宋家の三姉妹 [DVD]

監督 : メイベル・チャン 
出演 : マギー・チャン  ミシェール・ヨー  ヴィヴィアン・ウー 
  • ポニーキャニオン (2004年1月21日発売)
3.67
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013628205

感想・レビュー・書評

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  • 日本人の間では孫文と蒋介石の名前は知られていても、彼らの妻が姉妹とは、意外と知られていない事実だろう。この姉妹には姉がいて、その姉は巨大な富を稼いだ実業家と結婚した。1人は富と、1人は権力と、そして1人は国家と結婚した三姉妹の生涯を、歴史的事実を元に(そして創作も交えて)描いたのが本作品だ。1997年に香港で製作された映画だが、20年後の今も決して色あせることのない美しさにあふれている。3姉妹の女優たちを初めとして、出演している俳優がとても素敵で魅力的である。三姉妹は裕福なキリスト教牧師でもある中国人実業家の家に生まれるため、西洋式の生活スタイルを優雅にこなし、アメリカで教育を受けて育つのだが、一方で彼女らが子どもの頃には市井ではごく普通に弁髪が見られるのである。まるで明治時代の日本を見ているようで親近感のわく光景であった。また途中、孫文が日本に亡命したシーンでは、日本での撮影も含まれているのだが、それもなかなかに美しい。なによりも、DVDには、史実の人物の写真が収められているが、俳優たちがいかに「本物」そっくりかに驚かされる。刺激的で華やかなシーンばかりがこの映画の魅力ではない、むしろ、辛亥革命の空気を肌で感じながらも温かい家庭で幸せに育った子供時代に比べ、運命を自らの意志で定めた彼女らの壮年期には容赦ない運命が待ち構えており、その対比が鮮やかである。高校生の頃に、世界史に合わせて見ても良かったなぁ。

  • 【仮登録】 「中国の三姉妹」と言えば、誰もがメイベルチャンの「宗家の三姉妹」に描かれた三姉妹を思い浮かべるだろうが、ワンビンがキャメラを向けたのは、無名の少女3人である。中国は一人っ子政策を進めているから、おそらくその適用をまぬがれた少数民族なのだろう。

     舞台は、標高3000メートルを超える荒れた高地。たえず風邪が運んでくる切りにつつまれ、一帯は湿りがちで、地面は絶えずぬかるんでいる。ワンビンは、「無言歌」に次いで、またしても西部劇としか思えない辺境の地にキャメラを向け、気の遠くなるような時間をかけ、少女3人を的確に画面に浮かび上がらせる。

     このぬかるみにすっと立ってみせるのが、10歳の長女だ。崩壊寸前の一家を支えながらも、無口で、かれんさからも遠く、いつも仏頂面を崩さず、時折乾いたせきをしながら、自慢そうにジーンズをはきこなし、そのつど、これしかないという姿勢で構図の中心におさまる。この作品ではまぎれもないスターである。監督の指示がないかぎり、素人の少女が、こんな表情でキャメラの前を横切り、床に座り込んで次女の長靴にこびりついたゴミを取り出し、三女の着ている服をたくしあげてシラミを器用に潰すことはできまい。

    優れた映画作家は、誰もが多少のずるさを有している。真摯にずるい監督だけに、はっとする画面が撮れると言っても良い。タランティーノの新作に欠けていたのは、正しくこのずるさである。デビッドクローネンバーグも真摯ではあるが、ずるくはない。ワン・ビンがずるいのは、そのずるさをおくびにも出さないことである。

     三姉妹は、土壁の囲いのような掘っ立て小屋に暮らしている。ベッドは常に湿っており、もちろん風呂はない。ワンビンは、貧困の審美化や社会的矛盾の告発などとはおよそ無縁の、むしろ冷酷な距離を保ちながら、みすぼらしい身なりの三姉妹の寡黙な生の断片を重ねることで、画面を一瞬、一瞬ごとに活気づけていく。

