テオレマ [DVD]

監督 : ピエル・パオロ・パゾリーニ 
出演 : テレンス・スタンプ  シルヴァーナ・マンガーノ  アンヌ・ヴィアゼムスキー  マッシモ・ジロッティ  ラウラ・ベッティ 
  • 紀伊國屋書店 (2004年5月22日発売)
3.94
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本棚登録 : 92
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4523215006835

感想・レビュー・書評

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  • 1968年イタリア映画。監督・脚本はピエル・パオロ・パゾリーニ。
    テオレマとは「定理」とのことです。
    主演は特に誰と言う訳ではなくて、この家族そのものとそれぞれが主演だと言えます。
    家族の父親役にマッシモ・ジロッティ、母親役にシルヴァーナ・マンガーノ、長女役にアンヌ・ヴィアゼムスキー、長男役にアレドレ・ホセ・クルス、家政婦役にラウラ・ベッティ、そして、この家のゲスト役にテレンス・スタンプと、なかなかの俳優陣が揃っています。

    ミラノに住むブルジョワ家庭の豪邸にゲスト(テレンス・スタンプ)がやってきた。その彼に対して家族はそれぞれが性的な関係を持ち、静かに、しかし確かに、家族の中に波乱を巻き起こしていく。希薄な家族関係に投げかけた性を媒介にした個人の目覚め。こんな状況の家族のある食事の席で彼が述べたのは、この家を去ることになったということだった・・・。

    あるブルジョワ家族を崩壊へと誘ったもの。家族とは異質のゲストがもたらしたそれぞれとの性関係は、本源的な個人の目覚めを呼び起こし、欺瞞な生活からの解放を象徴的に描いています。
    静かに進行する性関係ですが、露骨なものでは全然なくて、逆にそれが観る者をこの世界に引き込むかのような魔性の力を持っていたような気がします。会話もほとんどなくて、あるのはシーンとして象徴的に語られるセリフが主であり、特にこれ以上に物語性というものはないのですが、奇抜な展開と、たんたんと人間の深層面を刺激するかのように進む映像に思わず魅入ってしまいました。また、シーンそれぞれの構図やBGMの選曲、テンポよく進む展開も良かったです。
    女性陣はシルヴァーナ・マンガーノといい、アンヌ・ヴィアゼムスキーといい、綺麗どころが揃っていてこれも見所のひとつです。(笑)熟女の美しさと、大人に脱皮しようとする少女の美しさが滲み出ていたと思います。何かに取りつかれたように性を通じて突き進む内面化の演技は静かなものにもかかわらず、なかなかの迫力ものでありました。ただひとつの難点は、ちゃんと裸体を見せてくれなかったこと。(笑)反対にテレンス・スタンプとマッシモ・ジロッティの全裸(しかも無修正!)はあまり見たくなかった。これが星4つの理由かな。(笑)

    家族の中に闖入したある者との性関係は、完璧なる個性を呼び起こしたのだけれど、しかし、その行き着く先は、没交渉的な内面への沈下か、他者と交わるとしても性交渉としての本能への回帰か、芸術という他者を省みない自己表現への没頭か、あるいは神となるか、そうでなければ、裸で荒涼たる大地をさ迷うしかないという畏れをあるいは表現したかったのかもしれませんね。
    明快な物語でないのでそれぞれの意味するところにわからない部分もありますが、意味をあまり深く考えずに、じっと物語展開の妙を楽しめる映画だったとも思います。

    • 淳水堂さん
      うわあ、これ20年以上前だと思いますが、深夜にテレビをつけたらやってて、気持ち悪いから消そうと思いつつ、ここで辞めたらよけに気持ち悪いから最...
      うわあ、これ20年以上前だと思いますが、深夜にテレビをつけたらやってて、気持ち悪いから消そうと思いつつ、ここで辞めたらよけに気持ち悪いから最後まで見たら、余計に気持ち悪くなった記憶が~~。

      題名も分からず(たまたまテレビでやってたので)、
      イタリア映画とも分かってなくて、
      俳役も知りませんでしたが、
      レビュー読んでDVD表紙見ていろいろと…。
      テレンス・スタンプってアクの強いおぢさんな印象でしたが、若い頃こんなことやってたんですねえ。

      終盤どんどんわけわからず、妻はいきずり相手とヤリまくり、娘は硬直して搬送、息子はキモチワルイ芸術で自己表現(私が前衛芸術苦手なので個人的感想ですが)、家政婦は神に目覚めて宙に浮く奇跡を…ってDVD表紙の上半分って、砂に埋もれて即身仏(は仏教の思想ですけど、キリスト今日のそんな感じの奴)になろうとして目玉だけ出してるのに声は聞こえた場面ですか…、宙に浮いたのは覚えていたけれど、砂に埋もれたのは今思い出しましたorz
      そしてご主人はいきなり砂丘?へ場面転換して全裸で叫びながら歩き去っておしまい、
      ああ、最後まで見たらますます気持ち悪くて眠れないじゃないか~~!!と思った20年以上前の記憶が(苦笑)

