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- / ISBN・EAN: 4988707544866
感想・レビュー・書評
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1998年 日本 85分
監督:石井輝男
原作:つげ義春「別離」「もっきり屋の少女」「やなぎ屋主人」「ねじ式」
出演:浅野忠信/藤谷美紀/藤森夕子/金山一彦/丹波哲郎/つぐみ/清川虹子
売れない漫画家のツベ(浅野忠信)は、恋人の国子(藤谷美紀)と一緒に安アパートで暮らしていたが、ついに家賃が払えなくなりアパートを追い出される。国子はある会社の社員寮の住み込み仕事をみつけるが、ツベは昔住んでいたボロアパートの隣人・木本(金山一彦)を訪ね、気のいい木本はツベを同居させてくれる。しかし国子の浮気を疑い絶望したツベは睡眠薬を大量に飲み…。
つげ義春の短編いくつかをモチーフにしたオムニバス映画。最初のエピソードは「別離」で、これだけはとても現実的なお話(恋愛のこじれ的な)。ボロアパートの大家役で丹波哲郎が出てきたりして、90年代の映画ってもうすごく昔みたいだなあ。まあそもそも原作に忠実なので作品の世界が昭和なんだけど。浅野忠信もめっちゃ若い。
石井輝男は以前『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』を映画館で見たけれど、あの映画も土方巽はじめ暗黒舞踏のみなさんが奇形人間を演じてのたくっておられましたが、本作でも無駄にオープニングとエンディングに半裸&全裸の暗黒舞踏の皆さんが登場。ねちょねちょ&金粉ショーを繰り広げてくれます。土方巽はもうこの映画のときにはとっくに亡くなっているので、エンドロールで確認したのは元藤燁子(※土方巽の奥様)とアスベスト館の名前でした。
閑話休題。「別離」以外は幻想的というか悪夢的な不条理もの三篇。オムニバスとはいえ一応地続きの世界観となっている。「もっきり屋の少女」は、少女チヨジを演じたつぐみがとにかく可愛い。当時もう二十歳過ぎてるはずだけど、14~15歳にしか見えず、それなのにあんなエロいことになって、背徳感がすごい。よくこんな役引き受けたなあ。今なら二階堂ふみならやるかも。
「やなぎ屋主人」では、海辺の駅で終電がなくなり、泊めてもらうことになった食堂の娘にツベが夜這いをかける。なんか全体的に、監督がそっち出身なこともあり、ピンク映画風。ベッドシーン、って感じじゃないんだよなあ、そもそも蒲団だし、「濡れ場」って言葉がいちばんしっくりくるかも。
最後が有名な「ねじ式」。海でメメクラゲに刺されて腕を切り裂かれてしまったツベは、傷口が開かないようにずっと腕を押さえている。あの有名な立ち姿を浅野忠信が見事に再現。エロティックな女医さんが登場し、またしても濡れ場。そのどさくさで彼女はちゃんと治療をしており、ツベの腕には傷口が開かないための「ねじ式」の器具が取り付けられている。
後半の不条理展開は原作通りで面白かった。あとお母さん(清川虹子)と金太郎飴食べてるシーンとかとても好き。ツベのモノローグが遠くから聞こえるかのようにくぐもっていて、映像の色彩も独特、昭和レトロというか昭和ノスタルジーというか、体験してない世代としてはむしろファンタジーのような世界構築もとても好きでした。 -
『地獄』『盲獣vs一寸法師』ときて直後に『ねじ式』を観たので、うわー最高!と100倍面白く感じてしまった笑。
私がつげ義春を初めて読んだのは20年ほど前なので、もう内容は忘れている。友達が持っていて読んだのが、たしか小学館文庫版の『ねじ式』と『紅い花』だったような。
『ねじ式』はシュールとしか言いようがなく、「イシャはどこだ」「メメクラゲ」「シリツ」しか記憶にない。
それよりも、他に収録されていた作品の方が……若い頃の私にとっては、背中に嫌な汗をびっしょりかくようなものでした。
それからつげ義春の漫画には触れずに時は経ち、赤瀬川原平展で『ねじ式』のパロディを見る機会があったぐらい。
5年ほど前に新潮文庫の『貧困旅行記』を買って読むと、これがたいへん面白くて、若い頃にそんなに理解していなかったつげ義春作品について「そうだったのか!」と少しだけ理解が進みました。(因みに買った理由は早川義夫がつげ義春を大好きだからです。名著『ぼくは本屋のおやじさん』の絵は藤原マキさん。)