    例えば、祖母の家の中庭で、長女が立ったまま、やや褐色気味の汚れたロングヘアにいきなりくしを入れるロングショット。妹が逃げ出した家畜を連れ戻す場面が終わっても、なお髪をとかしている。誰に見せるあてもないのだろうに、この少女の身繕いに胸を突かれる。妹たちと同じ空間を共有しているはずなのに、ふいに独特な身振りで画面上の孤立を選ぶ。このスター性は、彼女をなかなか座らせようとはしない監督の演出によって、視線をひきつける。叔母の家の食事でも立ったままだ。逆光気味の光線に料理から立ち上る白い湯気がアクセントをそえ、彼女の左右の動きを追うキャメラが薄暗い食事のシーンに素晴らしい運動感を演出する。学校の授業も同様に立ったままだ。授業中、大きな声で教科書を読む姿には涙なくして見ることはできまい。たったまま、大きなカマで鉛筆を削る様子も心打たれる。彼女が次にいつ立つのだろうと画面を凝視せずにはいられない。

    この地独特の竹で編んだ防寒具で全身を覆い、はぐれた家畜を探しに小石を投げながらひとり、はるかな山並みに視線を送るときなど、いつまでもこの画面を見ていたいと思うはずだ。

    【ストーリー】
    びゅうびゅうと風が鳴る。標高3,200メートルの雲南地方の村に、3人だけで暮らす幼い姉妹がいた。長女、英英(=インイン)10歳。次女、珍珍(=チェンチェン)6歳。三女、粉粉(=フェンフェン)4歳。幼い三姉妹は、3人だけで簡素な家に暮らしている。

    母は、だいぶ前に家を出て、父は町に出稼ぎに行っている。近くに伯母さん家族やおじいさんがいるので、時々、仕事を手伝う代わりに食事を分けてもらい、長女のインインが妹たちの面倒を見て、家畜の世話や畑仕事をしながら暮らしている。お腹が空いたらジャガイモを食べる。チェンチェンの長靴は穴が開き、足が濡れて縮こまる。せっせとシラミ退治をする。

    ある日、父親が町から戻ってくると3人に笑顔が広がる。父さんが町に行ってから何年も体を洗ってないんだよ、とフェンフェンは無邪気に自慢する。娘たちのために嫁さんを貰わなくてはと相談する、おじいさんと父親。父親は子どもたちを町に連れて行くことにするが、経済的な問題からインインだけ村に残す。町では子ども3人分の食費はとても稼げないからだ。

    チェンチェンとフェンフェンは父に連れられ、バスで町へ向かった。新しい靴を買ってもらって1人残ったインインは、近所に住む友だちの永高(=ヨンガオ)と馬糞を拾う。おじいさんはインインに“娘は勉強よりも家の仕事が大事だ”と話す。

    大伯父さんの家で開かれた収穫を祝う宴では、ブタを1頭つぶして豪勢なごちそうがでた。やがて、町の出稼ぎに見切りをつけた父親が、妹2人に加え、子守りの女とその娘を連れて戻ってくる。一家は大人2人、子ども4人の大家族になった。子守りの女は、いたずらっ子のチェンチェンに邪険な態度をする。

    父が畑仕事に行くと、女性と子どもは川で洗濯。“世界で一番ステキなのは、私のママ……”と繰り返し歌うチェンチェン。びゅうびゅうと風が鳴る。風に吹き飛ばされないよう、姉妹3人は地面を踏みしめて歩く。

    合計9時間を越える「鉄西区」3部作で世界を驚愕させたワン・ビン監督が、中国国内で最貧困と言われる雲南地方の村に3人で暮らす幼い姉妹の日常を捉えたドキュメンタリー。純粋で逞しい生命力と少女の孤独、その生活から生まれる人間の尊厳を描く。ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門グランプリ受賞作。

  • 一人は富を愛し、一人は権力を愛し、一人は祖国を愛した。
    次女が一番主役っぽかった気がする。考え方の違いで姉妹の仲が悪くなってしまうのは悲しい。

    歴史が動いていくさまがダイナミックで、しかも人間の生き様も見せる深い映画だった。
    革命のために生きる人たちが描かれているのだが…個人としての幸せはどこにあるのだろう。そういう時代の悲しさをひしひしと感じる。

    母の病棟で三姉妹がまた一緒になる場面は泣ける。
    それにしても、こういう中心的な人物の動きひとつで民衆が動くというのは恐ろしいことだ。
    「歴史に<もし>はない」という言葉も慶齢が言うと重い。

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