死びとの恋わずらい スペシャルエディション [DVD]

監督 : 渋谷和行 
出演 : 後藤理沙  松田龍平  三輪ひとみ  三輪明日美 
  • ハピネット・ピクチャーズ
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4947127517126

感想・レビュー・書評

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  • 2001年 日本 95分
    監督:渋谷和行
    原作:伊藤潤二『死びとの恋わずらい』
    出演:後藤理沙/松田龍平/三輪明日美/猪俣ユキ/秋吉久美子/本田博太郎

    17才の深田みどり(後藤理沙)は、母(秋吉久美子)とともに10年ぶりに昔住んでいた町に引っ越してくる。大学教授だった父親は10年前浮気相手と出奔したきり。みどりは、気味の悪いお堂の悪夢に夜ごとうなされていたが、転校初日、通学路でそのお堂をみつけ眩暈を起こす。クラスには子供の頃いつも一緒に遊んでいた幼馴染の柴山龍介(松田龍平)がおり、みどりは龍介との再会を喜ぶが…。

    原作は未読、短めの作品なので軽い気持ちで見始めたのだけど、個人的には大当たり、なにこの映画すっごく良い!ホラーなのに切なくて、終盤泣いてしまった。

    前半は、みどりのスクールライフ、ちょっと不穏だけど高校生たちの恋愛模様に「辻占」という土着的ホラー要素が絡むのが良い感じ。辻占というのは、辻に立ち、そこに現れた通りすがりの人に自分のことを占ってもらうというもの。昔、辻占の結果に絶望して亡くなった女性のためにそのお堂は立てられ、10年前にもやはり占いに失敗してそこで女性が自殺したという。

    転校生みどりに親切にしてくれる図書委員の鈴枝(三輪明日美)には、密かに恋してる男子・手島(高橋慎二)がいるが、手島はモテるため、珠代(猪俣ユキ)という女子も彼に恋している。しかし手島は美少女転校生みどりに惹かれており、嫉妬から珠代はみどりに嫌がらせ、手島に嫌われてしまう。思い詰めた珠代は、お堂の前に辻占に立つが、そこに黒ずくめの服装の少年が現れ「その恋は実らない、一生誰からも愛されない」と珠代に告げ、絶望した珠代はカッターで首を切り自殺してしまう。

    鈴枝もまた、手島への実らぬ想いに苦しみ、珠代と同じように辻占に立つ。頭の良い彼女は、自分のことではなく「みどりと手島」の未来を占おうとするが、やはり現れた黒服の少年にそれが本音ではないことを指摘され、手島への想いが狂気に変わる。手作りのお弁当の卵焼きに自分の血を混ぜるなどし手島に吐かれた鈴枝はヒステリー状態に陥り、教室で珠代と同じように首を切って自殺。手島くん、すごく良い子なのにモテすぎたあまりにこんな目にあってちょっと気の毒、だって彼ただの脇役なんですよ?(笑)

    一方みどりは、手島には関心なく、龍介との恋を育んでいる。タイトルが「死びとの恋わずらい」なので、こちらとしては、どうせ松田龍平はすでに死んでるんだろうなと予想。当然、みどり以外の誰かに龍介が見えている様子はない。そして、みどりの母は、龍介の名前を聞くと急に気が変になり、お風呂場の壁のカビを落とそうとゴシゴシし続け、どんどんやつれていく。

    いつも龍介が座っていた席に、骨折で入院していた男子が退院して戻ってくる。そこは龍介の席だと言うみどりに、クラスメートたちはそんな生徒はいないと言う。予兆はいくつかあり、不審に思ったみどりは、図書室で10年前の新聞記事を探す。そして10年前、7歳の龍介が行方不明になったこと、その際母親に切り取られた舌が送りつけられたこと、しかし龍介はみつからず、龍介の父親の愛人女性がお堂の前で自殺したこと(つまり愛人が龍介を誘拐し殺害後自殺?)などが判明。帰宅すると母親は「みどりちゃん、龍介は今いないの」と奇妙なことを言い、彼女がカビを落とそうといつもこすっていた風呂場の壁が崩れて白骨死体が現れ…。

