おもひでぽろぽろ [DVD]

監督 : 高畑勲 
出演 : 今井美樹  柳葉敏郎 
  • ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント (2012年9月12日発売)
3.53
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感想 : 217
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4959241980243

感想・レビュー・書評

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  • 過去20年の履歴にないので、たぶん1992年か1994年のテレビ放映で数回見たきりなのだろう。
    が、1983年生まれの私が9歳だか11歳だかで鑑賞し、小学生の記憶に、ひどく食い込んでいた、と今回気づいた。
    挿話としては、割り算に素直に乗れない、とか、パイナップルが新しかった、とか。
    パイナップルを食べすぎて口の周りが腫れてしまった、とか、同級生のSくんが割り算を納得しないままできる人はどうかしていると話していた、とか、記憶において本作以上に上乗せされているのだ。

    小学生時代は1966年。それを回想する現代は1982年。漫画が1987年。映画が1991年。私が見たのが1992年だか1994年だか。ちなみに「ちびまる子ちゃん」は1974年。
    こうして整理したが、むしろ1960年生まれの母のほうが、同時代を感じていたはず。
    そういえばパイナップルで口が腫れたという経験は、一緒に本作を見ていた母が言っていたことだったのか……?

    と、自分のおもひでがぽろぽろしているわけだが、1982年現在の時制に、どうしても、どーしても! 乗れなかった。
    横で見ていた妻が、田舎っていいよねーというタエ子の言いざまに怒り心頭、嫁に来ないかというババアにも怒り心頭、むしろ妻のほうが楽しんでいた。
    単純に、露骨に頬骨を見せるキャラデザに乗れなかったり、田舎の人々の笑顔が怖かったり気持ち悪かったり、ギバちゃんの過剰さがアニメにそのまま現れているのでうんざりしたり(プレスコの弊害!)、ということかと思っていたし、勲結局新日本風土記みたいな番組作りたかっただけちゃうんと考えたり、ニコニコ動画かyoutubeで過去パートだけ切り取った動画を上げてくれたらいいのになー(少女タエ子を演じた本名陽子は、本作→耳をすませば)と考えたりもしていたが、その感情移入のしづらさ自体が、勲の掌の上だったのだ。

    映画を見る前に漫画を読んでみて、その現代っぽさに感動していた。(さくらももこ→本作の漫画→高野文子)
    だからそのまま映像化してくれればよかったのに、と。
    が、現代パートを入れることで、「火垂るの墓」と同じく作品は多層的になる。
    私のように違和感を持つ人も出るし、単純におもひでにぽろぽろ泣かされる人も出るし。
    私の違和感は、農業体験という自分探しの旅という浅はかさ、という皮肉な視点以前に、ただただ、ここまでひとつの時点にこだわって記憶を反芻する成人女性が、気持ち悪い、というもの。
    まるで心を病んでいて、結果的には子供時代の思い出しか、自分を受け入れてくれない、というか。
    精神分析を施す相手がいないから、過去への旅に出ざるを得なかった、というか。
    え、高校で演劇部に入ったとか言ってたけど、中学高校は思い出せないってことは、何か一家離散とか死とか夜逃げとかあったのか、とか。
    そんな裏読みをしてしまう、謎解き好きな、ひねくれた人に、ぜひ見てほしい分析がある。
    他人の褌を取って言うのもなんだが、これが決定版の評論だと思う。

    鬼才高畑勲『おもひでぽろぽろ』のすべて
    https://note.com/kakan/m/m5ab6def30df2

  • 私はアラフォーなので、主人公の世代はもう少し上の世代なんだけど、わかるところが多すぎる。
    おくゆかしさって普通のことだったよね。人に恥ずかしい思いをさせないために、自分が一歩引いてあげること。そのために結構苦しい思いを強いられるんだけど、泣くのは嫌だ、わらっちゃおう!と振り切っちゃう気持ち。
    クラスで目立つ生徒じゃなくても、小5の感情はあっちこっち揺れ動いて、いろんなこと抱えていたりする。
    当時のクラスメイトの気持ちが、いまさらわかったりする。
    年がたってもまた見直したくなる作品。

  • エンディングについて「結婚という逃避ではないか」と言う人もあるだろう。しかし、主役のたえは最初、漠然とした「田舎」の風景に憧れていたのだが、その「美しい自然」もまた人の手によって維持されていることを知る。自然は作為がないから美しいのではなくて、それを美しくしようとする「行為」があってこそ、美しくなる。それを知ったときに、これまでの自分の生き方を反省し、一歩踏み出そうとする彼女は過去の自分と決別するのであった。

  • 小5の思い出。
    いい子ぶっていた自分。
    昔の27歳と今の27歳のギャップを感じます。

  • 初めてちゃんと観た。
    しみるわ・・・ なみだがぽろぽろ。

  • 雨の日と、
    曇りの日と晴れと、
    どれが一番好き?

