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- / ISBN・EAN: 4988126202187
感想・レビュー・書評
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人生で何度目かの鑑賞。
新井さんが出てくるということは…つまり不穏です。
昔観た時は、身体障碍を持っている方とのラブストーリーってとこにしかフォーカスしていなかった。
今観るといろいろと思うことがある。
世間体を考えて、障碍を持った人の存在を隠し、障碍に対して「こわれもの」という言葉を使うこと。その、差別や偏見。存在を隠されたことによる教育の機会のはく奪。貧困。障碍者の養育には不適切な環境。
雀荘でバイトをしながら、女の子とヤることしか考えてない大学生の恒夫(妻夫木聡)。彼が恋をしたのは、田辺さんの小説の主人公らしい、気が強くてわがままな、足の不自由な女の子(池脇千鶴)。
作品としてはリアルな終わり方に、初めて観た時はびっくりした。恒夫は、大切なものはしっかり大切にできる人だと思ってたけど、さほど真剣に考えていないだけなのかもしれない。でも、恋ってそういうものでもあると思うんだ。
今回は、おいしそうなご飯の描写につい目がいってしまい、和食と明太子が食べたくなった。
トンネルの中の描写、写真とナレーションで始まるオープニング。
その曖昧な輪郭。
恋をしていることの悦びが、そのシーンをさらに引き立てるのか。
くるりの心地よいビート。
邦画って、いい。 -
「なあ、目とじて。何が見える?」
「なんにも。真っ暗。」
「そこが昔、うちがいた場所や。
深い深い海の底。うちはそっから泳いで来たんや。」
「なんで。」
「あんたとこの世で一番エッチなことするために。」
そうか、これは人魚姫だったのか。
そして、引き籠りで本の壁に囲まれてしわがれ声で賢い少女…というとヴィクトリカ・ド・ブロワですね。
普通の大学生恒夫が下半身不随のジョゼに出会って、恋をして、という映画。
純愛、とか、青春、とかそういう感想にはあんまりならないかな。
弱さを描いた物語だと思います。
存在感がすごい池脇千鶴のファンです。 -
大阪寝屋川のバラック板張り平屋集落に暮らすジョゼは生まれつき足が萎えていて外出するにも乳母車に乗せてもらっています。養育する祖母は彼女をこわれものといい、穀潰しである彼女を世間に出そうとはしません。そのため、既に二十歳を超えましたが未就学です。大阪貧民地区の雰囲気も再現できています。独学で高校の教科書を読み、サガン好きな彼女は聡明で自らをジョゼと名乗ります。一方、三流大学に通う恒夫はイケメンで女に不自由のない毎日ですが、同情心から愛が芽生え、彼女との生活を始めますが、覚悟はありません。そんな彼を見抜きながらも、動物園で虎を見て、初めて海を見る、ラブホで凄いエッチをする、そんな時間を大切にしています。外の世界を知らなかったジョゼが青春の輝きを知った大切な時間でした。田辺聖子の顔があります。酸いも甘いも、そこには人生がありました。
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唯一の家族であるばあちゃんからは「壊れ物」と呼ばれ、
それまでずっと閉鎖的な環境で生きてきた足の不自由な少女ジョゼ。
そんな彼女がごく普通の大学生主人公『恒夫』と衝撃的な出会いをしてからというもの、
それまで光が射す事の無かった彼女の生活がどんどん変わって行った…。
観終って思い返してみると、
特に美しい映像なんか、無かった。
ジョゼの暮らすあばら家。
ゴミから拾ってきた大量の本。
生活臭、
血、廃油、性、死の匂い…
夢に浸っている時くらいは嗅ぎたくないなぁ~(笑
的な匂いがぷんぷん漂ってはいた。
でも、
ジョゼを通して眺めていると、不思議と目で見てる光景が
浄化されて行く様な気がした。
着飾る事もなく、
人が捨てた本で世の中を学んできた彼女の濁りの無い魂が(その生き様を心で見て。)と、妖精の様に飛び回っていたのだ。
もしかすると、
切ない恋物語、だったのかも知れない。
でも、
心に残ったのは
純粋すぎる一人の少女が魅せてくれたファンタジー映画の様だった。
それは、現実から逃避したお伽語じゃない。
自らは光を発する事のない世界だが、闇を照らす光は必ず降り注ぎ、人は生きられる事を知っているジョゼが見る世界の(初めて)が、あまりにも美しくて。
人目を忍んで暮らしてきたジョゼが
「散歩には出たい」と言い張った理由がいいなぁ。
「猫とお花が見たいから…。」って。(^^♪ -
あぁ、池脇千鶴さま…
前々から彼女と永作博美の脳内近接状態が存在しており、奇しくも前夜に「八日目の蝉」(2011) を通して関西弁を操る彼女に出くわしていたがゆえにその状態が継続しかねなかったのだが、本作の鑑賞を通してこれぞ彼女の代表作と呼べる作品に出会えたという確信を得るに至り、結果その近接状態は解消されることになりそうな予感である。