      家庭崩壊だの神の啓示?だの、何かの寓話とか社会を皮肉ったりしていたのでしょうかねえ。
      2015/10/19
    • mkt99さん
      淳水堂さん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

      ははは。確かにあまり気持ちの良い映画ではなかったですね...
      淳水堂さん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

      ははは。確かにあまり気持ちの良い映画ではなかったですね~。(笑)
      意味的には全くもって不明な部分も多いのですが、自分は奇抜な展開が面白くてずっと見入ってしまいました!なんだこりゃあ~みたいな感じでしょうか。(笑)家政婦が宙に浮いた時は笑ってしまいました。
      唯一(?)の不満は本文でも書いたとおりシルヴァーナ・マンガーノとアンヌ・ヴィアゼムスキーの脱いだシーンが無かったことで、この映画の趣旨からいってずっと心待ちにしていたのですが、見事に裏切られました。ちくしょー!(>_<)
      自分もテレンス・スタンプが若いのにはびっくりしましたが(笑)、逆に無修正ヘアーは見たくなかったです。逆にこちらの方で気持ち悪くなりました。(笑)

      1968年というと、フランスでは五月革命があったりしてブルジョワ階級への攻撃が熾烈だった時期ですので、全体としては何かこういったことに対する寓意が込められていたのかもしれませんね。個々の異常行動については「個性」の開花というつもりなんでしょうかねぇ?(笑)
      2015/10/19
  • 謎の男の介入で崩壊する家族。
    前半わけがわからず退屈だが、後半は反復があり、意味が生まれ、おもしろくなる。

  • いつの間にか物語が始まるところには戸惑うが、ほとんど無言劇といってもいいほどのドラマにどんどん引き込まれていくのである。なぜ「彼」がやってきたのかは結局、明確に示されないのだが、最後のあたりで女中が示す「奇蹟」によってヒントが示されている。要するに、これはヨブ記ですね。

  • 壊される平穏と乱れる人間

  • あらすじ
    イタリア映画界というより、イタリア文化全体の異端児でありスキャンダリストであるピエル・パオロ・パゾリーニが、「アポロンの地獄」についで発表した作品。“聖性”をひめた青年の来訪によって家族全員がその青年と、性的に結びつき、崩壊にまでみちびかれてしまうブルジョワ家庭を描きながら、その寓話的語りのなかに現代への鋭いメッセージと、未来への啓示をこめている。

  • ピエル・パオロ・パゾリーニ監督の有名な1968年作品。
    いつものように優れて「演劇的」な映画であり、通常の映画ロマネスクに見られるような日常性は閉め出されている。
    最初から演劇空間は神話的であり、そこではあらゆる奇跡がゆるされるだろう。
    ストーリーは有名なので知っていたが、ある青年(「神」と見なされている)がブルジョワ家族の家に滞在。一家4人および家政婦1名と性交渉をむすび、やがて去る。実はここまでは前半で、この後、時間をかけて、「神の啓示」を受けた5人が変容し、さすらう様子が時間をかけて描かれている。
    「啓示」から後の出来事はすべて個人的な物語となるため、家族はたちまち離散する。ある者は硬直症となって病因に搬送される。ある者は前衛アートに目覚めてアトリエに閉じこもり、ある者は性を求めて茫漠とさまよう。またある者は中空に飛翔する奇跡を起こす聖者となり、また聖者として自ら死を選ぶ。そして最後の者、パオロは財をなげうち、文字通り全裸となって荒野をさすらう。
    20世紀のイタリアが舞台なのにまったく生活臭がなく、整然とした「演劇」として峻烈に語られるこの映画は、やはり「映像」によってつむがれた神話としか言いようがない。不自然とかしらじらしいなどという隙がないほど、見事に全面、虚構的である。
    神話=王権=共同体=演劇、この循環はまさに人類/文化をなまなましく表出するものだ。パゾリーニはやはりアントナン・アルトーとよく似ている。

  • 一人の青年がブルジョワ一家に突然来訪、全員が彼に魅了され、彼が去ったあと一家は崩壊する。作られたのが五月革命の時期だそうでブルジョワへの皮肉がひしひしと…強烈な映画でした。

  • 0076

  • 観終わった瞬間、うをーーーー意味不明ーーーーー!!
    と思った。笑
    久しぶりに気持ちの良いほど観念的な映画だった。
    家族が崩壊していく、要するにそういう話だったと思う。

    ある家族に、
    誰だか分からない謎の男が来て、
    家族のものは一人残らず彼に夢中になり、
    そして彼が去ると、
    彼らは次第におかしくなっていく……。

    すぐに裸になります。
    砂かぶります。
    宙に浮きます。
    手開きません。

  • パゾリーニ節(←私が命名)が
    楽しめる作品ではないかと。

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