禁じられた遊び(トールケース) [DVD]

アーティスト : ナルシソ・イエペス 
監督 : ルネ・クレマン 
出演 : ブリジット・フォッセー  ジョルジュ・ブージュリー  リュシアン・ユベール  シュザンヌ・クールタル  ルイ・サンテーブ  ジャック・マラン  ローレンス・バディ 
制作 : フランソワ・ボワイエ  ジャン・オーランシュ  ピエール・ポスト  ロベール・ジュイヤール 
3.75
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4933672226293

感想・レビュー・書評

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  • 1940年。ドイツ軍に占領されたパリの群衆は田舎へ避難を始めた。
    群衆の中には、両親に連れられた5歳の少女ポレットが居た。
    街から追い掛けて来た爆撃機の機銃掃射が、群衆を容赦なく襲う。
    突然動かなくなった母の頬を、死を理解出来ないポレットは優しく撫で続ける。
    やがて起き上がり愛犬の遺体を抱き呆然と立ち尽くすポレット。
    映画は、戦争の理不尽さを強烈に物語るシーンで始まった。

    やがてポレットは、貧しい農家の少年ミシェルに出会い愛犬を埋葬する。
    両親は皆と埋められるけど、愛犬は独りだから寂しい、と理解したポレットは、
    もぐら、へびなどの死体を集めては墓を建てた。
    ミシェルは彼女に気に入られたい、これまた純粋な一心で、夢中になって手伝う。
    幼い二人は死んだ動物を埋葬し十字架を建てる遊びに夢中になった。
    死と無邪気に戯れる子供達の姿は、一種異様でもあるが、
    それしか心の整理の仕方が無いのかも知れないと思うと切なくてやりきれない。

    映画は最後、孤児院に引取られるポレットが駅でひとり佇むシーンを迎える。
    そして他人が偶然「ミシェル」と呼ぶ声を聞いたポレットが、堰を切ったように
    ミシェルとママの名を泣き叫びながら、雑踏に消えていくシーンで終わる。
    独りなのは自分であったことに気付いたポレット。
    胸が締め付けられる。5歳の少女には重過ぎる現実だ。
    今後どんな人生が待ち受けているかは描かれないが、孤児院で仲間に恵まれ、
    健やかに育つことを願わずには居られないラストシーンだった。

    監督は「比類なきテクニシャン」と呼ばれたジャン・コクトー。
    脚本は「居酒屋」ほか戦後フランス映画の文芸路線をつくった
    オーランシュ・ボストの名脚色コンビ。
    そしてイエペスの有名なギターの名曲が、切なく、しかし優しく幼い二人を包み込む。
    (101117鑑賞)

  • 幼さと禁忌。初めての恋心。

    何がいいわけでもないけれど、愛くるしさがたまらない。

  • 「死」が理解出来ない幼さと無邪気さが、切ない。
    一昔前はこんなに死が身近であっけないものだったんだな。

    一見、「死」を弄んでいるかのように思える遊びが、戦時中という最高に死を軽視した舞台で行われている点がポイント。
    確かに反戦的な気分になる。

    終わり方も印象的。
    何も悪くない純粋な者が(恐らく)悲惨な末路を迎えるであろうのを見ている非力さとやるせなさ。
    あの子の声は、誰かに届いたのかな・・・

  • あの有名な名曲(スペインに古くから伝わる作者不明の原曲があるそうです)が流れる悲しい映画。<br>
    少女を守ろうとした両親が死ぬ事から始まり、自分が本当に一人になってしまった事に気付いた少女が泣きながら人ごみに消えていき終わるという特に悲しいエピソードで物語を挟んでいるのが印象深いです。<br>
    動物や昆虫を殺してはお墓を作る遊びをするというのでどんな子達なんだろうと思っていたのですが、少女はそれが悪いことなんて知らない本当に幼い可愛い子だし、少年もそんな少女を少しでも喜ばせたいだけなんだというのがよく伝わってきました。
    幼い二人の恋愛映画でもあると言う人もいますが、私はどちらかいうと兄や妹を求めてるように見えたかな…?<br>
    その時の流れから邪気なく始めてしまい最後には争いを生むことになった、してはいけない「お墓ごっこ」と「戦争」と題名の「禁じられた遊び」は一つに繋がっているものなような気がします。<br>
    この少女もいつかは幸せになれるさなんて楽観的な考えはとても浮かんでこないようなラストシーンは、いつまでも心に残り考えさせられてしまいました。<br>
    昔のフランス映画のこういう半端ない救いのない暗さは結構好きだったり。<br>
    監督 ルネ・クレマン <br>
    1951年(仏)87min <br>

