空中庭園 通常版 [DVD]

監督 : 豊田利晃 
出演 : 小泉今日子  鈴木杏  板尾創路  広田雅裕  國村隼  瑛太  今宿麻美 
  • ポニーキャニオン
3.36
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感想 : 154
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013110649

感想・レビュー・書評

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  • 2005年 日本 115分
    監督:豊田利晃
    原作:角田光代『空中庭園』
    出演:小泉今日子/板尾創路/鈴木杏/広田雅裕/ソニン/永作博美/大楠道代

    ベランダでガーデニングできる団地で暮らす京橋一家。隠し事をしないことが家族のルール。しかし父・貴史(板尾創路)は長年の愛人(永作博美)のほかに新しい若い愛人ミーナ(ソニン)がいるし、高校生の長女・マナ(鈴木杏)は学校に行かず彼氏(勝地涼)や見知らぬ男(瑛太)とラブホに行ったり、中学生の長男・コウ(広田雅裕)も学校をさぼりウロウロ、母・絵里子(小泉今日子)は入院中のその母(大楠道代)との確執を抱えている。あるとき偶然、コウの家庭教師としてミーナが京橋家にやってきて…。

    原作は既読なのだけれど、結構前なので細部ほぼ覚えておらず。ただ角田光代らしい、日常生活の中でふと感じるいや~な空気、仮面をはりつけたような絵里子の笑顔など、原作のテイストをうまく抽出してあったように思った。序盤の不安定なカメラワークも、いかにも空中庭園という感じ。一見幸福そうな家族、しかしそれはギリギリのバランスの上に成り立っている。

    絵里子は毒母に愛されず育ったトラウマがあり、高校時代は苛められ引きこもりだった。そこから脱却するために、理想の家族を着々と計画的に築いてきた彼女の、砂上の楼閣が崩れる瞬間。キョンキョンの演技はとても良かった。あと大楠道代が、すごく嫌なババアにも関わらずカッコイイ。チョロ助にセフレさんから電話の場面は笑ってしまった。

    最終的には意外にもハッピーエンドといえる。バスの中でお父さんが言うセリフが良かった。浮気しまくってるクソ野郎だけど、なるほど、それでも家庭を維持するために、それぞれがそれなりの努力をしている。それが愛でなくてなんなのか。ずっと母を憎んでいた絵里子が、母の愛に気づく場面もとても良かった。母と娘、どちらも、互いが相手から愛されていないと思い込んだまま生きてきてしまった時間。家族というのはきれいごとだけでは済まないものだけれど、でも全く愛なしで成り立つものでもない。良い映画だった。

  • テンポ良くすすんで面白かったです。
    淡々としたそれぞれの日常。
    でも日本の家族って今はこんな感じじゃないのかな?
    お父さんは浮気しててお母さんは気づいてなくて
    娘はラブホ行って、息子は学校さぼってて・・
    だけどみんなそんな事、自分の家ではありえない気がしてて。

    ソニンが愛人役ってのがまた笑えてよかった。
    瑛太のキャラにはびっくりした(笑)
    キョンキョンは年をとってもかわいいなぁ~♪

    原作は読んでないんだけど機会があったら読みたいです!

  • ずっと観たかったキョンキョンの主演作。
    何と17年もかかってしまった、、、

    「けして秘密を持たない」と誓い合った「完璧」な家族のそれぞれが隠し持つ「秘密」とは?

     結局、どこの家庭も似たようものではないか、隣の芝生は青く見えるという。屈託なくように見える理想的な家庭にも、何かしらの「秘密」があるのだろう。
     この映画は、そういう世の中の真理をリアルに描いている。そして、「秘密」を持ちつつも、「それなりの幸せ」を精一杯築こうとしている家族。この映画で描かれる家族は、きっと、エンディングの歌のように、どこにでもある家庭の姿だろうと思う。

  • 面白かったです。
    昔々に原作を読んで「グロテスク」という感想を持ちましたが、そのままでした。
    ずっと、なんだか歪…という空気のまま進んでいくのが良かったです。お母さんは悲しいほど歪んでいる。愛されなかった子どもはこうなるのか。
    でもちょっと表現が直過ぎないか…と思ってしまいました。血の雨が団地に降っているとかの画は好きですが、もっとこう…演技的なもので観たかったなぁ。。
    小泉今日子さんは人間の陰の部分を演じられる方だと思いました。キラキラ見せているときと、堕ちているときと。好きです。
    板尾創路さんはそこはかとないダメ感が出てるなぁ…さすが。鈴木杏さんも好きです。ソニンさん懐かしい。大楠道代さんも良いです。
    こんなに土台がぐらぐらしていても、この家族は続いていくのかな。わー。

