠に留める」タイプの話は恋愛の妄想なので好きではないが、これは最初から死んでいて、決別する話なので良い。
キーアイテムとしてプルーストの『失われた時を求めて』が出てくる。こちらも記憶にまつわる話……だけど、これ同性愛が描かれた話じゃなかったっけ?と思うので、岩井俊二の使い方がよくわからない。『リップヴァンウィンクルの花嫁』もそうだった、そこには必然性を感じない。こういうのが胡散臭い点。
岩井俊二、男性からはあまり好かれる印象がないが、女性ファンが多いのが謎な点。キムギドクに女性ファンが多いこととなんか近い。
思うに、美しく描いたロリコン、ムッツリスケベ的だからではないかと。中山美穂の母校の図書委員たちが良い例。その点もジブリ作品……というか宮崎駿と共通している。
大林監督の場合、ムッツリではなくロリコンがだだ漏れしているから許せるんじゃないかなあと思う。
ちなみに、私より酒井美紀の方が学年では上なので、当時観た私の場合はロリコンにあたらない!(ドヤァ)
撮影監督は篠田昇さん。図書館に窓から入ってくる光線、雪景色など幻想的で本当に美しい。遺作『世界の中心で、愛をさけぶ』も撮影はすごい。 -
2012/06/19
文学概論の授業で、夏目漱石の「こゝろ」の新視点精読を終えて、先生イチオシのこの映画をみることになったのです。
「こゝろ」とどこが似ているのかはよくわからなかったものの(強いて言うならば書簡?)すばらしい映画でした。見ることができてとてもよかった。
ストーリーもよく、音楽、ロケーションも素敵で。。何より、役者さん…中山美穂の一人二役はすごかったし、それをうまくそう見せない撮り方もすごかったと思う。
何にせよ、感動してしまって…。
鼻をすすったりため息ついていたのは私です。ご迷惑をおかけいたしました。でも感動したんだもの!
以下、レビューします。
…文学考察みたいになってしまった。そういう意味では、実に文学的な作品だったのかもしれないね。
--好きなシーン(順不同)--
・藤井樹ストレートフラッシュ(ドヤッ
・及川さなえ 超ナイスキャラだと思う。
・生徒が自転車置き場で告白→振られる→付き添いの中指立て
・英語のテストやトラック事故や 藤井樹と樹の過去話
・手紙を書くときの樹のひとり言
・マンションでお母さんと一緒の行動をしている樹
・爺ちゃん「歩くんじゃない!走るんだ!」そして入院
・自転車で帰宅中、樹君に紙袋攻撃されるところ
・「不動産の私が保障します。先に潰れるのは、あの家です」(励ましの言葉)
・お元気ですか、私も元気です
--初恋~ふたりのイツキ~--
・言葉や映像では表せないストーリー
渡辺博子が、ペンフレンドの藤井樹の正体もとい真実を知ったときの
「許せないです」の意味を知ったとき
藤井樹が、樹の名前を書いていただろうという推測
藤井樹が最期に遺したもの…
ということを考えると、言葉や映像に決して出すことの無い、それでも脚本が何を伝えたいかということがひしひしと伝わってくる。
とくに「許せない」の意味はとても深く、虚しさも含んでいて。。。
だから、山に向かって「お元気ですか、私は元気です」としか、言えなかったんだろうな、博子は
「愛している」という愛の言葉でも「何で死んだの」とかいう糾問でもなしに
その叫びは藤井樹という彼だけではなく、ペンフレンドの樹にも宛てていたのかなあ、なんて思ってしまう。
さて、肝心なのはここからかな
渡辺博子に応える樹の過去というのは置いておいて、単なる中学生時代の思い出で過去編をみると、胸を掻き毟りたくなるね!