正確には彼女演ずるジョゼに惹かれていったということだというのはもうひとりの主人公、恒夫が面した状況と右に同じ。
褒められて味見を差し出すところとか、
サガンに反応する恒夫に興奮する様とか、
活字を目で追いながら微笑む様とか、
風を切りながら「おもろい…」とつぶやく様とか、
「あの雲、もって帰りたいわ…」てな感性とか、
普通にヤキモチ焼くところとか、
「帰れって言われて帰るようなヤツははよ帰れ!」なんて言いながらバチバチたたくとか、
「嘘や…」と言うタイミングとか、
リアル金井晴樹にニヤつく様とか…
ほれてまうやろー!!(苦笑)
彼女の出演作はまだまだ追いきれていない。最近では「男はつらいよ お帰り 寅さん」(2019) や「十年 Ten Years Japan「その空気は見えない」」(2018) あたりであったが、彼女の映画出演歴も本映画祭の趣旨に沿うべくちょうどこの過去20年にわたるもののようなので、きちんと追いかけゆくとしよう。
おばぁを演ずる新屋英子、強烈な既視感はどこから来るのかと思って鑑賞後リンクを追うとそれは「学校」(2003) だったということで一安心。またもやきしょくわるい役を好演する森下能幸については画面に写った瞬間判別できるほどレベルが上昇した感がある(笑) 新井浩文に至っては本映画祭を通してすでに三本目、くだらない偏見や世間体で彼の関わった作品を封印するような社会とは縁遠い環境にいることを改めて幸せに思うと同時に、彼の出演作群こそこれまたこの20年を物語るのに最適なのだということに気づいて少し寂しくなったりも。
犬童一心監督作品はまだ即座に反応できるほど進級できていないが、それでも「眉山」(2007)、「引っ越し大名」(2019) は拝見済み。まずは手元にある「猫は抱くもの」(2018) から着手するとしよう。
割と前半、駅改札での見送りシーンで後ろにある西寝屋川署の立て看板が目に入って深読みし過ぎたりもしてしまったのは最近超常現象モノを観すぎているせいらしく、これはこれでご愛嬌。結局の所おさらい上映会でつかみ取ることができたのはサガンによって綴られる男女のくだりこそがその本質だったということ。そんなサガンを引用することにした原作者が田辺聖子だったというのにも驚き。彼女の名は司馬さんつながりで関西が生んだ賢者たちの一人としての印象が強かったもので、これを気にこんな、ときに胸にチクリとくる様な彼女の筆致にも改めて触れたくなったというのが正直なところ。
くるりのサントラも聴きたーい!-
keiさん、(こちらでは)おはようございます。池脇千鶴、私は顔があまり好みではないんですが、そんな私でも良いなと思わされたのが『パーマネント...keiさん、(こちらでは)おはようございます。池脇千鶴、私は顔があまり好みではないんですが、そんな私でも良いなと思わされたのが『パーマネント野ばら』です。あと、脇役で出ているとグッとくることが多いです。『凶悪』とか。
『ジョゼと虎と魚たち』は未見で、観なければなあと思ってる一本ですので、そのうち観てみますね。2021/02/16 -
おぉ。コメント感謝です!私も彼女の最近の三十路半ばの優等生然とした役どころは脇役としての分をわきまえてるという感じであまり惹きつけられてなか...おぉ。コメント感謝です!私も彼女の最近の三十路半ばの優等生然とした役どころは脇役としての分をわきまえてるという感じであまり惹きつけられてなかったのですが、今回二十代前半の華麗に関西弁で悪態をつく彼女の役どころにコロリとやられました。出身も大阪だということは今回初めて知った次第でして。オススメいただいた作品、大いに楽しみにしてリストに加えさせていただきます!2021/02/16
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GMNTさん、オススメいただいた「凶悪」、早速観れました!
実のところ英題表記「The Devil's Path」だけをみて鑑賞開始し...GMNTさん、オススメいただいた「凶悪」、早速観れました!
実のところ英題表記「The Devil's Path」だけをみて鑑賞開始したので、観終わってブクログに登録しようとして「あれ?なんでもう登録されてる!?」と混乱していたのですが、お恥ずかしながらココつながりでした(苦笑) 池脇千鶴さま、本作でも優等生然ではあったものの人間味あふれる印象的ないい演技で魅せてくれていました。この先のリストの消し込みが楽しみになってきました!2021/02/19
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毎日をなんとなく過ごす普通の怠惰な大学生・恒夫は、或る時、老婆が巨大な乳母車を引いているところを目撃する。その乳母車から顔を覗かせたのは、自分と大して歳も違わないであろう少女・ジョゼ。この出会いが、恒夫の世界を、そしてジョゼの世界を変えていく・・・。
久々に観ました。妻夫木くん若っっ!