    分数の割り算がすんなりできた人は、
    その後の人生もすんなりいくらしい

    っていう言葉が、
    なんだか印象深かった


    あと…
    転校生の阿部くんの話、
    すごくわかって、忘れられない

    いい人ぶってた私が、
    実は一番優しくなかった、
    って思うことが小さい頃からあって、
    それは今でも時たまあって…

    そのもやもやした気持ちを、
    誰かと共有したことがなかったから、
    なぜかちょっと救われた

  • 公開当時子供だった僕は、本作の趣旨を理解する以前にただ絵が受けつけなくて、最後まで通して見ることもできなかった。
    大人になり主人公と同じ歳もすぎて、作品を通している過剰気味の自意識に嫌悪感はあるものの親しみを感じるものだったし、やるせなさに子供時代を思い出して心苦しくなったほどだ。
    題がいい。ぽろぽろが意味するところが波のように僕を攻め立てる。変わることのない強さとか、意識しないでいる作為を頭でっかちに受け止めることを一口に表現せず、じっくりと作品にする姿勢を感じた。
    おもしろいか、と聞かれるとそこそこ、と答えちゃうんだろうけど。うーん、でもねと続けたい何かがある。

  • 山形の農村の美しさがホントに印象的。
    田舎外から農業体験に客として来た主人公タエ子の目線を通して、観客も新鮮で好意的な目線で山形を感じることになる。

    はっとしたのは、村落を観ながらギバちゃんが言った言葉。
    「この景色も人間が作ったんですよ。あの森も、田んぼもぜーんぶそう。」みたいな。
    田舎の農家で育った私自身も、帰省で帰ったときや旅行で田圃のある農村風景を観ると、ああ自然が!って思っていたけど
    ひとつひとつの田圃や木や道は、全て先人が元ある自然を切り拓いてできたもの。その積み重ねが、今の穏やかな農村の風景を作っている。
    祖父や先祖の苦労を思い胸が熱くなる。
    本当の自然は荒々しいものだ。
    人間の長年の工夫と努力と手前の積み重ねでずいぶん楽にはなって
    その自然の威力や脅威をついつい忘れてしまっている。
    現代の百姓も、天気という自然とは日々対峙しているが、
    都会暮らしではそうはいかない。でもその感覚に慣れてしまうのって怖いな、と思った。

    ジブリ作品の多くに共通するメッセージ。自然の美しさと荒々しさとそれに対峙する人間の業と愛しさ。本作でも存分に感じました。

    主人公タエ子の小学5年生時代の記憶が
    私のそれとは年代が違うので、なかなかディテールにはぴんとこなかったり、タエ子の最後の決断のあっけなさに拍子ぬけする気持ちもありつつ、だが
    そう思ってしまうほど、自分の気持ちに近づけて観れてたということなのかも。本当に良い作品です。

  • 再見なのだかすっかり内容を忘れていた
    結構しつこく法令線を描く
    子供が商店街を歩くシーンで「徳間文庫」の電柱が
    時代ズレてない?
    ストーリーは都会で疲弊するOLの自分探し
    山形で農作業体験(紅花摘みや有機農業コメつくり)
    3両の電車か走っていたが、今も3両なのかな?
    ひょっこりひょうたん島へオマージュ
    背景などの作画(過去パートは水彩画風)が綺麗

  • 外国人目線からだと、「ほんとに日本ってあんな感じなのかなぁ」って考えこんでしまったシーンがあった。なんていうか、うちではそんなこと触れもしないっていうか、作中みたいな感じにはならないのがほとんどだから。

    私的には少し不愉快だったかな。

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著者プロフィール

アニメーション映画監督。1935年、三重県生まれ。作品にTVシリーズ「アルプスの少女ハイジ」「赤毛のアン」など、劇場用長編「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」「ホーホケキョとなりの山田くん」「かぐや姫の物語」など。

「2014年 『かぐや姫の物語 徳間アニメ絵本34』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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