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- / ISBN・EAN: 4982509310582
感想・レビュー・書評
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10代の5人の美人姉妹の儚く切ない死にまつわる物語。
10代のもつ危うさは、水を入れられてパンパンに膨らんだ風船に似ている。
ちょっとした刺激で、一気に破裂し、中の水が溢れてしまう。
しかも、割れてなお、床をびちゃびちゃにするハタ迷惑さ。
彼女たちのもつ独特の脆さは、「死」が彼岸にないことに起因する。
きっと彼女たちにとっては、彼方の地平線上にあるが、それでも同じ陸続き。
途中には海や山のような大きな障害物は存在せず、
遠いには遠いが、たぶん、行こうと思ったら行ける。
年を重ねることは、風船の中の水の量はそのままに、
ゴム部分だけが徐々に伸びきっていく様に似ている。
いつしか風船の容積は増え、相対的に水が占める割合が減っていく。
それに無自覚でいることへの畏れは静かにヴァージンを蝕む。
ソフィア・コッポラの第1回監督作品。
他の作品に比べ、多弁で脚本に起伏や事件性のあるところは
第1回監督作品ならではの、らしさ。
90分の作品中、85分までは、まあまあ、最初の作品だしな、
と思いながら観ていたが、ラスト5分でソフィアらしさ大爆発。
ガスマスクとプールに背面から飛び込む少年に、天恵のセンスを感じる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ソフィア・コッポラ監督。完全無欠のガーリー映画。廃れ始めた郊外を舞台に繰り広げられる少年探偵団的な猟奇の物語は『ブルー・ベルベット』を、狂信的な母親は『キャリー』を思い起こさせる。そういう映画は結構好みで、案の定気に入った。おまけにジョシュ君の長髪が拝める似合ってないけど。
9月12日追記:自転車の車輪や車のワイパーに彼女たちからのタロットカードや手紙が届くのだけれど、誰がそれを届けたのかということを考えてみるとこの映画が持つ意味をもう一歩踏み込んで理解できるような気がしている。軟禁状態の彼女たちが一体どうやって?答えの候補はいくつも浮かんでくるが、どれを採用するかで意味合いが大きく違ってくる。父親や母親が届けていたとしたら?セックスを出汁にしてラックスが野郎達に届けさせていたとしたら?或いは幾分幻想的にはなるけれど死んだセシリアが届けていたとしたら?そしてもし、彼女たち自身が抜け出して届けていたとしたら?最後の仮定が正しいとするならば、彼女たちは必ずしも狂信的な母親から閉じ込められてどうにも出来ないでいるわけではないということになる。抜け出せるのだからそのまま外の人たちに助けを求めることだって出来たはずだ。でも彼女たちはそうせずに家に籠もり続けたのだ。一体なぜ?僕には分からない。助けを求めてもどうにもならないと彼女たちは知っていたからだとか、彼女たちは外の世界に期待なんかしていなかったんだとか取って付けたような理由はいくつか浮かんでくるのだけれど、これも違うだろう。そもそもそこに理由はないのだから分かるはずもないのだという気さえしている。或いは僕が彼女たちを分かろう(分かってやろう)としている態度こそがおこがましいのではないかとも思えてくる。確かなことは、僕が、僕らが分かろうとして分からないままだと、彼女たちが自殺するということ。そしてもし分かったとしても彼女たちは自殺するかもしれないということ。このどうしようもなさが凄く怖いのだ。 -
両親の、おとこのこたちの、街のひとびとの視線が美しい姉妹を殺してしまった話。狭い世界しか知らずに箱に閉じ込められたまま。
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音楽がとてもいい。どの場面に流れる音楽も素敵だった。
五人姉妹全員が自殺をしてしまうというショッキングな内容のわりには映像はきれいだしかわいいし雰囲気に飲み込まれていきます。 -
美人姉妹5人がみんな自殺してしまうお話。
家庭にそれほど踏み込まない教師の父親、厳格過ぎると言うより自分の価値観を一方的に押し付けて子供の気持ちを考えない母親。
思春期の男女のふわふわした狭い世界を重苦しくなく美しい映像で描いていました。
しかし、若い頃のキルスティン・ダンストさんって本当にかわいかったんだな。
濃い化粧をしてからしか知らなかったので、かなり驚きました。 -
フランシス・フォード・コッポラと偉大な父を持つソフィア・コッポラの初監督作品!17歳のキルスティン・ダストンにファイナルシリーズのA・Jクックにデビュー作のフォレストガンプで好演したハンナ・ホールと美しき5姉妹を描く作品。
「ヴァージンスーサイズ」
https://www.youtube.com/watch?v=PNbcy2yYy30&t=4162s
父親役にはジェームズ・ウッズがいて、瞬間登場の神父にはマッチョなスコット・グレン。チャラい若者役にはジョシュ・ハートネットとヘイデン・クリステンソンと強烈な二人。今は有名でも当時は無名だった役者さんとか探せば沢山いそうな気がします。
これは四半世紀前の作品なのですが中古でも2000円を切ることなかったのと、キルスティンが苦手なんで安くなるまで待ったのですが、後味の悪さはもっと安くてもよかったかな。
美しき5姉妹の物語は末っ子の自殺に始まってエンディングで残された4姉妹の……ないなぁ~。後味悪すぎだし、子供の設定年齢を考えると鑑賞後暗くなります