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- / ISBN・EAN: 4988105028371
感想・レビュー・書評
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──スーパーの中って寒い。
そこが好き。
ここじゃ誰も死について考えない。
余命2ヶ月を宣告された女性。
23歳2児の母、頼りにならない夫と、喧嘩ばかりの母、父は10年前から刑務所、狭いトレーラーハウスでの暮らし。夜勤で清掃員をしている。子どもたちは可愛いし幸せに暮らしている、けど17で子どもを産んだときからずっと生活に追われて「考えるってどうやるかも忘れた」。
死を突きつけられて、「My life without me.」(これが原題。邦題は主題ではないところを取り上げたな…。何故。)について考え、家族には何も告げず普段どおりの生活を送ろうとする。
家族に愛してるを言い、夫以外の男を知ろうとし、新しいママを探したいと思う。そして父に会いに行く。
娘たちが18歳になるまで毎年贈られるバースデーボイスメッセージのカセットテープ(ヴァイオレット・エヴァーガーデンだ!)を吹き込むシーンはさすがにもう、涙なくては観れません。
やりたいことを10個あげたけど、それを叶えていく物語、というわけではない。
満足する死とはなんでしょうね。
「ライオンのおやつ(小川糸)」を思い出しながら観ました。
いい映画だったと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イザベル・コイシェ監督が原作を読んで脚本化し、
ペドロ・アルモドバルの会社に持ち込んだことから映画化されたそうです。
全体としては批判的な部分もあるんだけど、
音楽で例えると、USインディーの匂いが非常に強い映画だったので
★をひとつ増やしました。(カナダ・スペイン合作だけど)
他に近い傾向なのは『人生はビギナーズ』とか。
あれのクリストファー・プラマーの娘の、アマンダ・プラマーが出てます。
が・・・『フィッシャー・キング』の時のかわいらしさはどこへ・・・
まあとにかくこの作品は、出演者が全員大好き!!!濃い!!
そういうところが良いです。
サラ・ポーリーは『ドーンオブザデッド』と
子役時代の『バロン』しか観たことないけどやっぱり良いし、
マーク・ラファロ(ハルク!)も良いし、
デボラ・ハリー!!!!!!!!
『トーク・トゥ・ハー』で昏睡状態だったアリシア役の
レオノール・ワトリング!
キャストが非常に良いんですよね、この映画。
ダメなところは、原題の『My Life Without Me』を変えたのはまだ許せるんだけど、
冒頭のシーンで「You」って言ってるのに字幕で「私」って出るのはもうほんとに・・・
イラァッっとしました。吹替版はどうなってるんでしょうね。 -
死ぬまでにしたい10のこと
題名だけで大まかなストーリーは伝わってくる。だから来るべき日までの道程がどう描かれているのかってところが大事。
お医者さんから余命告知を受けるってどんな気分だろうか?彼女のように「wow 」が第一声で飛び出すのかな?当然だろうけど実感なんて湧かないし、他人事のようにしか聴こえてこないだろうなぁ〜「how long?」この台詞からのワンシーンの彼女の表情は素晴らしい。哀しいけど、すぐに茶化して重くならないようにした。先生との言葉の掛け合いもとても良いです。自然だし優しさがあって凄くいい。
彼女が「死ぬまでにしたい10のこと」がこんなにサクッと出て来るとは思わなかった(笑)最初子供たちへのことばっかりで、なんだかなぁ〜だったけど、後半はちゃんと自分の欲望に忠実で良かった。特に他の男性と…ってところはとても面白いし、俄然興味が湧く。別に浮気を楽しめと思ったんじゃなく、17で初めて付き合った男と子供が出来て19で二人目…あとはろくに仕事もない夫と二人の娘たちとトレーラーハウスで貧乏暮らしなんだもんね。そりゃぁ他の男性と付き合ってみたくてもおかしくないよね。
