ある子供 [DVD]

監督 : ジャン=ピエール・ダルデンヌ  リュック・ダルデンヌ 
出演 : ジェレミー・レニエ  デボラ・ブランソワ  ジェレミー・スガール  オリヴィエ・グルメ 
  • ハピネット・ピクチャーズ
3.42
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本棚登録 : 479
感想 : 89
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953015180

感想・レビュー・書評

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  • 18才のソニアが生まれたばかりの赤ん坊を抱え、20才のブリュノと会い嬉しそうに抱き合いキスをする。一度も見舞いに来なかった、待ってたのに、というセリフに早くも嫌な予感。果たして、彼は盗んでは売り捌くその日暮らし。彼女が定職についてねと言っても聞く耳を持ちません。この後、事件が起こりますが、無自覚で地に足のついていない彼なら、しかねない事件です。「ある子供」とはブリュノのことですね。ソニア役のデボラ・フランソワはデビューとは思えない、いい演技を見せます。

  • /§**/ 親になるということ \**§\





     この作品は『イゴールの約束』('96)でイゴールを演じた俳優:ジェレミー・レニエが主役を務めている。
     そこから9年後の作品にあたるので、当然ながらレニエが大人の男に成長している。
     

     本作でのレニエも、初めは人間性を欠く若き父親=ブリュノの役。
    恋人:ソニアに産ませた赤ちゃんを売ってしまうという驚きの無茶振りだ。
     まるで9年後のイゴール自身がここに登場したのかと錯覚させられる部分も…(苦笑)


     ソニアが自分の子供をしっかりと愛しているところに唯一救われる想いになる。


     まぁ一応予想していたラストではあったが…
    自らの行ないを悔い改めた若い男が、
        彼女と一緒にたくさん泣いて、泣いて…


     そして父親としての彼が、
    「まさに、人生をこれからスタートさせるのだな…」という終わり方は、とても爽やかだ。
    自然と「頑張れよ」という言葉を掛けてあげたくなる。



     ベルギーを代表する監督であるダルデンヌ兄弟。
    お気に入りの俳優として、彼等の作品には必ずと言って良いほど顔を見せているオリヴィエ・グルメという男優さん。

    *『息子のまなざし』
    *『ロゼッタ』にも出ていらっしゃる。

     寡黙な役柄と眼鏡が印象的な方だ。
    特に前者での木工技師の役が私の中では強烈な印象で残っている。


     ■また本作の主人公ジェレミー・レニエも、こうした役どころ(挫折した若者)を実に巧くこなす俳優だと思う。

    *『イゴールの約束』では幼き彼の演技に驚かされた。


     本作もダルデンヌ兄弟による自然体で、インパクト大な演出には脱帽だ。

    お若い方々にも是非観ておいていただきたい逸品である。

  •    20歳のブリュノと18歳のソニアの間に男の子が生まれた。ジミーと名付けた赤ちゃんをソニアは母親らしく世話するが、ブリュノは父親になった実感などなどく、職につかず、盗んだ盗品を売った金で生活をするという変わらぬ毎日だ。
    そしてソニアが目を離したスキに、彼は赤ん坊を闇取引の女に売ってしまい、そのことを知ったソニアは卒倒。
    病院に担ぎ込まれてしまう。事の重大さに気づいたブリュノは赤ん坊を取り戻そうとするが…。
    自分の部屋を貸さなければならないほど貧困に苦しむソニアと父親になったのに泥棒を辞めようとしないブリュノの子供を育てるのもぎりぎりなどん底貧困生活を、「少年と自転車」のダルデンヌ兄弟十八番のドキュメンタリータッチで描く悲痛な描写で描いています。
    目先の金目当てで自分の子供を売るブリュノ、そんなダメンズなブリュノを頼りにするしかないソニア、たしかに愚かだけどそんな親でも必死に子供を育てる姿は、たしかにある現実と底辺の人の姿を見る者に見せていて、「あなたはどう向き合いますか?」と突き付けています。