青春モノにはどうしてかよくでる「図書」
先日、後輩たちと「耳をすませば」を見たけど、図書の貸し出しカードのよさがしみじみ分かるなあ。
「藤井樹ストレートフラッシュ!」とかいってドヤ顔するんだけど、現役図書委員の、「藤井樹君は藤井樹さんの名前を書きたかったんじゃないのかなあ」という推測で、胸がきゅううううっとなりました。だよねぇ、好きな子の名前を無条件で書けるんだもの…。
私自身、図書が好きだったし、図書委員だったこともあったし、カードにたくさん名前を書くことに集中していた時期があった。でも、今じゃだいたいバーコードになっていてそういうことはできなくなってしまったね。プライバシーがどうのとか、そういうのでトキメキの場所を奪っている気がするなあ。…なんてのは、またどこかで誰かと熱く討論がしたいなあ。
それから、あれだね。好きな子には嫌がらせする男の子ってやつ?
その心情は女子なのでよくわかりませんが、明らかに藤井樹君は樹のことが好きだったと思う。
さりげなく一緒にいようとしていたし、一緒にいたかっただろうし、いじめてたし(笑)守ろうともしていた。
今になって忘れてしまったけれど、樹も心のどこかで藤井樹を好きだったんじゃないかなあと思う。花瓶を割った時とか、ね。
藤井樹が博子を選んだ理由がそうなのだとしたら…博子にとっては救いはないけれど、でも、すごくすごく純粋な男の子じゃなかったのかなぁ、なんて思うのです。
--撮影--
・ロケーション
神戸と小樽が舞台だけど、雪の降る小樽の街がほぼ舞台。
まず博子が雪の中で目覚めるところから映画は始まるが、S1C1、すごくすごく美しい。
白い雪はいたるところに降り積もり、独自の世界観を作っているような気がした。
ガラス細工を作ったり、暖炉にあたったりする暖かい光景はこれと対照的な感じにするためなのか、とても印象深い。
美しい風景がたくさんあるのも、この映画の魅力なのかな。
「お元気ですか、私は元気です」という一番の山場。これも、白い風景と、聳え立つ山に向かって―天に向かって叫ぶという感じがして…。
あと、不動産屋が滑ったり、ローファーで雪の道を滑り降りたり。
季節とそこならではの景色だからこそ、表現できるものがあるのだと思う。
・すれ違う博子と樹
この物語は、どこに視点を置くかによって見方が全然違うようになる。
それは、
①元婚約者だった藤井樹を追い求める渡辺博子
②妙なペンフレンドを持った藤井樹
このふたつが主軸だけど、途中から
③「藤井樹」という死者
の存在が出ることによって、①と②、それから③が邂逅する。
それは手紙でもあるし、記憶でもあるし、思いでもある。
初めのほうの謎を、うまくもっていったなぁと思う。
手紙っていうアイテムをうまく使っているとも思うし。
そして、撮影経験者からしてすごく「おっ!」と思ったのは
一人二役(渡辺博子・藤井樹(女))をしている中山美穂が、邂逅するシーン
当然、CGを遣わない限り同一人物で違う役をひとつの枠に捉えることはできない。けれども
うまい具合に撮れてるんだよなあ…
カメラだけでなく、役としての表情の違いも合わさって、完全に別人としか思えないこともあり
ドキドキしたけれど、確実に二人は会った(すれ違った)のは、かなりの高評価です。
そこに中山美穂は存在せず、性格も、過去も、現在も全く異なる二人~渡辺博子と藤井樹~が存在していた。
これって、すごくすごく難しいこと。
でも、同じだからこそ醸し出せた雰囲気もある。これが、技術面でものすごいと思った部分だった。
場面の切り替わりもとても上手い。神戸、小樽、過去、現在 …そういったものを、ほぼ違和感なしに
自然に切り替えていたし、自然と視聴者を世界に引き込んでいた。
違和感がある…というか、「あぁ、場面がこれから入れ替わるんだ」というのが、樹が病院で名前を呼ばれるのを待っていた時に見た幻覚と過去
あそこで視聴者も「藤井樹は藤井樹と関係がある」ということを知るが…
ちょっとムリヤリな感じはするけれど、ただあの騒々しさから思い出す「鍵」を見つけることができたのだと思うと納得できる。
あの導入部分は、画期的。
なんか書きたいことがたくさんあって、ぐちゃぐちゃで、よくわからなくなったのでひとまずここで終わります。
