Dolls [ドールズ] [DVD]

監督 : 北野武 
出演 : 菅野美穂  西島秀俊  三橋達也  松原智恵子  深田恭子  武重勉  大森南朋  ホーキング青山  久石譲  大杉漣  岸本加世子  森昌行 
  • バンダイビジュアル
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569613202

感想・レビュー・書評

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  • 一途に愛した人と、一途に愛された人の話。

    一途さは狂気でもあり、奇妙でもあり、嘲笑の対象でもある。でも本人たちはそれしか見えていないし、それしか知らない。ぶれがない。

    それで、幸せなのか?どこか苦しんでいるような感じを受けるけれど、それしか知らないから、そこから逃げられない。むきになっているし、生きにくさも感じていると思う。日々の小さな達成感はあるかもしれないけど、向かう先は破滅的。結末は悲劇か。そうすると、あまり幸せではない?

    でも、死んだ瞬間は、ものすごい幸福感に包まれていたと思う。

    一途に愛された人は、その思いを受け入れて、その結果人生が変わってしまった。愛されることは、幸せだったのだろうか。

    ヤクザの親分は、命を落とすことに。彼の場合はそれで幸せだったのかも。

    元アイドルは人を愛し、待つことの辛さを知ってしまった。あんなに人に待たれ愛されていたのに。

    松本は、罪悪感→責任感→自己犠牲→道行き。責任感の強さが、悲劇を招いていた。罪悪感は償われたのだろうか。

    菅野美穂さんの演技に引き込まれる。空想とも現実ともつかない役を、現実的で、違和感なく、美しく、そして、共感できる対象に仕立て上げたその演技力はみごと。その上、卵のような顔が、文楽人形とダブり、彼女でなければ、この映画は成り立たなかったと思う。

    三橋達也さんの演技にうなってしまった。視線の先に、見ているものが浮かぶ。回想シーンでは脳裏に浮かんでいるだろうシーンが浮かぶ。そこにいる感じがする。現実的で、共感できる。演技なのに非常にリアル。さすが。

    映像はとてもきれい。それを観て、感じる映画。感じ方も人それぞれ。答えは本人にしかわからない。説明が必要な人は、苦手な映画かも。

  • 北野武の「Dolls」を鑑賞。

    愛や恋という言葉は普段特に意識することなく使ってはいるものの、「その定義は?」と問われたら、しっかり答えられる人は意外に少ないかもしれない。
    「愛と恋の違いは」なんてテーマは、いつの時代も十代が好んで話すことだろうと思う。

    あくまで私見として。愛は、対象が様々な概念や芸術作品など人間に限らないばかりか、その成否や見返り、対象から自分への働きかけの有無に関係なく大切に思うこと、なのだろう。

    「愛とは何か?」そんなテーマについて、やさしく答えてくれる作品。

  • 残酷な現実に対して息が止まりそうな程美しい色合いの世界。
    物語は抽象的で言葉は少ないけれど空気に飲まれてあっという間だった。
    恋愛というテーマ以上に死生観を強く感じた。

  • 6年前に見たのを再鑑賞。
    6年前なので、当時はちょうどハタチ、大学1年くらいかな?
    当時は、現実味の無い妙な世界観をどう解釈すれば良いのか分からずモヤモヤしたまま観終わった気がする。
    かつ、「男(西島秀俊)が最初から彼女(菅野美穂)を裏切らなければ誰も傷付かずに済んだだけの話じゃんかww」という思いに支配されて不快感すら抱いていた。

    とあるきっかけでこの映画が再び気になってネットの評価を見てみたら、この映画の本質は何か、過去の私の鑑賞態度がいかに稚拙だったかを知らしめてくれる名レビューに出会い、それを踏まえて再度鑑賞してみた。

    キャッチコピーである「愛とは何か」という問いに対する北野監督流の答えがコレなんだろう。
    安いバンドマンの歌詞とかその辺の若者のツイートとか、巷に溢れる軽々しい「愛ってなんだ?(笑)」に対する重~い回答がコレ。
    私たちが「愛」だと思っているもの、歌われているものなんて生ぬるくってちゃんちゃらオカシイと言われているような気分。