  • ・・・おいおいおい!!って展開をあっという間に迎えます。 
ソニアが気絶するシーンが痛々しいのと反比例にブリュノの軽率さにイライラしてしまいます。 
まだまだ未熟な・・・夫婦というより恋人。親と言うより子供。 
そんなカップルに神様からの授かりものが送られる。 
この世にまたとない子供=モノ(幾らでも作れる)と見るブリュノは子供を売って金銭を得る。その金銭で得たものはブリュノの運命を最悪にしていく。 

昨今、「赤ちゃんポスト」なる存在が気になります。 
この世に生を授かる者と、授けられた者。 
お互いが将来に亘って生まれた事実に感謝出来る様に生きていくべきだと思います。

  • 伝えようとしていることが、ほぼ完ぺきに伝わっている。
    ブリュノの一貫した無表情が最後の号泣につながる。
    大人になりきれなかったのは、彼の母親(父親)にあるのだろう。
    我が身のことばかりで、子供のことを可愛がることも、いたわることもなく、まして叱ることも、矯正することもなかったからこそ、ブリュノのような青年が生まれた。彼はやさしく、思いやりがある。それは子供としての純真さに近い。恋人と戯れ、仲間の少年と戯れる。ある時は、川の水で、くだらない時間を過ごす。
    大人になりきれないのではなく、誰も彼を大人にさせることが無かったのかもしれない。
    小銭をせびる。自尊心も気概もない。
    1m先の自分を見るでもなく、ほんの数センチ先のことも観ようとしない。
    場当たり的で、せつな的で・・・・。
    それが観るものの心を締め付ける。
    「ある子供」とはブリュノ自身のことなのかも・・・・。

  • ただただ愚か。

  • 最初から何とも言えない世界観に
    グイグイ引き込まれる・・

    普通なら単調になるストーリーなのになぁ・・
    ただ最後がシュール過ぎて・・これまたビックリ!

    う~ん、この終わり方だけは
    ちょっと残念でしたワン・・

  • 愛情に恵まれず、生き方が分からないまま親になったある子供。
    「ある子供」という題名も凄いと思ったけど、音楽を使わない事でかもし出す味も凄い。

  • あらすじは、子供ができた夫婦のの男がものすごい子供っぽいってだけなんだけど、
    まあその背景には国の貧しさとかがしっかり描かれているんだと思う。
    俳優上手すぎ、シンプルな、好きな映画でした。
    「あらすじ:20歳のブリュノと18歳のソニアの間に男の子が生まれた。ジミーと名付けた赤ちゃんをソニアは母親らしく世話するが、ブリュノは父親になった実感などなどく、職につかず、盗んだ盗品を売った金で生活をするという変わらぬ毎日だ。そしてソニアが目を離したスキに、彼は赤ん坊を闇取引の女に売ってしまい、そのことを知ったソニアは卒倒。病院に担ぎ込まれてしまう。事の重大さに気づいたブリュノは赤ん坊を取り戻そうとするが…。
    子どもが子どもを生んで、親になる。少女は母性に目覚め、かいがいしく面倒をみることでひとつ大人への階段を上るが、男は少年のまま、社会とかかわることもなく、その日暮らしで満足している。そんな主人公の人生の転機をドキュメンタリーのように淡々と追っていくのが本作。主人公が愛する人を失い、焦り、取り戻そうと必死に行動する姿をカメラはジッと映し出す。過剰な演出、説明的セリフはは一切ない。それゆえに、彼の変化、成長が心に染み渡るように伝わってくる。1999年『ロゼッタ』でカンヌ映画祭パルムドール大賞受賞したジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督は、2005年、本作で2度目のパルムドール大賞を受賞した。(斎藤 香)

  • 「何なのこいつ、ロクデナシ!」と思って観てるんだけど、ロクデナシというより本当におバカさん、何も分かっちゃいないんだ、というのが見えてくる。ヒヤヒヤ・ハラハラして主人公ブリュノを追ってしまう。静かな、シンプル過ぎる映像だったけれど非常にスリリングだった。

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