  • 娘としての妻としての母としての...各々の立場に自身を置き見た時
    えも言われぬ違和感があり
    小泉今日子演じる役の心根が推し量れず
    特に母親に対してこんな極端に記憶をすり替え罵れるものなのか...と。
    通常の精神状態では考えにくい程の極端さ。
    かと思えば長年思い込んで来た記憶がいとも簡単に思い違いだと気付く辺り。
    この手の映画は好きな性質で、
    些か気分の悪くなりそうなカメラワークも嫌じゃない。
    板尾創路も大楠道代もエンディングのUAも雰囲気に合っていて良かった。
    ともかく要のストーリーに入り込めなさ過ぎた為ここは☆3つにしておこう。

  • クルクルと回る団地や視界の描写は母親の抱く理想のかたちでありつつ虚像であったなら、ラストは揺らぐことのない現実にやっと両足がついて戻って来られたんだろうなという印象でした。
    あそこまでグチャグチャな家族なら、最後まで後味悪いほうが好みだったかも。でも、キョンキョンがちゃんと家の中に戻ってきて、おかえり!と開けた玄関の先にはちゃんと帰ってきた家族の姿があって、あーよかった……安心した部分もある。お婆ちゃんのキャラクターが濃い…

  • 「家族って幻想なの?」がズバリテーマみたい。キョンキョン演じる主婦は、母親の愛情に飢えたまま大人になって、それに代わる居場所を新たな家庭に求めたけれど・・という流れ。

    それにしても、新たな家庭を築くまでのプロセスも、家庭を築いてからの日常も、この主婦は計算と演技に徹している。あたしも母親との葛藤はあったけど、自分の帰る場所で、こんな演技力を強いられるのは正直たまらん。

    そのにこやか演技の裏にある感情の暴力的な発露が、ところどころ懲りすぎる演出や映像で登場してて、まさにジキルとハイド。そして肝心の終わり方だけど、私はナットク。

    ありったけのネガティブ感情をむき出しにし、空っぽになったら受け入れられるという理想的な葛藤の乗り越え方がここにあると思った。

    それにしても、元・アイドルが女のもつ陰影をここまでさらけ出せるようになるなんて、誰が思っただろう?それくらい、キョンキョンの演技はすばらしかった。

  • 何が虚像で、
    何が真実なのか。
    そうして、一体愛ある家族とは?

    内側ばかりのぞくようになったのは、
    そうせざるをえない、
    追い込んだ関係性があったからだと思うが。

    そんな、母と子の物語。



    板尾は嫌いではないが、
    どうしてこうも重宝されるのだろうか。
    気持ち悪さと、
    そこはかとなく滲み出る厭らしさは天下一品だが。
    あ、だからか?

    あと、ぐるぐる、ふわふわの映像が、
    酔う。

  • 面白い!けど自分にとってはトラウマを引き起こす映画で、少し鬱になった。

  • 〝思い込みは、本当のことを見えなくする〟

    気軽に見始めたのに自分ごとと大きく重なって、最終的にものすごく苦しくなった…笑
    多分これは、誰しもに少なからずある部分だと思うんだけど。

    まだまだ、消化不良感が拭えない。
    なんだか、なんだか。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。1991年、阪本順治監督の『王手』の脚本家として映画界に登場。その後、阪本順治監督『ビリケン』(1996年)の脚本を手掛けた他、演劇部隊や劇画の原作なども手掛ける。1998年、千原浩史(千原ジュニア)主演『ポルノスター』で監督デビュー。その年の日本映画監督協会新人賞を受賞する。2001年に初のドキュメンタリー映画『アンチェイン』を監督。2002年には人気漫画家・松本大洋の『青い春』を松田龍平主演で映画化し、大ヒットを記録。ドイツのニッポン・コネクション映画祭で観客賞を受賞。2003年『ナイン・ソウルズ』、2005年、直木賞作家角田光代の原作『空中庭園』(主演:小泉今日子)を監督。2009年『蘇りの血』(主演:中村達也)、2012年『IM FLASH!』(主演:藤原竜也、松田龍平)、2014年『クローズEXPLODE』(主演:東出昌大)を監督。2015~2016年舞台『怪獣の教え』を演出。2018年『泣き虫しょったんの奇跡』(主演:松田龍平)、2019年短編映画『狼煙が呼ぶ』を監督。2020年ドキュメンタリー映画『プラネティスト』が公開。

「2021年 『7.24映画戦争2019-2021』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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