ヤンヤン 夏の想い出 [DVD]

監督 : エドワード・ヤン 
出演 : ウー・ニエンジエン  エレン・ジン  イッセー尾形  ジョナサン・チャン  ケリー・リー 
  • ポニーキャニオン
4.07
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本棚登録 : 135
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013722507

感想・レビュー・書評

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  • 様々な人生が、内側に、生きることの悲しみ、朝起きることの恐怖、などを抱えながら交差する。

    遠景のショットで印象深いものか多数ありました。

  • 弟の結婚式の後、ヤンヤンの祖母が昏睡し、そして、亡くなるまで。E・ヤン監督は主張しないけど、静かに伝えてきます。何気ない日常を過ごしているように見えても、この同じ時間にも人生には色々なことが起こっている。淡々と描かれる、父の初恋の相手との出会い、娘の初恋、ヤンヤンの異性への関心。クラシック音楽をきっかけに結ばれる父と大田との友情のエピソードもいいですね。遺作とのことですが、余人に真似難い良質な作品となりました。

  • 少年ヤンヤン、父、母、姉、祖母……一応この一家の危機を描いた群像劇ではあるけれど、けっきょく、人間は孤独であり、各個人の人生はその人自身のものでしかない、という厳しい現実を、ヤンヤンのユーモアとともに描いているのだと思った。
    そしてその真理をもっともよく知っていたのが幼い賢人ヤンヤンだったことが、終盤になって分かる。

    恋は成就しないものだということ、本作で姉が育てている花は時間という養分を吸って花咲くだろうこと、東京を走る電車の美しさ、祖母の死が発覚する場面のすばらしさ、本作に流れる哀愁について、……とにかく書きたいことがありすぎて困る。

    でもいちばん言いたいのは、もっともっと多くの人に本作を観て欲しいということ。たかが私ひとりが観るだけでは足りない、多くの人が本作を観ることで、本作はまだまだこれから豊かになりうるだろうし、その人たちがした発見すら味わいたい。

  • これは見応えのある作品だ。

    一つ一つの画面が実に豊かに表現され、また見事に次につながっていく。東京と台湾とで、親と子どものラブストーリーが重なる見事さ!
    個人的には、牯嶺街少年殺人事件よりもこっちかな。
    セリフのほとんどないヤンヤンをめぐる物語もユニーク。
    イッセー尾形も味わい深い役どころ。やや長いのがネックではあるが、映画好きが好む作品。

  • エドワード・ヤンの作品に興味を持ち、よくタイトルをきくこちらの映画から観る事にしてみました。
    ステキな邦題ですが、実際のストーリーとは違う気がします。これはヤンヤンとその家族、皆の日常を写した作品です。むしろヤンヤン以外の家族の日常の方が印象的でした。
    淡々とした映画だと思います。観ていくとラストはなんとなく想像が出来たし…でも星4です。ラストに行くまでの過程が楽しめたから。私は好き。
    台北の街と、台北の人たちの暮らしも見ることが出来て大満足。どのシーンも美しかった、好み、台北に行きたくなりました。

  • 無駄なシーンを排除したジェットコースター的展開という映画とは対極にある映画。ざっくり日常を切り取って、のんびり話が進んでいく。しかし、真実は細部に宿る、その一見無駄と思われるところにドラマの味がある。拡大ルーペで見るような効果がある。見終わって頭の部分をもう一度見た。

    話の中心は男女の関係、家族の関係という暗い話が多いのだが、そこに子どものヤンヤンの話が挟まる。誰にも理解されない蚊をとろうとした写真や後頭ばかりの写真。いたずらばかりしているのだが、生きることに真摯であり、アイデアは個性的だ。いいアクセントになっている。

    こうした日常を切り取った映画は好きだけど、3時間も映画館で見るには勇気がいる。テレビで休み休みに見たが、映画館だと物理的に疲れそうだ。テレビドラマでもいいような気がするが。どっぷり映画の世界に入り込んで見るのだろうか。

  • 悲しいことはあるのである。でも前向きであることの素晴らしさ。同じエドワード・ヤンの光陰的故事に登場する少年はすこぶる前向きで、いつだって未来の話をする。そしてその未来は明るい。
    楽しいことも愛おしいことも悲しいことも、みな抱きしめてそれでもきっと明るい未来。肯定する映画。

  • 十年ひと昔、というならば、と考える。

    2000年の映画である。撮影してたのはもちょっと前かもしれないが、15年も前になる。ああ。

    四方田犬彦の台湾の本を読んでいたらエドワード・ヤンという監督の話が出てきて、そういえばこのひとの映画、たしかみなみ会館かどこかでみたよなー、たぶんこれのはずー、と思っていたら、DVDが手に入ったのでみた。

    感動、というよりはきらきらしている、きらきらしている、というよりは、またたいている、というようなひとびとのすがたがとても良かった。そして、わたくしが去年(2014年)に行った台湾とおなじ台湾の部分がこの映画の中の台湾にもあってうれしくなった。また行きたい。早く行きたい。

    あと、鏡や窓にうつる外の景色や部屋の中の様子、という場面が数多く出てきた。道路を行き交う車のヘッドライトなんてもはや自然光みたいなものだろうけど、そういったものがとても美しく画面内にとりこまれていて、印象に残っている。

  • (2000年作品)

  • 別に幸せなことなど何ひとつ起こらないと知っているのになぜ人は目を覚ますのか? ずっと眠っていればいいではないか? この映画の登場人物たちはたぶん皆自問自答しているのだろうけれども(お姉ちゃんは実際何度もそう口にしているし祖母は勢い余って永眠してしまった)、ヤンヤン(と太田)は素晴らしい贈り物をくれた。それはつねに挑戦を恐れないということと、生まれてくるものたちに目を配り、未来に希望を持つことである。これらは生きることを今よりもずっと積極的なものに変えてくれるだろう。人間はただうちのめされるだけが能ではないということをヤンヤンとその家族は行動で教えてくれた。

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