最後に恒夫がした選択は等身大だと思う。
ずるいし、弱いし、情けないけど、これが一人のフツーの男の子にできる精一杯のことで、彼の自己嫌悪や悔しさ、自己正当化も全て込みで、恋だなぁと思う。
本人の演技力なのか、持って生まれたものなのか分からないけれど、これを嫌味でなく演じられるところがすごい。
フィクションだと分かっていてながらも、思わず「二人とも今でも幸せでいてほしい」と願ってしまうような作品。
最後のジョゼの姿の力強さに涙がこぼれる。 -
☆~全うできない青く未熟な愛~☆
もしも私がジョゼ(くみ子)だったら・・・
もし、私が恒夫だったら、と考えました。
そして誰にでもあったろう若かりしの苦い愛。
恒夫は背負えなくなった愛を「僕が逃げた」と正直に言った。
そして、くみ子は、F・サガンの主人公ジョゼ、
動物園の虎、水族館の魚たち・・・
自由に外へ出られないくみ子を表わしていた。
ところであのお魚の館ってモーテル行ってみたいと思いませんでしたか?
ベッドがなんと!ホタテでしたね。 -
ちょっと泣いた。
きれいごとにしてしまわないあたりがいいな。
主人公の男の子はこれからもきっと恋愛するし結婚もするだろう。ジョゼにとっては最初で最後かもしれない。
一世一代みたいな恋愛が終わっても日常って続くんですよね。
そんなラストがとっても素敵でした。 -
田辺聖子さんの原作は昔々に読んだきりですがとても好きだったので借りました。映画の空気もとても好きです。透明で切なくて。好きなときに別れる、それを決めたジョゼが強いと思いました。人を愛したら、人は強くなれるんだな。池脇千鶴さんのジョゼが可愛かったです。妻夫木さんも恒夫の明るさと弱さが感じられました。江口のり子さんだ…なんだか好きなのですこの女優さん。新井浩文さんも良かったです。
こんばんは!
コメントありがとうございます^^
>現実の恋を知らなくて、でもブンガクやなんかでいろいろ知った気に...
こんばんは!
コメントありがとうございます^^
>現実の恋を知らなくて、でもブンガクやなんかでいろいろ知った気になっていて、口を開けば辛辣な言葉が出てくる、文学少女たちのメタファーが足の動かないジョゼだと。
わかります。
簡単にわかる、と言っていいものか悩みましたが、感覚的に、わかるものがあります。
知った「気になってる」というのが重要なんですよね。現実世界では、生活もコミュニケーションも含め、文学世界のようにはいきません。
だけど、「知らない」ことを悟られなくない、「できない」と思われたくない、そんな少女の必死さがあるように感じました。
わかると言っておきながら、途中からなんだかずれましたね…すみません。
『影裏』、紀伊国屋書店でポスターを見かけてから、非常に気になってました。まだアマプラで観れないんですよね…ウォッチリストには登録してるので、気長に待ってみます。
今、また見直したんですね!
これは良い映画ですよね!
これを見てた頃、まさにサブカルクソ野郎だった頃…くるりも大好き...
今、また見直したんですね!
これは良い映画ですよね!
これを見てた頃、まさにサブカルクソ野郎だった頃…くるりも大好きだったし、
この当時付き合ってた彼女がこの映画大好きで、何回も見ました。
結末がハッピーエンドじゃないところは残酷には映るかもしれないけど、あれで良かったと思います。この映画に関しては…
障害がある子だろうが、健常者だろうが
このぐらいの年代なら付き合って別れての繰り返しなんで、むしろ自然かなと
こんな事言うと女性から反感を買うかもしれませんが…
池脇千鶴のおっぱいは色んな意味で衝撃的でした。
この映画の余韻がまだ残っているなら、
「今日のできごと」って映画もオススメです
長くなってすみません…
こんばんは!
コメントありがとうございます!!
まあ、サブカルクソ野郎は全員この作品通ってますよね(笑)...
こんばんは!
コメントありがとうございます!!
まあ、サブカルクソ野郎は全員この作品通ってますよね(笑)
わたしも初めて観た時は、長らく付き合っていたサブカルクソ元カレと一緒だった気がします(笑)
あの終わり方だったからこそ、こうして長年愛されている作品となっているnかもしれないですよね。
難しさ、うまくいかなさを描いている部分。
個人的には、障碍の有無問わず、ジョゼのわがままさとか、やっぱり長くいるとしんどいんじゃないかな…なんて思いました。
以前より障碍の印象が薄くなっていて、その感覚が不思議でした。当時よりも恋愛経験(こじらせ多め)を積み重ねて、恋愛にフォーカスして観るようになっていたとか…?
大丈夫、サブカルクソ元カレも大好きでした、池脇千鶴のぱいおつ(笑)
きょうのできごと、なんか観たことあるような気がしてきました。でもだとしてもずっと昔です。初見と同じ感覚で観れそうなので観てみようかな。