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- / ISBN・EAN: 4562102150138
感想・レビュー・書評
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イラン映画。
子供が主役で学校から物語が始まり、「友だちのうちはどこ」と似た話。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
☆☆☆☆☆
【運命をあたりまえとして受け入れる力強さ】
学校の窓ガラスを割って2週間も経つが弁償できずにいる少年が、「先生に今日中に元どおりに戻せ」と云われてそれに奔走することを描いた、イランの田舎の小さな学校を舞台にした映画。
・この屈託のない貧しい少年の姿が眩しかった。
私もこの年の頃、貧しい家庭のなかで育っていた。それは相対的な貧しさで、当時の日本は豊かさに一直線に向かっていたので、みんなが、そして社会全体が豊かさへの期待に満ち溢れていた。
その当時の貧しさは、豊かさへ向かう段階の違いや、速さの違いから生じていたもので、今思うと‘貧しさの歪み’みたいなものだったと感じることができる。だから、そこからの脱出を試みることがまた、個人や、社会の力にもなりえたものだった。
ただ子ども心に「恥ずかしい」という思いは今思い返してもズシリと重く暗いものがある。
・「教室の高い所にある割れた窓ガラスを元に戻せ」という先生のいいつけが、こんなにも、重く、困難を伴うものだとは。
「ホームセンターに電話☎️して、住所を伝えて、『支払いはカードクレジットカードで!』という対処がすぐに頭に浮かんでしまう私には、少年が通う学校とガラス職人の家との距離が果てしなく遠く感じられた、そこを吹き付ける強い風の中を自分の体ほどの面積もある剥き出しのガラスを持って、学校へ向かう。少年は何を思い、何を考えていたのだろうか?
そして、学校に着いてから教室の窓にガラスを嵌めるが、教室のドアを開けた瞬間にその窓ガラスが落下して割れるてしまう。
「あんなに長い道のりを、風に晒されながら、やっとの思いで運んで、やっと取り付けたガラスなのに」と観るものは思う。でも、この少年は、時計を見る。
「7時には30分ある」と。
そして、もう一度窓ガラスを元に戻すために走り出す。「そうだ、彼のポケットにはちょうどガラスを買うだけの釣り銭が残っているはずだ」
こんな少年期を過ごした少年は強くなるだろうなぁ。
『誰かのせいにしない(運命を当然のこととして受け入れる謙虚さ)』
『合理的な判断に穢されない一途さ』
少年の姿が、うまく生きていくことを最善とする現代人である私の心に突き刺さった。
2017/04/25 -
イラン映画。貧乏な少年が割ってしまった学校の窓ガラスを弁償するために奔走するお話。
話はシンプルだけど、すごくハラハラさせられる。
石井克人が絶賛してて、これはエンタテイメントだ、というようなことを言ってたんだけど私はあまりそうは思えないです。
ハラハラを楽しむというより、私は子供の頃の自分の非力でどうにもできないや悲しさとか、がんばっても裏目に出る不運なときのくやしさが思い出されて切なくなりました。
大人になって忘れていた子供の時特有の不安とか大人との間に感じるわかってもらえない隔たりとかそういうものをいっぱい思い出してしまいました。
主人公の少年がもともと困り顔なのにますます不安げな表情に…!がんばれって言いたくなります。ヤキモキしてる時の感じとか、演技はうまいと思います。
あとイランの男の人ってみんな顔こわい!顔が濃くて目つきが鋭いからだとおもうけど……。
イランの田舎の村やちょっとボロい学校とか普段見たり、知っている風景とはまったく違う世界でとても新鮮でした。 -
主人公が泣きそうになるたびに号泣。向こうがこらえてても号泣。