マークラファロもまだ青年って感じだな。彼は「スポットライト」でもいい役所だったけど僕が知ったのは「はじまりのうた」くらいだから「アベンジャーズ」の後くらいからだなぁ〜それ以前の作品も結構みてるけど印象が薄い。
米国の庶民の食事って結構粗末な感じだよね。彼はチキン二本とポテトだけだもんね…
サンドイッチとかでも食パンにジャム塗っただけ…みたいなの多いよね(笑)それで足りるの?ってよく思うよ。
自分の病気のこと、自分が死ぬってこと、どうして隠すのかな?家族に話せばもちろん大騒ぎになるだろうけれど、黙っている理由がうまく理解できない。家族を悲しませるから?心配させたくないから?けど、体調が悪くなって隠しきれなくなってから告白する方が家族にはキツくないですかねぇ〜僕ならどうするだろうな…きっと直ぐ打ち明けちゃうだろうなぁ〜だってそんな強くないもんね。痛いとか辛いとかって苦手だしね…
お医者さんとのシーンは良いスパイスになっているなぁと感じる。日常生活よりもリアリティがあってここだけが頑張ってない彼女の現実を映しているみたいな気がする。
旦那のノーテンキなピロートークを彼女はどんな想いで聞いてたのかな…作中では愛してるって台詞があるけど、単純にそれだけじゃないのは目に見えてるし、バッカじゃねぇのとか思ってても不思議じゃない。だってトレーラーハウスでほんと米国でも底辺の生活だよ。
それでも愛しているんだよね。とても良い妻で母親で、女としても生きてる…
あら、お父さん「ドクターオクトパス」(笑)面会のシーンでの表情とても良いですね。
何だか痛いとか倒れるとか病室でとか、そういった闘病的なシーンは全然ないのな…
だからこれから彼女は死んじゃうんだって気にならない…一応10あった願い事は叶えるんだけど、パパって片付けちゃうんでありゃりゃ〜て感じになるなぁ〜やっぱり邦題が悪いんだろうな〜10個のしたいことが進むほどに病が進行して…的な流れじゃないのでご注意を…(笑) -
うつくしいいとおしいひとつひとつ。
死を意識してから景色の彩度があがるような
シーンのとらえかたがひとつひとつ
とても大切に大切に扱われている。
ううー うつくしい。
刑務所のお父さんの台詞が本当に泣けてしまった。
人が望むように生きられないと。
ペドロ・アルモドバル監督の映画は
数々心に残っているけれど
シーンの現実感がとてもすきです。
現実感にも希望があって。
病院のタイルも、バンのお家のビーズのカーテンも。
それとヒロインのキャスティングも好みなんだと思う。
色が白くて空気になってしまいそうな。 -
●あらすじ
癌で余命2ヶ月になった主人公。
そのことを家族に隠し、死ぬまでにしたいことを1つずつ叶えていく。
●感想
残していく家族のことを考える場面にぐっとくる。
死ぬまでにしたいことを考えてみたけどなかなか思いつかない。
何気ない日常を大切にしたくなる話。 -
最後に楽しそうに料理をする家族とその様子をベッドから見ているアンの対比が生と死を表していてグッときた。
自分がしたかったこともしてるけれど、ほとんどが残される家族のことを思っての行動で死を目の前にしてここまでできるのが凄い。 -
☆☆☆☆☆なかなかの映画です。
生まれてこのかた、必死に生きてきて、「今まで、あまり考える時間がなかった」と振り返るきっかけになってのが、医師による自分への死の宣告。
そんな彼女だから、残された2〜3週間の余命でやらなければならないと思うことをリストアップし、次々に実行に移していくことに躊躇もない。感傷もない。
死を見つめる以前も、そして死が目の前に迫った日々も必死に生き続ける彼女の姿は痛々しい。
リストにあげられた多くのことは愛する家族のためでも、その中にあった幾つかのことが彼女自身の欲求であったことで、私はむしろ救われた。
こどもにしろ、亭主にしろ、母親にしろ彼らが幸せになって欲しいのは、自分の幸せにつながるからだし、新しい彼氏を作くることを、リストに加えたのも、忙しく生きてきて閉じた世界観しかもてなかった自分の世界観を少しでも、広げておきたかったからだと思う。
そんなことに気が付いてしまう彼女は、生い立ちにおいて、必然的に夢と現実をわきまえて必死に生きることを身につけさせられてきたのだろう。『安らかに』と願ってしまう。
2016/03/31