雲のむこう、約束の場所 [DVD]

監督 : 新海誠 
出演 : 吉岡秀隆  萩原聖人  南里侑香  石塚運昇  井上和彦  水野理紗 
  • コミックス・ウェーブ・フィルム
3.41
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本棚登録 : 1021
感想 : 188
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4560107150160

感想・レビュー・書評

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  • すずめの戸締りを観た後、アマプラでまた新海誠が見られるようになっていたので、いくつか再鑑賞したわけですが、これが一番好きだなーと思いました。
    地元じゃやってなくて、関東まで観に行ったなあという思いで補正もあるのかも知れません。

    声優は下手だし人物作画もよわよわですが、SFと青春に対する純朴なまでの好きが伝わってくるような…。

    近作も好きですけどね。レベルカンストした感じで。
    天門さんまた音楽担当してくれないかな。comicswaveに所属したとかずいぶん前に見た気がするのだけど。

  • 初鑑賞。
    中高生男子の夢(親友との飛行機作り、軍事的状況と表裏にある長閑な友情と、同級生との恋、バイオリン、廃駅、教室の夕焼けなど)が、みっちみちに詰まっている。
    それを活舌の怪しい俳優が声を宛てているので、出来は怪しくなりそうなものだが……。
    そして中盤で数年ジャンプしてからは、テロ組織と、夢中での邂逅とが、交互に描かれ、はっきりいって要素がみっちみちかつ散漫。
    さらに眠り姫の要素が中心に据えられてロマンチックなんだかSFなんだかどっちつかずで、出来は怪しくなりそうなものだが……。
    ……が、しかし総じて美しいと思った。
    まずは津軽半島から海を挟んでエゾが得体のしれない状況にある、しかもひたすら真っすぐ高い塔がある(天候次第では東京からも見える)、というワンシチュエーションが効果的。
    そうしたら飛行機で目指すしかあるまい、という動機も素敵。遠くを。高みを。思春期ってそんなもの。たとえ多くの少年が行動に移さなくとも夢の中では。

    この作品で判ったのは、新海誠の作家性(と軽々に断じてしまうが)として、
    場面<筋。
    描きたい絵なり場面に合わせて物語を組み立てているんではないか。
    その上サービス精神旺盛。
    ストーリーが調整作業になっているから、難解というより散漫な印象になっているのでは。ツッコミどころも多いし。
    また最も描きたい絵は甘々でベタなロマンティックなもの。
    その周囲のギミックや設定やは、先行作品群からの影響を、隠さない。モロに出す。
    だからSF部分はほぼ「エヴァ」。爆発も庵野。
    あとは90年代の諸々の影響下で作られている(あと、並行宇宙で浩紀っつったら東浩紀でちょっと笑っちゃう)ので、要素みっちみちの多くに既視感ありありで、そのへんがあまり評価が高くない所以ではないか。
    が、しかし総じて美しいと感じた。

  • 日本が南北に分断された、もう一つの戦後の世界。米軍統治下の青森の少年・藤沢ヒロキ(声:吉岡秀隆)と白川タクヤ(萩原聖人)は、同級生の沢渡サユリ(南里侑香)に憧れていた。
    彼らの瞳が見つめる先は彼女と、そしてもうひとつ。津軽海峡を走る国境線の向こう側、ユニオン占領下の北海道に建設された、謎の巨大な「塔」。
    視界にくっきりとそびえるその白い直線は、空に溶けるほどの高みまで遥か続いていた。
    いつか自分たちの力であの「塔」まで飛ぼうと、軍の廃品を利用し、山中の廃駅跡で小型飛行機を組み立てる二人。
    サユリも「塔」も、今はまだ手が届かないもの、しかしいつかは触れることができるはずのもの…二人の少年はそう信じていた。だが中学三年の夏、サユリは突然、東京に転校してしまう…。
    言いようのない虚脱感の中で、うやむやのうちに飛行機作りも投げ出され、ヒロキは東京の高校へ、タクヤは青森の高校へとそれぞれ別の道を歩き始める。
    三年後、タクヤは政府諮問の研究施設に身をおき、サユリへの憧れを打ち消すように「塔」の研究に没頭していた。
    一方で目標を喪失したまま、言葉にできない孤独感に苛まれながら、東京で一人暮らしを送るヒロキは、いつからか頻繁にサユリの夢を見るようになる。
    そこでのサユリはどこか冷たい場所にいて、自分と同じように、世界に一人きりとり残されている、そう感じていた。
    ヒロキの元に届けられた、中学時代の知り合いからの手紙。
    しばらくは開ける気がせず放っておいたその封を、偶然開いたヒロキは、サユリがあの夏からずっと原因不明の病により、眠り続けたままなのだということを知る。
    サユリを永遠の眠りから救おうと決意し、タクヤに協力を求めるヒロキ。
    そして眠り姫の目を覚まそうとする二人の騎士は、思いもかけず「塔」とこの世界の秘密に近づいていくことになる。
    折りしも「塔」を巡る世界情勢は悪化の一途を辿り、開戦の危機も目前に迫っていた。
    「サユリを救うのか、それとも世界を救うのか―」
    はたして彼らは、いつかの放課後に交わした約束の場所に立つことができるのか?
    新海誠の映画の軸にすれ違いがあるが、今回は「国境」がふたりの前に立ち塞がる。国境を越えて新しい世界を見たいと願うヒロキとタクヤそして病にかかるサユリの青春と恋。飛行機作りと恋の初々しい描写、平行世界を繋げる塔の力をめぐるそれぞれの思惑が上手く噛み合っていない感じでした。
    この作品があって「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」に繋がることを考えると新海誠ファンには必見の1作です。 