  • ドイツとの戦争でパリから疎開する途中、両親を空爆で亡くした幼い少女ポエットは田舎の少年ミシェルと出会う。彼の家で暮らし始めたポエットはミシェルやその家族、村の司祭からキリスト教を教えられ、偏ったにわか知識で愛犬の遺体の墓を作ろうとする。ポエットを喜ばせたい一心でミシェルが作り出したのは墓地だった。たくさんの生き物の、盗み出した十字架の……。

    なんとも言えないもの悲しさ、哀愁が漂う。ルネ・クレマン監督しか描けない世界観。私はこの苦しいけれど純粋さの可愛さが露悪的なまでに感じるこの赤裸々さ、言語化を放棄するわ 田舎の人が隣人を憎み尽くし子供の嘘も信じるほど悪いことは相手がやったと信じてしまうあたりもなかなかうっとくる、本当に生々しく人間を描いています。

  • 戦争で全てを失った少女の心に寄り添おうとした健気な男の子と、子どもの最善の利益を考えない大人たち。その残酷な対称性が印象に残る映画。名作たる所以は理解できます。

    ただ自分がこの映画を見て思い出したのは、京極夏彦の某小説に登場した「死」という概念を知らない男というやつ。「死」を理解できない少女のために、少年は十字架を盗んでは動物の墓を立てる。本作は、ちょっと構成を変えれば、「不可解な動機による犯罪」を描いた立派なミステリーになったのでは、と思います。まぁこれは間違った映画の見方だとは思いますが(笑)

  • 悲しすぎる映画だった。文句なしの名作。
    ミシェルとポレットの表情が愛らしい。
    お墓を作ってもらえずに犬のように穴に埋められたポレットの両親を思うと、二人が十字架を盗んで墓地を作って遊ぶ気持ちが理解できる気がする。それは禁じられた遊びなのだけど……。あらすじだけ読んで、ちょっと「狂気」じみた子どもたちを描いているのかと思ったけれど、違った。純粋で多感な、ごく普通の子どもたちが死に触れる様が描かれていて、それが何だか無性に悲しかった。

  • 死体と十字架を求めてのキリング・ゲーム。バトルあり(親父同士のステゴロ)お色気あり(幼女のパンチラ)のエンターテイメント。嘘はたぶん言っていない。

  • 世にも薄気味悪いあのミミズクという動物がこんなに可愛い。名前は村長さん。モグラを取られても怒らない。荒れ狂うミシェルを見つめる村長さん。可愛い。
    馬に轢かれた兄ジョルジュの臨終にヒマシ油を飲ませてやるシーン。訳が本当はどんななのか。
    私がみたのは(UNEXTにて)「早めに飲ませてたら」でした。死んでんなら飲ませなきゃ良かったってのがあるらしく(笑)

  • 10年ぶりくらい2度め。大人って勝手だよね、っつー視点が二重、三重と迫り来るつくりでして、でもパリから来た女の子が実は悪魔かもしれん、という見方もあり得るんじゃないかと思ってます。そう思い込んで見ると、オーメンに似てる作品かもしれん。なぜ十字架に魅せられるのかも説明がつきやすい。男の子の名前はミシェルだし…単に子供心としてその形状が美しく見えるのかもしれませんし、作品を理解する道筋がひとつどころか多岐に渡るところが、名画と言われる所以かもしれません。声高に反戦でもなく、戦争が一つの風景として衝立のように存在するのもよい。

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