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- / ISBN・EAN: 4934569613202
感想・レビュー・書評
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一途に愛した人と、一途に愛された人の話。
一途さは狂気でもあり、奇妙でもあり、嘲笑の対象でもある。でも本人たちはそれしか見えていないし、それしか知らない。ぶれがない。
それで、幸せなのか?どこか苦しんでいるような感じを受けるけれど、それしか知らないから、そこから逃げられない。むきになっているし、生きにくさも感じていると思う。日々の小さな達成感はあるかもしれないけど、向かう先は破滅的。結末は悲劇か。そうすると、あまり幸せではない?
でも、死んだ瞬間は、ものすごい幸福感に包まれていたと思う。
一途に愛された人は、その思いを受け入れて、その結果人生が変わってしまった。愛されることは、幸せだったのだろうか。
ヤクザの親分は、命を落とすことに。彼の場合はそれで幸せだったのかも。
元アイドルは人を愛し、待つことの辛さを知ってしまった。あんなに人に待たれ愛されていたのに。
松本は、罪悪感→責任感→自己犠牲→道行き。責任感の強さが、悲劇を招いていた。罪悪感は償われたのだろうか。
菅野美穂さんの演技に引き込まれる。空想とも現実ともつかない役を、現実的で、違和感なく、美しく、そして、共感できる対象に仕立て上げたその演技力はみごと。その上、卵のような顔が、文楽人形とダブり、彼女でなければ、この映画は成り立たなかったと思う。
三橋達也さんの演技にうなってしまった。視線の先に、見ているものが浮かぶ。回想シーンでは脳裏に浮かんでいるだろうシーンが浮かぶ。そこにいる感じがする。現実的で、共感できる。演技なのに非常にリアル。さすが。
映像はとてもきれい。それを観て、感じる映画。感じ方も人それぞれ。答えは本人にしかわからない。説明が必要な人は、苦手な映画かも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
残酷な現実に対して息が止まりそうな程美しい色合いの世界。
物語は抽象的で言葉は少ないけれど空気に飲まれてあっという間だった。
恋愛というテーマ以上に死生観を強く感じた。 -
北野武監督。菅野美穂、西島秀俊、三橋達也、 松原智恵子ら主演。
赤いひもでつながれたふたり。かわす言葉などない。そのふたりの近くを通り過ぎては消えるひとびと。哀しみも喜びもただそこにあるものではなく、やってきては通り過ぎるものだと思い知らされる。作品全体は近松門左衛門の人形浄瑠璃『冥途の飛脚』と、日本の四季で包み込まれる。
言葉やBGMはとても少ないのだが、役者の演技がそれらすべてを必要とさせなくなるくらいのものを表現している。それこそ、北野監督の力なのだ。 -
色彩や情緒表現が美しい雰囲気映画
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病的なまでの
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北野作品というのは観終えて良かった悪かったという他に馴染める、馴染めない的な評価かされる映画かと思います。「アウトレイジ」以降 集客の取れる監督に、それまでは、好きか嫌いかとたけし信者的なマニアには評価高かった。
北野作品を酷評していた評論家が「あの夏、静かな海」でガラッと評価が変わった。私は北野作品、観るけどチット馴染めない。暴力シーンは生理的に受け付けません。観終えて、物足りなさやこんな終わり方をするのも北野映画の特徴だと思ってました。
それが大きく覆りました。この映画公開当時 監督北野武は「今までの映画の中で一番暴力的」と言いました。具体的な暴力シーンは描かれてません。
軸となるのは、西島、菅野のストーリーに 三橋、松原のストーリー、深田と追っかけのストーリーが同時進行する。共にハッピーエンドにはならない事は簡単に予想は出来ます。それでも、一瞬 ほのかな希望や、もしかしたらと思わせる。そう思わせた途端に悲しい結末が訪れる。
向かっていった先に悲しい結末が待っている。それを知りながらも向かっていく。
北野映画の中ではかなりの異色作になるかもしれません。「アウトレイジ」のような映画の監督と思って観ると良い意味で裏切られます。 -
北野武監督作品なんですが、コメディ及び暴力的なシーンは殆ど登場しない作品ですので、それらを期待する方にはお勧め出来ない作品です。肝心のストーリーなんですが、松本(西島秀俊さん)は佐和子(菅野美穂)との婚約を破棄し、社長令嬢との結婚を決めるのですが結婚式当日、共通の友人から佐和子が自殺を図った事を聞く。松本は結婚式場から佐和子の元へ駆けつけ、一命を取り留めた佐和子と一緒に世間から逃げる様に旅に出ちゃいます。他、アイドルファンとヤクザの親分の話があり、とにかく不思議な展開をしていく当作品。北野作品が苦手な人には良いかも。
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静謐の中に鮮烈な色彩。ふっと梯子を外されるような不条理を噛み締める。