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- / ISBN・EAN: 4560124809058
感想・レビュー・書評
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Chimera Obscurantのうねりに揺さぶられる。
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ただ聴いているだけでいい
涙がじわりとしてきちゃうんです
型にはまらない洋楽に興味を持つきっかけとなった1枚です -
はじめて、このバンドThe Velvet Teenの曲を聴いたときはてっきりUKだと思い込んでいたのですが、実はカリフォルニア出身のインディーズの3ピースバンド*1です。
しかし、いわゆるカリフォルニアサウンドではなくピアノとストリングスを活かした音づくりとメランコリックで美しい旋律はUS好みの人よりも、むしろUKRock好きに好まれる音ではないかな。
前作に比べノイズや打ち込みを多用した本作は聴く人を選ぶかもしれないけれど、壮大なスケール感を伴った傑作です。
7曲(隠しをいれると8曲)45分強という異例の構成となったこの2ndは、もともとはEPとして計画されていたものが、どんどん膨らんでアルバムとしてのリリースとなったものだそうで、メンバーのVo、Judah Naglerによって本作のテーマは次のように語られています。
「前作の『生と死』っていうアイディアに対比するとしたら、今回は『終わりのない循環』といえるかな。永遠に循環しつづけるサイクルとその内に存在する2面性というかね。(中略)そんな循環しつつ相反する要素を併せ持ったものを、本作では表現したかったんだよ。」
ノイジーなオープニングから一気にロマンティックなピアノの旋律に移り変わり、優美なストリングスとJudahのハスキーなヴォーカルが壮大な音世界を生み出す1→2→3の流れが素晴らしく、ノイズだらけの霧に包まれたモノトーンの世界から、徐々に色彩を伴った別の世界が姿を現すかのような壮大なイマジネーションを感じます。
ライナーノーツによると「『ELISYUM』とは至福の楽園の意味」だそうですが、そのTittleが反語的に感じられるほど歌われている詩はどれも心の痛みを感じさせるものばかり、強い疎外感から世界の破滅へのウ゛ィジョンに変わっていく4.CHIMERA OBSCURANTの壮絶な詩世界と静から動へと移り変わるダイナミックな音のうねりに圧倒されました。
JudahのVoも囁き訴えるような歌い方から、焦がれるような叫びまで多様な表現を見せバックの音に負けない存在感を感じさせます。
「静と動」「ノイズと旋律」様々な2面性をみせつつ、アルバム全ての曲が密接に絡まりあい一つの物語を作り出すこの作品は一度聴いたら一生記憶に残る気がする、そんな1枚です。