    描かれる人々の「愛」の形はどれも極端すぎて現実味が無いんだけど、その実現可能性の低さが逆説的に「本当の愛」の成立の困難性を物語っているように思う。
    だから、一年中赤い紐でお互いを結び付けて放浪し続けるカップルなんて居るわけなくても、来もしない恋人を何十年も同じ公園で待ち続ける女なんか居るわけなくても、アイドルの為に自ら失明までするファンが常軌を逸してても、それを「有り得ない」と批判するのは甚だお門違いというわけだ。
    (それでも、あんな浮浪者みたいな生活でも菅野美穂があまりにも綺麗なままなのはおかしい、眉とかボーボーになるだろ普通・・・という念だけは今回の鑑賞でもぬぐえなかった笑)

    浜崎あゆみがこの映画に感銘を受け、武に頼んで同名の曲を作ったというエピソードがあるけれど、
    アユ自身の過去と照らし合わせて、「恋人に裏切られて失意の末に白痴になった女」を自分に重ねるところがあったのかな、と推測。

  • 北野武監督。菅野美穂、西島秀俊、三橋達也、 松原智恵子ら主演。
    赤いひもでつながれたふたり。かわす言葉などない。そのふたりの近くを通り過ぎては消えるひとびと。哀しみも喜びもただそこにあるものではなく、やってきては通り過ぎるものだと思い知らされる。作品全体は近松門左衛門の人形浄瑠璃『冥途の飛脚』と、日本の四季で包み込まれる。
    言葉やBGMはとても少ないのだが、役者の演技がそれらすべてを必要とさせなくなるくらいのものを表現している。それこそ、北野監督の力なのだ。

  • 色彩や情緒表現が美しい雰囲気映画

  • 病的なまでの

  • 北野作品というのは観終えて良かった悪かったという他に馴染める、馴染めない的な評価かされる映画かと思います。「アウトレイジ」以降 集客の取れる監督に、それまでは、好きか嫌いかとたけし信者的なマニアには評価高かった。

    北野作品を酷評していた評論家が「あの夏、静かな海」でガラッと評価が変わった。私は北野作品、観るけどチット馴染めない。暴力シーンは生理的に受け付けません。観終えて、物足りなさやこんな終わり方をするのも北野映画の特徴だと思ってました。

    それが大きく覆りました。この映画公開当時 監督北野武は「今までの映画の中で一番暴力的」と言いました。具体的な暴力シーンは描かれてません。

    軸となるのは、西島、菅野のストーリーに 三橋、松原のストーリー、深田と追っかけのストーリーが同時進行する。共にハッピーエンドにはならない事は簡単に予想は出来ます。それでも、一瞬 ほのかな希望や、もしかしたらと思わせる。そう思わせた途端に悲しい結末が訪れる。

    向かっていった先に悲しい結末が待っている。それを知りながらも向かっていく。

    北野映画の中ではかなりの異色作になるかもしれません。「アウトレイジ」のような映画の監督と思って観ると良い意味で裏切られます。

  • 北野武監督作品なんですが、コメディ及び暴力的なシーンは殆ど登場しない作品ですので、それらを期待する方にはお勧め出来ない作品です。肝心のストーリーなんですが、松本(西島秀俊さん)は佐和子(菅野美穂)との婚約を破棄し、社長令嬢との結婚を決めるのですが結婚式当日、共通の友人から佐和子が自殺を図った事を聞く。松本は結婚式場から佐和子の元へ駆けつけ、一命を取り留めた佐和子と一緒に世間から逃げる様に旅に出ちゃいます。他、アイドルファンとヤクザの親分の話があり、とにかく不思議な展開をしていく当作品。北野作品が苦手な人には良いかも。

  • 静謐の中に鮮烈な色彩。ふっと梯子を外されるような不条理を噛み締める。

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著者プロフィール

ビートたけし。1947年、東京都足立区生まれ。72年ツービート結成。89年『その男、凶暴につき』で映画監督デビュー。97年『HANA-BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。著書多数。

「2020年 『浅草迄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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