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- / ISBN・EAN: 4527427626430
感想・レビュー・書評
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ごくごく普通の中学教師が、プルトニウムを盗み出して自らの手で原爆を作り上げ、国家に挑戦していく姿を描いた、伝説の監督・長谷川和彦による反体制的ピカレスク・ロマン。
一見荒唐無稽風でアラも多いが、それを凌駕(りょうが)する映画のパワーに満ち満ちている快作であり、20世紀を代表する日本映画の1本にこれを推す者も多い。
特に、前半の原爆を製造する際の描写が秀逸だ。
いつも風船ガムをふくらませている頼りなげな犯人を沢田研二が好演。
また、彼が要求する事項が「TVのナイター中継を最後まで見せろ(79年当時は、放映時間が定められていたのだ)」とか「ローリングストーンズを日本に呼べ(当時、彼らは麻薬所持のせいで日本に入国できなかった)」と、何とも時代の空気を感じさせる。対する体制側には菅原文太というキャスティングの意外性もおもしろい。
当時人気絶好調だった沢田研二が、よれよれのスーツでだらけている表向きの顔の裏でプルトニウムを奪って爆弾を作って政府と勝負しようとする主人公を飄々と演じ、主人公と対決する刑事を菅原文太が演じています。沢田研二が警官から催眠ガスを使って拳銃を奪うシーンをユーモラスに描いているところやプルトニウムを奪うシーンのコマ送りでインベーダーゲームの擬音も織り込んでオフビートなテンポで描いているところや原子爆弾を製造する過程を緻密に描いていたり、沢田研二が原子爆弾で政府に要求する内容の大人げなさすぎることや警察に奪われた原爆を奪い返してパトカーが横転しまくるカーチェイスに突入するなど、ヤバくてクールな内容は20年以上経っても変わらない面白さです。 -
‘’原爆を手に入れても、大してやりたい事は無かった。‘’
漠然とした鬱屈はあれど、満たさていた時代の刹那。 -
36年前の作品とは、思えないです。もちろんぶっ飛んだストーリではありますが、よくできてます。なつかしい名優たちの演技を見ているだけで、値打ちがあります。伊藤雄之助さんは、すごい。沢田研二さんは、いい男。菅原文太さんのタフネスぶりは凄い。相米慎二さんが助監督で参加しているのも印象的。邦画の力を感じました。
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中学校の理科教師・城戸誠(沢田研二)が東海村の原発から強奪したプルトニウムで原爆を作り日本政府を脅します。荒唐無稽で突っ込みどころ満載ですが、ポップでチープな演出は癖になります。城戸誠の狂いっぷりや山下満州男警部(菅原文太)の不死身っぷりが面白く、劇伴も印象的です。本作ほどエネルギッシュな娯楽邦画はなかなかお目にかかれないと思います。
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TSUTAYA発掘良品コーナーにはかなりお世話になってるけど、
もし発掘良品に邦画部門があったら必ず入る作品。
邦画の方が新旧問わずあまり詳しくないので、
TSUTAYAさんも作ってくれたらいいのになぁ。
友人の薦めで観ましたが、ものすごい作品。最高。
長谷川監督はなぜ映画を撮ってくれないのか。
最近、'70年代の狂気についてよく考える。
狂気というよりも、'70年代って今現在アングラ的なものが
オーバーグラウンドに普通にあって。
ベトナム戦争や70年安保、学生運動etc.・・・
時代背景含め、色々と知りたい一環なのだけど。
漫画で言えば永井豪、ジョージ秋山。諸星大二郎。
音楽で言えばキャンディーズ。
アメリカ映画だとアメリカン・ニューシネマの後の方。
そしてパンクムーブメント。
'80年代に入ると、映画も音楽も漫画も
表面にプカプカ浮いてるものと、底の方に沈んだものと
完全に分かれてしまいますね。
この映画は、そんな'70年代も最後の方の作品。
脚本はポール・シュレイダーの兄のレナード・シュレイダー。
内容も良いですが、音楽も良い。
繰り返し流される「YAMASHITA」のテーマ。
山下=菅原文太兄ィ扮する山下警部。
この映画を観る前に『ヱヴァ破』を観たんだけども、
この「YAMASHITA」が流れるシーンが最高なんです。
『破』自体はそんなに良いと思わないけれど、あの朝のシーンは最高。
で、これ作曲したのは井上堯之さんなんだけど
井上さん+ジュリーっつったらPYGやねー。
『帰ってきたウルトラマン』の第34話「許されざるいのち」を思い出す。
