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- / ISBN・EAN: 4988231015320
感想・レビュー・書評
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『セーラー服と機関銃』の2年後の相米監督の初期作品。DVD化後はレンタル店であまり見かけないけど、ちょい老舗のところで発見。というわけでけっこう期待してたんですが『セーラー服と機関銃』同様、観た後に「ハァ・・・」と溜息が(笑)。これらと比べると、やっぱり『台風クラブ』がダントツで面白かった。
相米監督=長回しで、そういう技法の部分は毎回超面白いんですけど、全体としてはたいしてオモロねえなっていう。ストーリー原案はレナード・シュレイダー。ポールの兄貴。『太陽を盗んだ男』もそうなので、ゴジさん→相米さんつながりってことかな。
長回しそのものは面白いんですよ。特に冒頭のシーンはすごいし、相米監督って非常に危ないアクションをさせてる。
ただ、長回しってテンポはよくならないですよね。ブチブチカットしてパッパッと切り替わる市川崑や岡本喜八の対極だもの。特に最近はテンポのよい喜八っつぁんの映画ばかり見てたので、相米さんの長回しはより退屈に感じる。
長回しでテンポよく&アクションを盛り込むっていうのは、やっぱり近年のアルフォンソ・キュアロンみたいにCGを使えるようになってからじゃないととダメなのかも。
ストーリーは『ズッコケ三人組』っていうか、『スタンドバイミー』の死体探しの代わりに、ヤクザに誘拐された同級生を探すって話。ここんとこは大人の世界=ヤクザと極端になってて、けっこう面白いんだけど。
出演者、メインは永瀬正敏&河合美智子&今をときめく坂上忍(笑)。永瀬と河合美智子はこれがデビュー作。昔の映画を観るとみんな若くて気付かないことが多いんですが、相米さんの映画はロングで長回しだから俳優の顔がアップにならず、全然わからない(笑)。原日出子もだけど、村上弘明とか全然気付かんわ!
音楽は星勝さん。
昨夜、NHKで井上陽水の『氷の世界』のドキュメンタリーをやってて、これがめちゃくちゃ面白かったんですが、『氷の世界』のサウンドプロデュース・編曲・作曲までしてる方です。陽水のポリドール時代の曲はめちゃくちゃよくて好きなんですが、この映画の音楽もよかった。 -
とにかく登場人物がよく動く。駆け下りたり駆け上ったり、水の中にとび込んだり、落ちたり這い上がったり。観ながら真っ先に思い出したのが、一連の宮崎駿アニメの運動感。
とにかく登場人物たちは一個の人格を持った存在である前に、画面の中を縦横無尽に動き回る駒みたい。監督が囲碁の愛好家であったというのがなんだか象徴的。しかも将棋ではなく。セリフははっきりと聞こえているのに、なぜか人物とカメラとの距離が過剰に遠かったりする。それも、「人物は碁石である」、まずそれが先にあると考えると腑に落ちる。登場人物たちのテンションがやたら高いのも、かれらが動き続けるための口実であるかのように見えてくる。
気づくのが遅すぎた。手に入るだけ、相米慎二監督の作品を観ようと決めた。早すぎる死が惜しい。 -
変!変な映画!ゆえに、大好きだ笑!!
なんというか、非日常の日常というか。
この人の世界の切り取り方みたいなのが、カオス笑。
本当に面白い。
インタレストという意味と、ユーモラスという意味と。
無茶苦茶なヤクザの親玉。
殴られて「ありがとうございます!」と合唱する組子なんて、
使い古された手かもしれないけど、この人の描き方は爆笑できる。
そして、秀逸だったのが、デブ長を助けようと水辺で繰り広げられる銃撃戦と逃走、追走劇。
なんだ、これは。
もう、時間の間の取り方がおっかしいよなーって映画はよくあるけど、
空間の間の取り方っていうのかなぁ、変。
おかしい。
素晴らしい映画。素晴らしくおかしな映画。 -
中学生のジョジョ、ブルース、辞書は、自分達をいつも虐めているデブナガが誘拐されるのを目撃する。
デブナガの父か覚醒剤をたれ流ししている事で極龍会の恨みをかったためだった。
3人は事態の収集しようとしている極龍会の組員 厳兵と出会い、一緒にデブナガ救出に向かう。
このアドリブ感満載の長回しのシーンの数々がスゴすぎ!! -
自分的相米慎二映画祭第2弾。世界観の歪みぐあいが徹底的で、観ていて心地いい。
運河に浮かぶ木材の上を走っての追走劇がすごい。
ブルースが年頃の女子なのに、胸元など気にせず立ち振る舞う姿に感動を覚える。藤竜也は微妙。永瀬正敏のデビュー作。
【ストーリー】
ジョジョ、辞書、ブルースの三人の中学生はガキ大将のデブナガにいつもいじめられており、今日こそやっつけてやろうというとき、そのデブナガが三人の眼の前で誘拐されてしまった。デブナガの父が覚醒剤をタレ流していることに腹を立てた横浜のヤクザ極龍会のイヤガラセだ。
誘拐したのは極龍会の組員、山と政だが、マスコミはこの事件を派手に報道し、組ではもてあましていた。一方、三人の中学生は横浜に向い、そこで、極龍会の組員で、山と政の二人を連れ戻すように命令を受けている中年のヤクザ、厳兵と出会い、一緒にデブナガ救出しようと持ちかけると、厳兵はしぶしぶ承諾する。
その頃、デブナガは熱海から名古屋に連れ去られていた。一方、ヤク中で暴力的な厳兵を嫌う辞書はブルースと一緒に、熱海に研修会に来ていたアラレ先生を救出作戦に巻き込んでしまう。別行動をとっていたジョジョと厳兵は山と政を貯木場に追いつめており、そこへ、ブルース、辞書、アラレも到着した。
運河に浮かぶ木の上で大迫跡が繰り広げられ、厳兵とブルースは負傷し、アラレも橋から落ちて傷だらけだ。そして、山と政、デブナガはどこかへ逃げ去っていた。
クサる厳兵や辞書たちのところに島田組の者が現れ、協力を申し出る。腹では極龍会を支配しようと考えている島田組の招待で5人は飲めや歌えの大騒ぎをする。しかし、厳兵は島田の援助を断ると、山たちが逃げたと思われる大阪へ向った。
そんな厳兵の姿に、ブルースは心惹かれるものを感じる。大阪のドヤに踏み込むと、半ベソの辞書が、アラレも連れていかれたと話す。
その時、極龍会解散のニュースが入り、組がなくなっては山や政を追う必要がないと厳兵は言いだした。説得にも耳をかさない厳兵を残して、辞書、ブルース、ジョジョの三人は追跡を続け、横浜にあった極龍会の覚醒剤精製所に辿り着いた。そこで、山と政は極龍会解散のニュースを知り、唖然とする。そこへ、厳兵も現れ、デブナガ、アラレの救出に成功するのだった。
いつもいじめられているガキ大将が誘拐され、彼を追う3人の少年少女と中年男のヤクザの姿を描く。脚本は「丑三つの村」の西岡琢也とチエコ・シュレイダーの共同執筆、監督は「セーラー服と機関銃」の相米慎二、撮影は「さらば愛しき大地」の田村正毅と伊藤昭裕の共同でそれぞれ担当。