でも本当にいい映画だったなぁ。1995年か。全然色あせることの無い名作だと思う。
韓国では「お元気ですか」が流行ったり、小樽が観光地になったみたいね。そして藤井樹の家だった建物は、焼失してしまったらしい
これは不動産屋の予言が当たったんだってことだね、きっと。
全体的にシリアスなお話だったけれど、おじいちゃんのナイスキャラや、過去のはなしや、所々に笑いどころもあって
苦しい思いをせずにフランクに見ることができたし、見た後には感動が染み渡っていたし、自然と、涙を溢すことの出来る作品だったと思う。
素敵な素敵な映画でした。見ることができてよかった。 -
1995年公開。岩井俊二監督の長編映画デビュー作であり、中山美穂にとっても女優としての魅力を開花させた記念碑的な作品です。山で遭難し亡くなった彼に書いた届くハズのない手紙。しかし驚いたことに返ってきたのは、彼と同姓同名であり彼の元クラスメートでもあった藤井樹という女の子からの手紙だった…。主人公の博子と樹の性格の違う二役を中山美穂が柔らかな自然体で上手く演じています。樹の少女時代を演じる酒井美紀、そして亡くなった博子の彼でもあるもう一人の樹の少年時代を演じる柏原崇が共に初々しくなんとも胸キュン(死語?)気分にさせてくれます(笑)。秀逸な心に残るシーンが多く、図書室での会話や図書カードのエピソード、ライトを使ったやりとりや彼の亡くなった山に向かって叫ぶシーンなど、白を基調にした夢見るような美しい映像が儚いストーリーにマッチして当時映画館で彼女よりボロ泣きしてしまったのを覚えています。しかし岩井監督は、思春期の言葉に出来ない感情を映像で表現するのがホント上手いですよね!誰もが二度と戻らない初恋や学生時代を思い出し、ラストは心地いい余韻に浸れるいい作品です。
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文句なし!星5つ!
「チルソクの夏」あるいはそれを超える青春ラブストーリーの傑作!恋人を亡くした若い女性とひょんな思いつきから始まったその恋人と中学で同級生だった女性との間で交わされる手紙で進行するストーリーはすごくよく練られていて、じわじわと深い感動に引き込まれる。雪山に向かって亡くなった恋人に呼びかけるシーンでは、思わず目頭がジーン。そしてラストシーンで明かされる意外な青春の思い。参りました! -
亡くなった恋人が忘れられない博子。昔彼が住んでいた住所に手紙を書いたら、恋人と同姓同名の女性から返事がきた―
切なくて、美しい。しかも舞台は小樽。
一人静かに見て、しばらく余韻にひたっていたくなる映画です。 -
岩井俊二監督だけど、まだ型が完成してないかんじがしたな。
脚本がすごくロマンチック。
文通とか本の貸し出しカードとかワープロとか、今じゃもう考えられないけど、それが逆に良い。
そしてすごくまとまってて、完成してるっていうか、無駄がない!
遠まわしに博子サイドから入ってくけど、これは樹のストーリーなんじゃないかなぁ。
彼女からの手紙がきっかけでいろんなことを思い出して、自分の気持ちにも相手の気持ちにも気づく樹。なんかすごくかわいかった!
ラストもよかったなぁ・・
あれは樹から樹へのラブレターだったんだね。 -
手紙のやり取りや、図書館のカードなど
懐かしい感じ が
温かくてよかった。
過去のシーンが
すごく可愛いらしくて好き。
ほろりと 泣いた。 -
7年ぶりぐらいに再観賞。
やっぱり素晴らしい映像美、ストーリー。
豊川悦司かっこいい。
前に見たときはあまりよく思えなかった、チャラく思えたけど、いまとなっては筋通ったにーちゃんだなあと。
もちろんトヨエツだけでなく、全員の性格の不器用さが前とは段違いにリアルに伝わってきたりして。
最後は好きでいる立場が逆になっちゃうところが可愛いと思えたり。
爽やかとも違うしほっこりとも違う、
あー、言葉にできない気持ちがもどかしい! -
岩井俊二作品として楽しんだけど(しかも令和になって観たので、昭和の風俗や街並みを楽しめた。喫煙可能な電車とか)、演技の上手い下手ってわかっちゃうよねー。
酒井若菜のうまいこと。
関西弁のトヨエツ初めて観たけど大阪人なのね。