さて映画版『ねじ式』。まず冒頭で映画化を応援する人たちの名前が……赤瀬川原平と山根貞男の名前を見つけて「おぉ!」と。
そして、暗黒舞踏軍団?『怪談昇り竜』を観て知ったのだけど、土方巽さんがかつて石井輝男作品に4本ぐらい出てるから、その流れなのと同時に、次の『地獄』に続く。
そもそも『ねじ式』を映画にしても面白くはならないと思うんだが……と思っていたら、全然ちゃうやん!他のやつやん!笑
しかし、私は元々『ねじ式』よりも他の作品の方が好きだったため、そこが良かった。特に最初の2本『別離』『もっきり屋の少女』。藤谷美紀とつぐみが良い。つぐみは『月光の囁き』よりもこちらの方が良かった。が、眉毛が細すぎるわ笑。
『やなぎ屋主人』は猫がかわいいというのと、ハマグリを見て最近はあのへんではホンビノスが……と思ったぐらい。『網走番外地』はたぶん原作からそうなんだろうなと驚く。
『ねじ式』は『ねじ式』だけど特に……。しかし観てるとあぁそうだったそうだったと記憶が蘇っていくのに驚く。特に金太郎飴のくだり。
原マスミさんが出ていて、先日『ピンクのカーテン』を観たばかりなので面白い。駅員役で砂塚秀夫さん。他に杉作J太郎さん……杉作さんは東映系の記事や本を書いてることしか知らないし、読んでもいない。あんまり興味もない笑。
しかしリリーフランキーが
「(自分は)超エリートですよね。デビューが石井輝男さんの映画で、2本目が杉作さんの映画(『怪奇!!幽霊スナック殴り込み!』)。普通、この世にいないですよ」
つってたのはウケる。
この映画で良いのは、やはりフィルム撮影なのとフィルター?のセピア調の色彩。きちんと映画になっているから良い。公園のシーンでマンション?の灯がバックに映るのだけはご愛嬌。
この後の2本は観てて色々とツラかった……まあそれが石井輝男といえば石井輝男なんだろうなとは思えるけど。
ところで、若い頃の浅野忠信はカッコいい。他につげ義春を演じた人物といえば斎藤工。イケメンばかりじゃないかと思うけど、若い頃のつげ先生はイケメンです(異論は認める笑)。 -
1998
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ねじ式のほか、複数のつげ漫画をつなぎ合わせているが、なぜこの作品を選んだのか、また、各作品のつながりというか全体構成の意図が良く判らん。
別々の作品にすればよかったのに。
映画としてはいまいち。 -
【コメント】
つげ義春の漫画「ねじ式」の映像化。
*** ツベはツゲ?
本作は、原作漫画のいくつかの別々の短編エピソード
(多分それぞれ別の主人公)をつなげて、
「落ちていくツベ(ツゲ?)の話し」として再構成
したものなのではなかろうか。
※wikipediaのツゲのプロフィールをみて貸本漫画
のエピソードなど重なる部分をみつけて。
*** 妄想に侵されていく
ツベは国子との分かれを切欠にして、内向きな性格
に拍車をかけていく。彼の悶々と過ごす描写は、
性的なものが多く、それが根底をなしているのは
間違いない。そして意識過剰になり妄想が肥大して
そのなかに落ち込んでいく。
卑猥で淡々としてエンドレスに…
*** 何なのか
学生のころ漫画でみたときの印象は、昭和の懐かしい
ような情景のなかで、まるで夢の中でもがいている
というものだった。どこか暗いじめじめした妖しさを
感じていた。
その作品には何も見出すことはできずに、
ただ不可思議な「つげワールド」に何かを感じとり、
「何か」あるかもしないという興味をもって読んだ。
そんななかで今回の作品は、その「何か」を見つけ
られたのかもしれない。
【内容】
妄想に侵され落ちていくツベ。
その様子を追っていく。
ツベは貸本漫画を描いていた。が生計はなりたたない。
同棲していた国子は、住込みで賄いの仕事をするため
離れて暮らすようになる。そんなある日、国子は他人
の子供を身ごもり、別離。
もともと内向きなツベは、次第にその度合を増して
いき、現実と妄想の境界がなくなっていく。。。 -
なにがねじ式なのか
結局、最後に分かります。
というか、よく分かりません。
「がんばれ、ちよじ!」のとこが好き。
あと、主人公が悶々とするところ。
ちょっと昔っぽい。
あと裸体のオンパレード。
女の可愛さ・性の躍動・男のしょぼさ・古典的良さ。 -
実は漫画は読んだことないけれど、淡淡としていて混沌としていて、浅野忠信ははまり役なんだろうな、となんとなく思った。
世界観に引き込まれる感じがすごい。B級映画かと思っていたけど、結構夢中になってみてた。