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- / ISBN・EAN: 4941565301125
感想・レビュー・書評
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(ストーリー)
長年勤めた教職を退いた未亡人のデイジー(ジェシカ・タンディ)は、ある日運転中に危うく事故を起こしかけ、母の身を案じた息子のブーリー(ダン・エイクロイド)は、彼女の専用の運転手としてホーク(モーガン・フリーマン)という初老の黒人を雇う。しかし典型的なユダヤ人で、元教師のデイジーには、運転手なんて金持ちぶっているようで気性が許さなかった。どうしても乗車拒否を続けるデイジーは、黙々と職務に励む飄々としたホークの姿に根負けし、悪態をつきながらも車に乗ることになる。こうして始まったデイジーとホークの奇妙で不思議な関係は、1台の車の中で、やがて何物にも代えがたい友情の絆を生み出してゆく。そして25年の歳月の流れの中で、初めてホークはニュージャージー州外を旅し、またデイジーはキング牧師の晩餐会に出席したりした。いつしか頭がボケ始めたデイジーは施設で暮らすようになり、長年住み馴れた家も売ることになった。しかしデイジーとホークの友情は、変わることなく続くのだった
前から気になっていたのですが、今まで観るタイミングをずっと失っていた映画です。
主演の ジェシカ・タンディはこの作品で何と80歳!アカデミー主演賞を受賞しているのです。その後に彼女が出演した「フライド・グリーン・トマト」は劇場で観ていますが、こちらもまた再見したくなりました。南部アメリカの色彩は赤いトマトに代表されているようにも感じます。
いつも人の目を気にしていて、素直に息子やホークの好意に甘えられないデイジーが、まるで自分を見ているようでした。なんでもできる、なんでもわかってるみたいな顔をしているから、自分が間違っていても素直に謝る事もできないんですよね。
私も若い頃はそんなところがあったので、とてもデイジーが憎めません。しかし、分からない人には何とも意地が悪いとしか見えないのかもしれませんね。えてして威張る男性には多いタイプでムカつくのだけど、女性だったら断然許しちゃいたいのは身勝手かしら?
フリーマンも彼の持ち味で懐の深い男性、ホークを好演していました。
どんな終り方をするのだろうと思っていたらパンプキンパイを食べさせてあげるシーンで終らせましたね。生を終えるまで未だ続く人生を暗に描いているよう。
もし2人の間に人種差別が横たわっていなかったら、違う展開だったと思わずにいられません。
さすがに”風と共に去りぬ”のアトランタが舞台の映画でした。
(2011年06月16日)
追記 2018年8月13日
今春、モーガン・フリーマンはセクハラ告発されている。作品と人柄は関係ないと割り切る考え方もあるが、ファンとしてはとても残念です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
紛れもない傑作でしょう!
大昔に一度見たときは「けっこうフツー?」と思ったような記憶があったけど。内容をまったく覚えていなかったので、改めて見てみたら、心が震えまくり。傑作です、傑作。(3回も言っちゃう)
モーガン・フリーマン、実はそんなに好きじゃないんだけど(けっこうみんな大好きよね)、この映画では実にいいなぁと思った。学はないけど非常に知的であたたかみのある今回の役にピッタリ。Missデイジーじゃなくても頼りたくなってしまう。
最後の方で混乱したMissデイジーがモーガン・フリーマンに向かって思わず口にした言葉には私はまったく意表を突かれて、ウッ!と胸がつまって、そして一秒置いて涙がブワーッとあふれてしまった。
Missデイジーは文句が多くて気難しく扱いづらい老人だけど、教師時代の彼女は心から生徒のことを思う素晴らしい先生だったことが彼女の言葉の端々に現れていて、そこもすごく良かった。
いや、傑作です。(ともう一回言っちゃう) -
2023.09.18
BSプレミアム -
老女と運転手の心のふれあいが見事に描かれた作品。
ラストで感謝祭のパイを食べるシーンが、これまでの2人の道のりを全て語っており、静かな温かい気持ちに包まれました。
老女の年老いていく切なさ、不安。
自らも老いながら温かく見守る運転手と、老女の息子。
アメリカの複雑な人種差別問題を織り交ぜてある所が、作品の深みを増しています。とても良い作品でした。 -
運転が不安なユダヤ人の老婦とその息子が雇い主の黒人運転手。運転手すら無駄な経費と考えるユダヤ人らしい婦人(事故を起こして一人では運転できない)と雇いたい人と雇われたい人がいるだけだという黒人の考え方のギャップが面白い。
最後はボケて施設に入ってもたまに鋭いことをいう夫人をしたう黒人運転手との絆が泣かせる。 -
(Stay Home用レンタル第11弾)
少し古い作品ですが、とてもよい映画でした。モーガン・フリーマンの出世作だそうです。
老人二人の奇妙な友情の物語で、その日々を淡々と紡いでいくだけのストーリーなのですが、飽きずに魅入ってしまう作品でした。
古いアメリカ南部(トムとジェリーの時代感)を舞台にしているので人種差別、階層差別などもテーマの一つになっていますが、押しつけがましさがないので、余計に身近なものとして感じさせられました。
とても車を美しく撮っている映画です。また、場面場面もとても映画的な『画』として撮られています。それらを観ているだけでも楽しめる映画でした。 -
デイジーはプライドが高く意固地で人種差別意識が強い。決して魅力的なかわいいおばあちゃんではありません。一方、運転手の仕事についたホークは頭はいいが貧困のため文盲で非差別者として生き抜くすべを身につけてきた愛すべき黒人老人です。これは、つまり、ホークが持ち前の優れた気質によってデイジーを懐柔するに至る物語です。この作品が現代においても価値があるのは、老いと人間の尊厳という視点を終始見据えていることに尽きます。