そんな'70年代。-
レス長くなるので2回にわけました。
映画自体もそうなんですけど、邦画は今までそんなに観ていなくて。文学作品もそうです。
ただ、尻尾のような...レス長くなるので2回にわけました。
映画自体もそうなんですけど、邦画は今までそんなに観ていなくて。文学作品もそうです。
ただ、尻尾のようなもの、自分の好きな傾向はなんとなく掴めている気がするのでそれで掘り下げてる感じですね。
僕自身も70年代は記憶として全く無い世代ですので、映画以外の他のもので補完して俯瞰してる部分が多いです。
カウンターカルチャーというか、米ヒッピー文化に対しては眉唾で不信感があって個人的には好きではないのですが、単純におもしれぇな~と思ってここ数年すごく興味があります。
日本の場合だと、『あしたのジョー』にしろ浅川マキにしろ、何を掘っても寺山修司だったりして・・・
こっちの方が気になりますね。
大島監督、若松監督作品も殆ど観てなくて・・・実は先日借りに行ったんですけど、TSUTAYAはほぼ全滅でした。ビデオとDVDの切り替わった時期のせいで、レンタルでは今観られないものが多いですよね。『戦メリ』すら無いっちゅう(笑)。
亡くなったのでやっとソフトが棚に並び始めるという皮肉というか・・・。
あとはTSUTAYA発掘良品でなんとか、って感じで。『マイ・レフトフット』とか観たいんですけどずっと無いですし。
邦画、大手六社で言うと昔の作品の方が面白いんじゃないかな?と思ってるんですよ。
東映の実録シリーズや東宝の岡本喜八やら・・・
最近の東宝の予告を観ると、原作がマンガだったり配役もありきたりだったりでなんだかげんなりします・・・。
その代わりに、大阪芸大勢とか面白くなってるのかな、と。
なんか、話はそれましたが・・・まとめるとやけっぱちさんの一ファンですよ、ってことですね。
それこそ僕なんかが偉そうですけど、若いのにセンスあるなあ!といつも唸ってます。いやほんとに。
というわけでこれからもよろしくお願いします。
色々と面白いことを教えてくださいませ。
僕もなにか気付いたら強引に?コメ欄ででもお知らせしますので~。2013/05/04 -
あやかし古書庫〜への花丸ありがとうございます。
本棚、拝見させていただきました。
「太陽を盗んだ男」、好きな映画の一本です。
あの...あやかし古書庫〜への花丸ありがとうございます。
本棚、拝見させていただきました。
「太陽を盗んだ男」、好きな映画の一本です。
あのラストシーンが凄く好きなんです。
そして「許されざる命」、帰マンの中で一番好きなストーリーです。
挿入歌に使われた「花・太陽・雨」にもハマり復刻版CDまで買ってしまいました。どちらも年に一度はDVDを引っ張り出して観ています。
ジュリー&長谷川和彦(脚本担当)の作品は「悪魔のようなあいつ」もおすすめです。2013/05/09 -
「悪魔のようなあいつ」、原作が復刊された時に漫画であるのを知りました。
DVDレンタルでもしあれば、チェックしてみますね。
「許されざるい...「悪魔のようなあいつ」、原作が復刊された時に漫画であるのを知りました。
DVDレンタルでもしあれば、チェックしてみますね。
「許されざるいのち」、僕らの世代だと「ゴジラVS.ビオランテ」があって、脚本家が同じ方なので後で観てあーっ!となりました。原典というか。
最初はPYGの曲が急に流れてきたので違和感があったんですけど、何度も曲を聴いているとよくなってきて・・・。
一番好きというか、印象に残ってるのは
ベタですけどやっぱり「怪獣使いと少年」ですかねー。2013/05/10
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こんな虚無感を抱えてまともに生きていくことはできないけど何がしたいのかと自分に問うてもさっぱりわからないのでとりあえず使うあてのない刃を研いでなんとか希望を繋ぐしかないのです、というこの感じがもう、すごい。
主人公にとって原爆は退屈な人生の中での唯一の希望であり、可能性でもあり、それが無くなれば空虚すぎてやってられんという感覚は非常によくわかる。おかげで終始、そうだ!やっちまえ!(俺の代わりに!)と思いながら観ることになった。
最高にかっこよかった。大切な映画になりそう。 -
核爆弾を取り扱った映画である。
ある教師が、核爆弾を作成する事を画策し、それを実行に移し、あろうことが成功し、核爆弾で政府を脅す、という映画である。
だと言うのに、昨今の、いわゆる「製作委員会」にお伺いを立てた結果としての同調的な正しさの垂れ流し、言い換えれば説教くささが完全に脱臭されているところがすごい。
昔の日本はこんな映画を作れたんだなぁ、と感動した。