    ここで急転換。精神科医の本田博太郎が現れ、みどりと母を診察している。どうやら二人とも10年前からこの精神病院の患者で、母・和子とみどりは親子ではなく、たまたま和子が病院を脱走するときにみどりを一緒に連れていったという。和子は、みどりではなく龍介の母親だった。錯乱した彼女の言動から、10年前、夫の愛人に誘拐された龍介の舌が送りつけられてきて、発狂した彼女は夫を殺害したことがわかる。風呂場から出てきたのは夫の遺体。

    みどり自身が封印していた幼い頃の記憶が蘇る。10年前、龍介と仲良しの幼馴染だったのは本当。ある日、お堂の前で龍介とみどりが遊んでいると、全身に青い刺青の若い女性はるか(三輪ひとみ)が現れる。龍介は彼女を父の友達だと言う。みどりははるかの様子が恐ろしくなり、龍介を置いて帰宅。しかしそのあと龍介ははるか=父の愛人に誘拐されてしまったのだった。翌日、みどりがまた龍介と遊ぼうとお堂に行くと、はるかが血まみれでナイフを持って立っている。彼女は龍介の父親との間に赤ん坊が出来たが堕ろせと言われたこと、龍介を殺せば自分の子供が愛してもらえると思ったことなどを話し、みどりに辻占を要求。みどりが咄嗟に「そんな恋は実らない」と叫ぶと、女は自分の首を切り、火を放った。

    すべて思い出したみどりは病院からそっと抜け出す。しかしベッドにも眠っている(死んでいる?)みどりがいる。みどりはお堂の前で龍介と落ちあい、10年前、自分が龍介を助けられなかったことを詫びる。二人は手を繋いで線路の上を歩き、森の中のゴミ捨て場になっている廃墟に辿り着く。そこに捨てられている冷蔵庫に、幼い龍介の遺体が入っている。みどりはその扉を開け、二人は光に包まれ…。

    龍介が死人なのは想定内だったけど、みどりと母親まで狂っていたのには素直に驚いた。首を切り自殺する女性が合計3人登場するが、いずれもとても切ない。身勝手といえば身勝手なのだけど、手島のことを「好きで、好きで、好きで、好きで…」と壊れたレコードのようにリピートし続け、「死ぬほど好き」と首を切る鈴枝の狂気が、奇妙に胸に迫った。三輪明日美の迫真の演技もあるけれど、17歳のときなら、自分もやりかねなかったかもという不思議なリアリティがあって。大人になった今ではバカバカしいと思うようなことでも、あの頃は、好きな人のためなら本当に死ねると思っていたのだ。

    秋吉久美子と、愛人のほうを演じた三輪ひとみの演技もめちゃめちゃ怖かった。怖いのは主に人を恋する(愛する)気持ちから発する狂気で、映像的なグロさで怖がらせる悪趣味さはほぼない。龍介とみどりの初恋成就が切なく、終盤二人が手を繋いで歩いているシーンでなぜか無闇に泣けた。個人的には掘り出し物の名作。

  • 松田龍平が化粧をしてたころ…。やっぱり龍平派です。

    伊藤潤二原作。主演は松田龍平と後藤理沙。

    辻占いという占いが流行る。
    方法は至って簡単。

     辻に立ち、ばったり出会った人間に自分が占ってほしい事を聞く。

    出会った人は優しい人かもしれないし、悪意のある人かもしれない。
     それも含めて当たるも八卦当たらぬも八卦。

    そして、辻占いをしたある少女が奇怪な死を遂げる。辻占いとは一体。

    伊藤潤二の世界観がよく再現されてます。
    原作ファンも納得のストーリー。

    何より役者!

    松田龍平はこの頃からファンです。今の方が好きですがこの頃もいい。
    原作のイメージにぴったりだと個人的には思います。

    後藤理沙の絶頂期はこの頃。この頃はよかった。この頃は…。

  • 漫画とはちがうんだけど すごい面白かった。
    あの家で…すごいな。

  • 流血シーン痛々しくて見てるの辛かった
    そして幼少みどりちゃんひどいよ
    最後でものすごく切なくなる。

  • 恐いよお母さん!!!冷蔵庫、あけるの恐いです

  • いやぁ…怖いですし、グロテスクですし。苦手なホラー映画なんですが、好きな俳優さんが多かったので見ました。

  • ホラーに見えない。幻想的な作品。

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