  • 映像が、景色が、透き通って心にさし込んでくる。

    邦画アニメは滅多にと言っていいほど観ない。
    ましてやジブリ作品など、あんな気色の悪い描写をよく好んで観ようとするなとすら思ってしまう。
    (トトロを最後まで観たことがないと話したら非国民呼ばわりされたこともある…)

    あまりに知識がなさすぎて、新海誠監督の名前も本作で初めて知ったんやけど、製作総指揮やはたまた主題歌の作詞まで手がけていたとは。(秋元康みたい)
    監督自身も風景描写を大切にしている為、映像の一つ一つがしっかり記憶に残っていく。
    ホームから見える夕日、月明かりにチラつく雪に目が覚めるような青空。
    「夢」を通じて少年と少女の約束が少しずつ果たされていく。

    近未来かと思えば90年代の青森と東京が舞台。
    作画の乱れがあったり吉岡さんのアフレコがズレ気味だったりと多少気になる点はあったけど、あの懐かしくて心洗われるような世界観にめちゃ魅了された。

    儚げで守られるような女の子ってあまり好かんタイプだけど、不思議なことに今回はあまり腹が立たなかった笑
    塔の建てられた理由やどのようにしてサユリちゃんが研究対象として発見され選ばれたのかなど、最後まで分からないところがあったのが残念。

    アニメ方面の引き出しが一つ増えた。

  • 「君の名は。」を観た数日後に観てしまったのは失敗。

    国鉄を懐かしいと思う世代は、こっちの方が好きなんじゃないかな。

    「君の名は。」は、突っ込みたい気持ちを抑えつつ観た感があるけど、こちらは懐かしさと未来感が入り混じった、新しい感覚で楽しめた。

  • 絵や動きなど、また個々のシーンにはハッとさせられるような印象的なものが多かった。

    可能性が感じられるみずみずしい作品。

    凝ったSF設定、戦争、テロという、本来重いテーマが、若者の恋愛の味付けになってしまっている点が、残念。

    戦争と恋愛の不条理さを交えるとか、厳しさ、苦みを混じることで深みが増すのでは。

  • 綺麗で切ない映画だった。

    さゆりの夢から覚める直前が印象的。
    覚めたら好きな気持ちが薄れちゃう、みたいな。
    夢の中で、ひろきだけを待ってた世界。
    二人しか存在しない世界。
    二人だけなら、他の思惑もなく、ただひたすら幸せでいられるのに。

    起きてしまったことで、二人だけじゃなくなっちゃったから、
    二人は一緒にいられなかったのだろうか。

    大人になるって、悲しいのかもしれないと思った。

  • 新海誠の偉大なるマンネリ。
    ちょうど主人公達の年頃、私も大人になることの抵抗感と恐れを感じていた事を思い出した。

    もう世界の理に気づけたような、そんな奢った気持ちとは裏腹に
    人生はまだまだ途方もなく長く続いているような気がして
    これからの人生は何を見据えていけばいいのか、見当もつかなかった
    夢も目標も、毎日の退屈で重苦しい現実の先に続いているような気がしていた

    矛盾、理不尽、嘘を受け入れる事、
    自分の中に濁ったものを抱きこむ事、
    その意味も判らなかったし理解したくなかった

    生意気と言われても、この頑なな気持ちの確かさを
    年を重ねることで擦り減らして行ってしまうんじゃないか、と怖かった

    大人になるって勝手なことで
    知らない間にそんな想いも薄れて人と世の波を渡れるようになってしまう

    そんな風に思っていたときもあったなーと、そういう気持ちを久しぶりに思い出した。。

  •  TSUTAYAの百円レンタルで、『きみのこえ』がなかったので手に取った作品。もともと、WOWWOWかなにかのCMで予告だけ観たことがあって、気にはなっていた作品。

     泣かなかった。
     なんでだろう? 美しい背景、細やかな人間たち、思春期特有の……。わたしが心打たれるであろう某かがいくつもあふれているはずなのに、涙は落ちなかった。また、なにも感じなかった。
     ということは、心理的描写が今一つだった、ということになるのではないか、と思います。だって、それが深ければじんと来て、主人公たちに感情移入して、某かを思ったはずですから。
     “夢”を、“約束”を、絶対に叶える。おとなになってしまえばとうの昔に忘れてしまうはずの、純粋で高らかな感情。

     個人的に、気になってしまったのは、
    ●声優さん
    ●エンディング曲
    ●詳しい説明がなされず「?」と思う部分があったこと(塔についての説明とかね)
     「豪華な声優陣」などと聞くのですが、何故かわたしにとっては、棒読みに聞こえる部分が多々あって。調べてみたら、本業が俳優の方ばかりがずらり。

  • 新海誠監督がやりたい事を120%まで煮詰めたセカイ系作品です。
    もうありとあらゆるサービスが盛り込まれているので隅々まで素晴らしいのですが、まぁ、おっさんになった身としてはもうこの感覚には付いて行けなくなりました。それくらい完璧なまでのセカイ系の物語です。一つの完成型なんじゃないかな?
    この後にも素晴らしい新海誠ワールドの作品が続きますが、やはりこうしてみると『君の名は。』で商用転向したのは必然だと思いますね。

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著者プロフィール

1973年生まれ、長野県出身。
2002年、ほとんど個人で制作した短編作品『ほしのこえ』でデビュー。
2016年『君の名は。』、2019年『天気の子』、2022年『すずめの戸締まり』公開、監督として国内外で高い評価と支持を受けている。

「2023年 『すずめの戸締まり(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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